「初期赤絵」とか「初期柿右衛門」という様式は明確なジャンル分けがされている訳ではないように思いますが
時代的には江戸前期に焼成された古九谷様式とは違った特長を持つ色絵の品、といった認識であっているでありましょうか。
古九谷様式から柿右衛門様式へ進化していく中、過渡期的な特徴を持った品という見方もできるかも知れません。(あくまでも私見)
ということで、ウチにある小皿から初期赤絵もしくは初期柿右衛門の特長を持った品を数枚集めてみました。
① 一般的には典型的な初期赤絵という印象の品
赤、青、黄、緑で絵付けされた芙蓉手風のデザインの小皿ですが、色絵はかなりう厚塗りです
裏面は赤の圏線が一本ですが、赤の色は古九谷様式の赤ですね
➁ これも典型的な初期赤絵の品
こちらは①よりも明確に芙蓉手のデザインになっており、見込みの太く青い部分は釉剥ぎされた上から絵付けされています
(重ね焼きされたということですね)
こちらは裏面は何も描かれていませんが、土や釉薬感は①と同じような印象です
③ こちらは「初期柿右衛門」と言われるタイプの品
デザインとしては芙蓉手ですので、➁と共通性を感じますが、こちらの方がずっと濁し手に近い生地になっています
この手は柿右衛門様式とは何の関係もないと、栗田美術館の館長さんは書いています。
④ こちらも初期柿右衛門(業者さん曰く)
いわゆる柿右衛門様式とは印象が違いますが、①~③に比べるとすっきりとした印象です
①と同様に裏面は古九谷様式の赤にようる圏線ですが、この品の場合は高
台にも二本の圏線が引かれています。
⑤ これは一般的には柿右衛門様式として通っている品
デザイン化された鳳凰が描かれているところは、①~④よりも時代が新しいと感じさせる点でしょうか
裏文様が描かれないのは濁し手柿右衛門の特長のひとつのようですが、まだ過渡期的な印象を受けなくもありません。
個人的にはこのジャンルの小皿は大好きです。