「開花宣言」のあと。
水を差すように
雨に次ぐ雨。
一気に冷えて、
今日も雨。
*
だけど
ひとたび 目が醒めた花の勢いは
止まらない。
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一年ぶりに、こんにちは。
ソメイヨシノは、
まだ紅い。
*
『ソメイヨシノ』
という 日本じゅうあまねく植えられた桜の
花の色は、
よくよく見ると、
いわゆる「ピンク色」(桃色)では、ないんですよね。
いわゆるピンク色 というのは、桃色。桃の花の色。
*
ソメイヨシノの “さくら色” は、
ほんのり 薄い・淡い・甘い
“さくら色”
という色を 装った、
不思議な 白色をしています。
その白は
じっと見つめ居れば むしろぼやけて
意識がかすんでしまう気すらする、なんとも、肉体では捉え難い色。
消えてしまいそうに薄く
儚いようで、
いつまでも残る、どこか精神的な、深い色。
「幻惑的」だの「妖気」だのと
昔から繰り返し言われてきたように
その ひとひら ひとひらの
薄っぺらい小さなかたちと 相まって、
その “白” という色。
すべての色を呑み込んだ色。
その色にこそ、
人の正気を惑わせる“何か”が、秘められているような。
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*
そんな“幻想”の色が ”現実”の色として見られるのは、
365日のうちの、
ほんの 14、5日ほど。
もちろん 地方ごとに時差がありますが。
その僅かな時を
340日、、、ほぼ一年かけて待ちかねている、この国の人たち。
一年待って溜め込んだ分の 浮き足立った熱狂を
桜は 巧みに煽り
春に酔いたい人の気持ちを 丸々かっさらって
そして
幻のように
不思議の余韻だけを残して
たちまち
どこかに 消え去ってしまう。
*
またそんな
ほんの短いはずなのに
深く意識に染み込んでいる不思議な季節が、
始まりそうです。
またきっと
なんとなく切なくなりながら、
なんとなく
浮わつくんでしょうね。
そして
たちまちに、お決まりに降る雨に落とされて
埋めて 流れて
散って破れて
去って行くのを
なんとなく 切なくなりながら、
なんとなく
忘れて行くんでしょうね。
*
ただ、今。
白い色の 咲き満ちる
その“寸前”。
もっと儚い、
刹那の 紅の色が、
さっきまで枯れ色だったはずの梢を
いっぱいに満たしています。
でも、
もうすぐにでも、眼前から消え去るでしょう。
明日にでも、晴れたりでもしたら。あっという間に。
でも
その紅色は、
咲いた桜の 白に、
ほんのり 余韻となって、残ります。
残像のように
影のように、残ります。
白い花を包み隠していた 紅は、
解き放たれた白のまわりに、
幻のように、漂います。
幻影のように、残ります。
*
桜の花は
咲き始めたら、散り始めます。
桜の花ほど
咲くことの儚さ 虚しさを 胸に突きつける花は、
無い。
桜の花ほど
切ない花は、そうそう、無い。
でも今は、
咲き始める寸前。
終わりが始まる直前の、
まだ紅い時。
産まれる間際の、
まだ紅い時。
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明日の朝にでも もう消えてしまいそうな
紅い時。
*
水を差すように
雨に次ぐ雨。
一気に冷えて、
今日も雨。
*
だけど
ひとたび 目が醒めた花の勢いは
止まらない。
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一年ぶりに、こんにちは。
ソメイヨシノは、
まだ紅い。
*
『ソメイヨシノ』
という 日本じゅうあまねく植えられた桜の
花の色は、
よくよく見ると、
いわゆる「ピンク色」(桃色)では、ないんですよね。
いわゆるピンク色 というのは、桃色。桃の花の色。
*
ソメイヨシノの “さくら色” は、
ほんのり 薄い・淡い・甘い
“さくら色”
という色を 装った、
不思議な 白色をしています。
その白は
じっと見つめ居れば むしろぼやけて
意識がかすんでしまう気すらする、なんとも、肉体では捉え難い色。
消えてしまいそうに薄く
儚いようで、
いつまでも残る、どこか精神的な、深い色。
「幻惑的」だの「妖気」だのと
昔から繰り返し言われてきたように
その ひとひら ひとひらの
薄っぺらい小さなかたちと 相まって、
その “白” という色。
すべての色を呑み込んだ色。
その色にこそ、
人の正気を惑わせる“何か”が、秘められているような。
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*
そんな“幻想”の色が ”現実”の色として見られるのは、
365日のうちの、
ほんの 14、5日ほど。
もちろん 地方ごとに時差がありますが。
その僅かな時を
340日、、、ほぼ一年かけて待ちかねている、この国の人たち。
一年待って溜め込んだ分の 浮き足立った熱狂を
桜は 巧みに煽り
春に酔いたい人の気持ちを 丸々かっさらって
そして
幻のように
不思議の余韻だけを残して
たちまち
どこかに 消え去ってしまう。
*
またそんな
ほんの短いはずなのに
深く意識に染み込んでいる不思議な季節が、
始まりそうです。
またきっと
なんとなく切なくなりながら、
なんとなく
浮わつくんでしょうね。
そして
たちまちに、お決まりに降る雨に落とされて
埋めて 流れて
散って破れて
去って行くのを
なんとなく 切なくなりながら、
なんとなく
忘れて行くんでしょうね。
*
ただ、今。
白い色の 咲き満ちる
その“寸前”。
もっと儚い、
刹那の 紅の色が、
さっきまで枯れ色だったはずの梢を
いっぱいに満たしています。
でも、
もうすぐにでも、眼前から消え去るでしょう。
明日にでも、晴れたりでもしたら。あっという間に。
でも
その紅色は、
咲いた桜の 白に、
ほんのり 余韻となって、残ります。
残像のように
影のように、残ります。
白い花を包み隠していた 紅は、
解き放たれた白のまわりに、
幻のように、漂います。
幻影のように、残ります。
*
桜の花は
咲き始めたら、散り始めます。
桜の花ほど
咲くことの儚さ 虚しさを 胸に突きつける花は、
無い。
桜の花ほど
切ない花は、そうそう、無い。
でも今は、
咲き始める寸前。
終わりが始まる直前の、
まだ紅い時。
産まれる間際の、
まだ紅い時。
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明日の朝にでも もう消えてしまいそうな
紅い時。
*
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