あまりのショッキングな出来事で覚えているはずが、
きっと忘れようと思う気持ちの方が強かったかも。
そういえば……と、思い出したので、書いてみることにした。
あれは土曜日の昼のこと。
札幌の地下街での出来事デあ～る。
札幌の人なら分ると思うけど、
オーロラタウン側の道新ホールに向かう通路。
あそこはあまり人通りがない。
ちょうど郵便局のほうから降りてきた２人の女性。
Ｍはオーロラタウンから道新ホールに向かってたので、
途中ですれ違うはずだった。
Ｍはあまりヒトの事を見るタイプではないんだけど、
大声で喧嘩しながら歩いていたので、つい顔をあげて見てしまった。
大声で相手を罵倒してる女は、多分年の頃はＭより少し下。
体格がよくて、熊みたいだった。
もう１人は細い老人。
ふたりとも、身なりがちょっと薄汚かった。
ホームレスかなぁ？？ というカンジ。
それにしても、熊女が大きな声で怒鳴ってる。
そのうち老女がボソボソ……と言ったことに反応して、
熊女がいきなり壁に老女を押しつけて首を絞めた。
きぃやぁぁぁ～～～～～
Ｍの目の前でやめてよぉ～～。
熊女は大声を出しながら力いっぱい老女の首を絞めてる。
老女は「ぐえ～」とか言ってるし。
Ｍはそのまま知らないふりして通り過ぎるわけにもいかないと思って
思わず「何やってるの、やめなさいよ」と言った。
……ら、
「うるせぇ、オマエに関係ないだろうが！」と大声が返ってきた。
とその時、老女のクビを絞めていた手はほどかれていたので、
まぁひと安心。
熊女の関心はＭに移ったらしい。
うへ……「コワっ」
と言いながら、Ｍはとっととドアに向かうと、
「オマエだれだ！」「名前なんていうんだ！ 言えこのやろー」
「あ～～、コワっ」「コワ～～」と、大きな声でＭの背中に向かって言ってる。
うわぁ、やっちゃった。
かなりイッちゃってる人だ。
あぁでもない、こうでもないとＭを振り向かせようとして、
大声で叫んでいる。
カンベンしろや……
ちょうどＭの後ろを若いお姉さんが歩いていて、
その場面を目の当たりにして、真っ青な顔で小走りにＭに近寄ってきて、
熊女の動向が気になるのか何度も振向いてから、
「普通じゃないですよね、薬でもやっているんでしょうか」
と言ってきた。
Ｍは、クスリというより、精神がイッちゃってると思った。
で、その若いお姉さんに
「あの場面って、見過ごしたほうが良かったと思う？」と聞いてみた。
お姉さんは
「難しいですよね……」と。
で、Ｍが、
「もし止めないで殺人なんてことになったら、私たち見殺したことになるよね？」
と言うと、
「困りますよね～、それにしても何でしょうあの人達、怖いですよねぇ」
…と、お姉さんはショックを隠しきれずにいた。
あの二人はもしかして親子かも……。
後で思った。
それにしても、困るわぁ。
Ｍなんて、体が痛いから襲いかかってこられたら困るし。
イザとなったら傘を持ってたから、振りまわす気ではいたけど、
指が痛いから、襲いかかってこないでねってカンジ。
てかね、Ｍはコワいというよりも、不愉快のほうが強かった。
何でこの場所でそんなことしてんのよ？
てか、何でＭはこの人達にあってしまったんだろう？ って。
めっちゃ不愉快。
精神がイッちゃってる人って、何でもアリだから恐ろしいんだけどね。
ナイフを持ってなかったことはラッキーだったのかも。
しかし……
もし、あなたならどうする？？
目の前で首を絞められている老女。
相手は体格や体力ではかなわなそうな熊女。
見て見ないふりする？
……それとも……
