Diary Of 酒田の人

田舎住まいの60代サラリーマンの趣味の日々

モエルネリマネシアゲハ

2024-02-11 20:04:32 | 
最近入手したちょっと古い本に「地球 絶滅昆虫記」という書籍があります

1988年に刊行されていますので、今からざっと36年前の昆虫に関する書籍です
この書籍の中で絶滅種として取り上げらている中で、今世紀になってから再発見された蝶がいます
それが「モエルネリマネシアゲハ」(Papilio moerneri moerneri)です
この蝶はニューアイルランド島(パプアニューギニアのビスマルク諸島にあるらしい)の特産種で
1919年に1頭目が採集され、1924年に2頭目、そして1938年に3頭目が採集されてから採集された記録がありませんでした
↓はこの書籍に掲載されている美麗な生態画です

この書籍が刊行された時点で50年も採集されていなかったので、絶滅種として取り上げられたいるんですが
ニューアイルランド島の環境がそれ程損なわれていないことを理由に↓のような記述になっています。

ちなみに↓が現物のモエルネリマネシアゲハで、画像は当然借り物ですが、1919年に採集された最初の個体のようです
(スウェーデン自然史博物館にあるらしいです)

さて、この幻の蝶はどのようにして再発見されたんでありましょうか?
なにかで読んだところによると、2007年にニュージーランド人の採集家(?)が、最初に採集されたジャングルのスポットへ
ヘリをチャーターして直接降下して採集されたということのようです。
確か日本の昆虫のオークションにも、かなりの高額で出品されていた覚えがあります。
幻の何がしかを探し求める人間の情熱は凄いもんであります。


防虫剤の入替

2024-02-02 20:02:31 | 
今日は久々に蝶の標本箱の防虫剤を入替ました
伊万里だとこんなことはやらなくてもいいので、やはりワタシには蝶の標本の収集は向いていないようです。
今日入れ替えたのは青い金属光沢を持つことで有名なモルフォ蝶の箱で、ついでなので、箱の蓋を開けた状態の画像を残すことにしました

今から10年近く前にちょっとだけ集めた標本で、14頭入っていますが、いずれも違った種類で、すべてオスの標本です
(モルフォのメスのほとんどは青くありません)
種類に関しては少々記憶が怪しいですが、一番左の列の上から順に
キプリス、ゼフィリテス、エガ、ポルティス(?)
2列目は、ディディウス、ヘレナ、ゴダルディ
3列目は、メラネウス、カキカ、アナクシビア
4列目は、ユーゲニア、アマトンテ、オーロラ、スルコウスキーとなっています。
この標本箱に入っていないモルフォがあと二頭あります
レテノールモルフォ(カキカとヘレナはレテノールの仲間です)

マルクスモルフォ(以前はアドニスモルフォと呼ばれていました)

モルフォ蝶の標本は胴体が切られているのにお気づきでしょうか?
これは胴体から油分が染み出して美しい翅の輝きがなくなるのを防ぐためのようです。
思えばワタシ初めて手を出した外国産の蝶の標本がモルフォ蝶でした。



伝説の蝶を求めて

2024-01-28 19:56:26 | 
ずっと読みたいと思っていた本を入手しました
「伝説の蝶を求めて 女帝ポンテンモンキチョウ」です。

1999年の刊行された書籍で、作者は原弘という方です
この本で取り上げられている「ポンテンモンキチョウ」(Colias ponteni)というのは世界に8頭しか標本が存在せず
しかも160年以上(場合によっては250年以上)採集された記録がないというまさに幻の蝶です。
世界にある8頭の標本のうち5頭は大英博物館に、残り3頭のうち2頭はスウェーデン自然史博物館、1頭はルンド動物学研究所にあります
↓はこの書籍の裏表紙ですが、上から5頭は大英博物館、下の3頭はスウェーデンにある標本のようです。

大英博物館の標本は以前から知られていたようで、1768年~1771年かけてキャプテン・クックがエンデバー号で行った
世界一周の航海の時に一緒に乗船していたジョセフ・バンクス(表紙の人物)がアルゼンチンのフエゴ島で収集したと伝わっていました。
一方スウェーデンの残されていた標本は、1852年頃にスウェーデンのユージェニー号の世界一周時にハワイのオアフ島で採集されたことになっています
ポンテンモンキチョウの標本はずっと大英博物館にしか存在しないと思われていましたが、1997年にスウェーデンに3頭存在することが知られました。
この本の著者である原弘さんは、スウェーデンの研究者の論文、さらに数多くの資料を精査することで
矛盾点を探し、さらに想像力を働かせて仮説を立て可能性を厳しく追及することで
謎となっているポンテンモンキチョウの生息地を特定しようとしています。
ちなみに、ハワイのオアフ島にはモンキチョウ(Colias)は生息していないようです。
謎は謎を呼び、決定的な確証は得られないものの、作者の原弘氏は会社を辞めて、自分の仮説を証明するべく決意することろで終わっていますが
その後の原氏の成果については不明で、ポンテンモンキチョウを捕獲したというビッグニュースもありません。
それにしても、著者の並々ならぬ情熱と研究心が伝わってくるのは確かです。
今から20数年前には「幻の蝶」といえば、ブータンシボリアゲハ、オナシカラスアゲハ、モエルネリマネシアゲハだったようですが
そのいずれもが今世紀に入って再発見されており、そういった意味では、発見できれば「世紀の大発見」となるのがポンテンモンキチョウですが
たぶん、絶滅してしまったのかも知れません。




27年前の展示会

2023-10-01 23:52:43 | 
↓のポスターは丸27年近くワタシの部屋に貼ってあるものです

日付を見ると判るように、今から27年前に酒田で開かれた展示会のポスターです。
この展示会、ワタシは勿論見に行きましたが、思えばトリバネアゲハ(最下段は左からゴライアストリバネ、ゴクラクトリバネ)を
初めて見たのはこの時で、その大きさに驚いた記憶があります。
蝶は昔から好きでしたが、後に外国産の蝶標本を少しばかり集めたのはこの展示会の影響が大きかったかも知れません。
ちなみに、古伊万里に興味を持ち始めたのも、同じ1990年代の中盤あたりだったように思いますが
未だに続ているのは標本と違い保存に気を使わないで済むからかも知れません。


じっくり見てみよう(ニシキオオツバメガ)

2023-05-31 22:59:46 | 
 何も書くことが無いので、とりあえず以前のネタの焼き直しですが、少しだけ視点を変えたネタとなっております

ニシキオオツバメガ」については2019年9月に一度紹介していますが、防虫剤の入替時に画像を撮り直したので、再度取り上げてみました。

以前も書いたように、一般的に「世界で一番美しい鱗翅目(蛾)」と言われるだけあって、怪しい美しさに溢れています
まずは後翅の一番目立つ部分の拡大画像です
さらに拡大すると鱗粉の並びが見えて来ます

勿論この怪しい色は鱗粉の色ではなく、複雑な光の干渉による「構造色」ではあります
前翅は金緑色ですが、やはり後翅の派手さにはかないません

裏面は表よりも派手な印象です

裏面も後翅の派手な色が目立ちます

裏面では胴体の近くの金色の部分も目立ちます

この蛾の構造色については、コチラのサイトで詳しく解説されています
この蛾が大好きと言う人はあまりいないとは思いますが、人智の及ばない怪しい美しさを持っていることは確かです。
ちなにみ、この蛾はマダガスカルの特産種ですが、特に珍しい種ではなく
しかも昼に飛んでいるということなので、一度飛翔する姿を見たいもんではあります。