オスプレイV22の普天間基地への移転が迫ってきた。まだ安全性が確認されていないのにである。
すでに投稿したブログ記事『緊急告発! オスプレイ事故件数を公表した米国防総省の打算と欺瞞』(8月15日投稿)、『オスプレイ事故の「調査結果報告書」で米国防総省は墓穴を掘った」(8月16日投稿)で私はオスプレイV22型が開発途上であって実用運用にはまだ安全性が十分確認されたとは言えないことを指摘した。
その後2000年12月には、初代オスプレイ大体の初代隊長が予定されていたキース・スウィーニー中佐(42歳)が操縦し、クリントン大統領の専用ヘリコプターの操縦士を3年間にわたって務めてきたミッチェル・マーフィー少佐が副操縦士の任に就いていたオスプレイが「メーデー」を発信した直後に墜落して操縦士・副操縦士を含む乗員4人が全員死亡するという、米海兵隊史上例を見ない大事故を生じていた。
ここで私があえて「大事故」と書いたのは事故の規模、惨事や被害の大きさを意味してのことではない。これだけの、米海兵隊が誇る超一流のパイロットが二人も搭乗・操縦していて墜落、といった最悪の事故を起こしたケースは米海兵隊史上空前だっただろうと思うからである。
当然米国内でもオスプレイ計画は無謀だという声が巻き起こった。にもかかわらず、米国防総省はオスプレイの開発をやめるどころか、膨大な防衛予算を投じ、開発を進めてきた。そしてようやく実用配備できるとの確信を得て配備計画を作成していたのがV22型である。この計画を成功させるためには、米海兵隊としては絶対に事故を起こしてはならなかった。当然海兵隊の中でも選りすぐりのパイロットに試験飛行をさせてきたはずだ。
にもかかわらず今年に入って4月11日にはモロッコで墜落事故を起こし、乗員4人のうち2人が死亡、2人が重傷を負う事故を起こした。
さらに6月18日には米フロリダ州で訓練中のオスプレイが墜落、乗員5人が負傷した。幸い死者は出なかったが、米国防総省にとっては想定外の事故であった。
その後も、墜落ではなかったが、計器が異常信号を発しオスプレイが不時着したケースも生じた。
当然米国防総省は事故原因の解明を「いちおう」行った。原因分析の結果は「操縦ミス」つまり人的ミスであり、オスプレイの安全性に影響するものではないという発表だった。この「機体自体には欠陥がない」という発表の根拠が全く明らかにされてはいない。ただ「パイロットが禁止されている行為を行った」ことが墜落の原因で「だから人的ミスだ」という。
自動車事故について考えてみよう。『交通安全白書』(内閣府。国土交通省の『交通白書』とは別。『交通白書』も自動車事故の推移を発表しているが、データはいずれも警察庁資料に基づいており、『交通安全白書』のほうが交通事故に特化した白書だけにより詳細であるため『交通安全白書』の記載をベースにした。なお警察庁も「警察白書』を出版しており、『交通白書』も『交通安全白書』も警察庁資料に基づいて書かれており、まさに縦割り行政の無駄の典型の一つと言っていい」によれば、自動車事故は自動車が普及し始めた昭和30年代半ばから年々増加し、約10年後にいったんピークを迎える。
その後いったん急減するが、昭和53年を底に再び増加に転じ、平成16年には100万台寸前まで達したが、その後は再び減少に転じ平成23年には16年比30%減の70万台未満になった。これは危険運転致死障害罪の新設による飲酒運転の激減、自動車メーカーが事故防止策に全力で取り組んできたことによる安全性能の向上、警察による交通違反の取り締まり強化が大きな効果を生んだと考えられる。
またこれも重要なデータだが、平成23年度における年齢層別自動車運転事故死亡者数はまだ運転技術が未熟な16~24歳の若年層が180人を数えた後は一気に減少し、25~29歳では82人、さらに30~64歳ではほぼ30~40人で推移したあと65歳以上になると今度は急増して561人を数え、全年齢層別の死亡者数の38.9%に達している。なおこのデータが絶対的に信頼できるとは考えられないことだけ指摘しておく。このデータをオスプレイの未完成度の証明手段として利用する以上、データが不完全であることも明らかにすることがジャーナリストの基本的スタンスであるべきだと思うからだ。
このデータの不完全制は次の2点である。
1.64歳までは5歳単位で年齢層を区分しているのに、65歳以上は5年単位の区分で死亡者数を調査していないこと(おそらく調査しているはずで、警察庁が何らかの意図を持って65歳以上の高齢者をひとくくりにしたデータしか公表していないのだと思う)。
2.各年齢層別の有運転免許者数を明らかにしていないこと。つまり公表しているのは死亡者数のみで各年齢層別の有運転免許者数も明らかにすれば、各年齢層別の死亡事故率が明白になる。そうすれば各年齢層別の運転免許更新の制度をより合理的なものに改正することが可能になり、自動車事故を激減させるきわめて有効な手段になりうる。
いずれにせよ、こうして自動車事故は年々減少傾向を示してきたが、一方65歳以上の高齢者の交通事故が年々増加している。私の予想だが、いわゆる「団塊の世代」が65歳以上の高齢者(これは警察庁が勝手に定義した高齢者。一般には70歳から高齢者としての扱いを受けている)が急増する来年から事故件数は一気に増加傾向に再突入するだろうと思う。そうした事態を予測した私は2008年5月10日付で警察庁長官宛に高齢者免許更新のあり方について送付した文書があるので(かなりの長文)、後に公開したい。
また飲酒運転など悪質な交通法規違反に対する罰則が強化された結果、飲酒運転による事故件数が激減し、平成13年度の事故件数に比べ23年度には77.8%も減少したという実態が明らかにされている。
簡単に自動車事故件数の推移について述べたのは、この推移がオスプレイの完成度がいかに低いかを証明していることを意味しているからである。
これは米国防総省が肝心のデータを公表していないのでかなり乱暴な推測によるしかないのだが、自動車事故の原因の大半(昔の自動車ではなく現在の自動車を前提にしていることをお断りしておく)は人的要素にあり、かつその要因は運転者の高齢化と完全に比例していること、また飲酒運転による事故が危険運転致死傷害罪の新設によって激減したこととの関連性が重要な意味を持つと私は考えたのだ。
これまで何回もオスプレイの安全性はまだ証明されていないことを書いてきたので、過去に述べたことは繰り返さない。「パイロットの操縦ミス(禁止されている操縦行為を行った)による」ということが何を意味しているかに絞る。
自動車事故の人的ミスの要因は3つであることを『交通安全白書』(データは警察庁資料)で明らかにした。
1.飲酒運転など法令違反の運転による。
2.免許取りたての運転技術が未熟な運転者。
3.65歳以上の高齢者。
ではこの3つのケースのどれにオスプレイ墜落の操縦ミスが相当するというのか。
まず「禁止されている操縦を行ったから人的ミス」という主張が一応該当するのは2のケースしか考えられない。とすれば、禁止されているような操縦ミスを起こしかねないような、操縦技術が未熟なパイロットに米海兵隊はオスプレイの操縦を任せているのか、という疑問が生じる。
米国防省がまず明らかにすべきは墜落事故を起こしたパイロットの年齢と航空機操縦歴(キャリア)である。もし操縦技術が未熟なパイロットに米国内でも危険性が指摘されているオスプレイの操縦を任せてきたのだとしたら、まさにオスプレイのパイロットは米海兵隊によって「モルモット」扱いの対象でしかなかったことを意味する。そんな「モルモット」が操縦するオスプレイを日本に持ち込ませるなどということは、日本とアメリカは対等な立場に立って日本及び極東の安全を守るための義務と責任を分かち合うという「日米安全保障条約」の基本理念は「絵に描いた餅」に過ぎず、アメリカのご都合主義による事実上の日本に対する軍事的支配を継続(敗戦後の占領下に置かれて以降)するための「隠れ蓑」だったのかと言わざるを得ない。
誤解を避けるために言っておくが、私は日米同盟は経済的にも軍事的にも最重要な友好関係を維持すべきだと考えている。その私にしてここまで言わざるを得ないのが、森本防衛相の「安全宣言)である。また森本防衛相の「安全宣言」を全く検証せずに支持してオスプレイの日本配備に賛意を示した読売新聞を、私は同じジャーナリズムの世界にいるものとして絶対に許すことができない。
もちろん私もすでにブログに書いたようにオスプレイの強力な抑止力を否定するものではない。さらに改良が進められ、安全性が、現在米海兵隊が所有する他の航空機9機種並みに確保できた場合は、自衛隊自ら購入して領土紛争が生じている東南海地域の日本領土を守るために活用してほしいと思っているくらいである。
オスプレイが未完成である証拠をもう一つ挙げておこう。このことを、マスコミをはじめ誰も指摘していないことが不思議でならない。それは墜落事故の原因について「禁止されている操縦をパイロットが行った」という米国防総省の事故原因解明の結果報告である。
子供以外のほとんどの日本人がまだ記憶にとどめておられるであろうJP西日本の福知山線脱線事故の悲惨さである。この事故の原因は3つが指摘されている。
1.事故現場は急カーブでありながら、法令で定められた基準を無視したJR西日本がATS(自動列車停車装置)を設置していなかったこと。
2.私鉄との競争のため過密ダイヤで乗客の獲得を図ろうとしたJR西日本の列車運行方針。
3.運転技術が未熟な若い運転手が、手前の駅でホームをオーバーランして生じた列車の遅れを取り戻そうとして禁止されているスピード制限を超えた運転をしたこと。
つまりこの事故の要件がオスプレイ墜落事故にすべて当てはまっているのである。3のスピードの出し過ぎというのは若さゆえの運転技術の未熟さであり、若い人の自動車事故が多いのも過信によるスピードの出し過ぎが最大の要因をなしており、この「過信」が運転技術の未熟さを意味しているのである。と考えればオスプレイのような高度な操縦技術を要するはず(と私は考えている。米国防総省は「高度な操縦技術は必要としない」と主張するかもしれないが……」の航空機は列車のATSのような「禁止されている操縦をパイロットが行おうとした時、自動的にブレーキをかける機能を持つ装置が搭載されていなければならないのは当然だと思う。私の考えが間違っているのかな?
私の考えが間違っていなければ、ATSのような、禁止されている操縦をパイロットがしようとした場合、その違反行為をストップさせる装置が搭載されていないこと自体が、オスプレイの未完成度を証明する何よりもの証拠となる。
森本防衛相は「日本独自の分析」によって「オスプレイそのものの機体に欠陥はない」と主張し、何の裏付けも取らず森本防衛相の「安全」宣言を支持した読売新聞は、オスプレイにはATSのような禁止されている操縦をパイロットが行おうとしたとき自動的に禁止行為を停止する制御装置が、オスプレイには必要がないことを立証しなければならない。それが日本の安全に責任を持たねばならない防衛大臣や日本最大のマスコミが果たすべき最低限の責任であり義務である、と私は思う。
改めて問いたい。私の考えは間違っているのかな?
すでに投稿したブログ記事『緊急告発! オスプレイ事故件数を公表した米国防総省の打算と欺瞞』(8月15日投稿)、『オスプレイ事故の「調査結果報告書」で米国防総省は墓穴を掘った」(8月16日投稿)で私はオスプレイV22型が開発途上であって実用運用にはまだ安全性が十分確認されたとは言えないことを指摘した。
その後2000年12月には、初代オスプレイ大体の初代隊長が予定されていたキース・スウィーニー中佐(42歳)が操縦し、クリントン大統領の専用ヘリコプターの操縦士を3年間にわたって務めてきたミッチェル・マーフィー少佐が副操縦士の任に就いていたオスプレイが「メーデー」を発信した直後に墜落して操縦士・副操縦士を含む乗員4人が全員死亡するという、米海兵隊史上例を見ない大事故を生じていた。
ここで私があえて「大事故」と書いたのは事故の規模、惨事や被害の大きさを意味してのことではない。これだけの、米海兵隊が誇る超一流のパイロットが二人も搭乗・操縦していて墜落、といった最悪の事故を起こしたケースは米海兵隊史上空前だっただろうと思うからである。
当然米国内でもオスプレイ計画は無謀だという声が巻き起こった。にもかかわらず、米国防総省はオスプレイの開発をやめるどころか、膨大な防衛予算を投じ、開発を進めてきた。そしてようやく実用配備できるとの確信を得て配備計画を作成していたのがV22型である。この計画を成功させるためには、米海兵隊としては絶対に事故を起こしてはならなかった。当然海兵隊の中でも選りすぐりのパイロットに試験飛行をさせてきたはずだ。
にもかかわらず今年に入って4月11日にはモロッコで墜落事故を起こし、乗員4人のうち2人が死亡、2人が重傷を負う事故を起こした。
さらに6月18日には米フロリダ州で訓練中のオスプレイが墜落、乗員5人が負傷した。幸い死者は出なかったが、米国防総省にとっては想定外の事故であった。
その後も、墜落ではなかったが、計器が異常信号を発しオスプレイが不時着したケースも生じた。
当然米国防総省は事故原因の解明を「いちおう」行った。原因分析の結果は「操縦ミス」つまり人的ミスであり、オスプレイの安全性に影響するものではないという発表だった。この「機体自体には欠陥がない」という発表の根拠が全く明らかにされてはいない。ただ「パイロットが禁止されている行為を行った」ことが墜落の原因で「だから人的ミスだ」という。
自動車事故について考えてみよう。『交通安全白書』(内閣府。国土交通省の『交通白書』とは別。『交通白書』も自動車事故の推移を発表しているが、データはいずれも警察庁資料に基づいており、『交通安全白書』のほうが交通事故に特化した白書だけにより詳細であるため『交通安全白書』の記載をベースにした。なお警察庁も「警察白書』を出版しており、『交通白書』も『交通安全白書』も警察庁資料に基づいて書かれており、まさに縦割り行政の無駄の典型の一つと言っていい」によれば、自動車事故は自動車が普及し始めた昭和30年代半ばから年々増加し、約10年後にいったんピークを迎える。
その後いったん急減するが、昭和53年を底に再び増加に転じ、平成16年には100万台寸前まで達したが、その後は再び減少に転じ平成23年には16年比30%減の70万台未満になった。これは危険運転致死障害罪の新設による飲酒運転の激減、自動車メーカーが事故防止策に全力で取り組んできたことによる安全性能の向上、警察による交通違反の取り締まり強化が大きな効果を生んだと考えられる。
またこれも重要なデータだが、平成23年度における年齢層別自動車運転事故死亡者数はまだ運転技術が未熟な16~24歳の若年層が180人を数えた後は一気に減少し、25~29歳では82人、さらに30~64歳ではほぼ30~40人で推移したあと65歳以上になると今度は急増して561人を数え、全年齢層別の死亡者数の38.9%に達している。なおこのデータが絶対的に信頼できるとは考えられないことだけ指摘しておく。このデータをオスプレイの未完成度の証明手段として利用する以上、データが不完全であることも明らかにすることがジャーナリストの基本的スタンスであるべきだと思うからだ。
このデータの不完全制は次の2点である。
1.64歳までは5歳単位で年齢層を区分しているのに、65歳以上は5年単位の区分で死亡者数を調査していないこと(おそらく調査しているはずで、警察庁が何らかの意図を持って65歳以上の高齢者をひとくくりにしたデータしか公表していないのだと思う)。
2.各年齢層別の有運転免許者数を明らかにしていないこと。つまり公表しているのは死亡者数のみで各年齢層別の有運転免許者数も明らかにすれば、各年齢層別の死亡事故率が明白になる。そうすれば各年齢層別の運転免許更新の制度をより合理的なものに改正することが可能になり、自動車事故を激減させるきわめて有効な手段になりうる。
いずれにせよ、こうして自動車事故は年々減少傾向を示してきたが、一方65歳以上の高齢者の交通事故が年々増加している。私の予想だが、いわゆる「団塊の世代」が65歳以上の高齢者(これは警察庁が勝手に定義した高齢者。一般には70歳から高齢者としての扱いを受けている)が急増する来年から事故件数は一気に増加傾向に再突入するだろうと思う。そうした事態を予測した私は2008年5月10日付で警察庁長官宛に高齢者免許更新のあり方について送付した文書があるので(かなりの長文)、後に公開したい。
また飲酒運転など悪質な交通法規違反に対する罰則が強化された結果、飲酒運転による事故件数が激減し、平成13年度の事故件数に比べ23年度には77.8%も減少したという実態が明らかにされている。
簡単に自動車事故件数の推移について述べたのは、この推移がオスプレイの完成度がいかに低いかを証明していることを意味しているからである。
これは米国防総省が肝心のデータを公表していないのでかなり乱暴な推測によるしかないのだが、自動車事故の原因の大半(昔の自動車ではなく現在の自動車を前提にしていることをお断りしておく)は人的要素にあり、かつその要因は運転者の高齢化と完全に比例していること、また飲酒運転による事故が危険運転致死傷害罪の新設によって激減したこととの関連性が重要な意味を持つと私は考えたのだ。
これまで何回もオスプレイの安全性はまだ証明されていないことを書いてきたので、過去に述べたことは繰り返さない。「パイロットの操縦ミス(禁止されている操縦行為を行った)による」ということが何を意味しているかに絞る。
自動車事故の人的ミスの要因は3つであることを『交通安全白書』(データは警察庁資料)で明らかにした。
1.飲酒運転など法令違反の運転による。
2.免許取りたての運転技術が未熟な運転者。
3.65歳以上の高齢者。
ではこの3つのケースのどれにオスプレイ墜落の操縦ミスが相当するというのか。
まず「禁止されている操縦を行ったから人的ミス」という主張が一応該当するのは2のケースしか考えられない。とすれば、禁止されているような操縦ミスを起こしかねないような、操縦技術が未熟なパイロットに米海兵隊はオスプレイの操縦を任せているのか、という疑問が生じる。
米国防省がまず明らかにすべきは墜落事故を起こしたパイロットの年齢と航空機操縦歴(キャリア)である。もし操縦技術が未熟なパイロットに米国内でも危険性が指摘されているオスプレイの操縦を任せてきたのだとしたら、まさにオスプレイのパイロットは米海兵隊によって「モルモット」扱いの対象でしかなかったことを意味する。そんな「モルモット」が操縦するオスプレイを日本に持ち込ませるなどということは、日本とアメリカは対等な立場に立って日本及び極東の安全を守るための義務と責任を分かち合うという「日米安全保障条約」の基本理念は「絵に描いた餅」に過ぎず、アメリカのご都合主義による事実上の日本に対する軍事的支配を継続(敗戦後の占領下に置かれて以降)するための「隠れ蓑」だったのかと言わざるを得ない。
誤解を避けるために言っておくが、私は日米同盟は経済的にも軍事的にも最重要な友好関係を維持すべきだと考えている。その私にしてここまで言わざるを得ないのが、森本防衛相の「安全宣言)である。また森本防衛相の「安全宣言」を全く検証せずに支持してオスプレイの日本配備に賛意を示した読売新聞を、私は同じジャーナリズムの世界にいるものとして絶対に許すことができない。
もちろん私もすでにブログに書いたようにオスプレイの強力な抑止力を否定するものではない。さらに改良が進められ、安全性が、現在米海兵隊が所有する他の航空機9機種並みに確保できた場合は、自衛隊自ら購入して領土紛争が生じている東南海地域の日本領土を守るために活用してほしいと思っているくらいである。
オスプレイが未完成である証拠をもう一つ挙げておこう。このことを、マスコミをはじめ誰も指摘していないことが不思議でならない。それは墜落事故の原因について「禁止されている操縦をパイロットが行った」という米国防総省の事故原因解明の結果報告である。
子供以外のほとんどの日本人がまだ記憶にとどめておられるであろうJP西日本の福知山線脱線事故の悲惨さである。この事故の原因は3つが指摘されている。
1.事故現場は急カーブでありながら、法令で定められた基準を無視したJR西日本がATS(自動列車停車装置)を設置していなかったこと。
2.私鉄との競争のため過密ダイヤで乗客の獲得を図ろうとしたJR西日本の列車運行方針。
3.運転技術が未熟な若い運転手が、手前の駅でホームをオーバーランして生じた列車の遅れを取り戻そうとして禁止されているスピード制限を超えた運転をしたこと。
つまりこの事故の要件がオスプレイ墜落事故にすべて当てはまっているのである。3のスピードの出し過ぎというのは若さゆえの運転技術の未熟さであり、若い人の自動車事故が多いのも過信によるスピードの出し過ぎが最大の要因をなしており、この「過信」が運転技術の未熟さを意味しているのである。と考えればオスプレイのような高度な操縦技術を要するはず(と私は考えている。米国防総省は「高度な操縦技術は必要としない」と主張するかもしれないが……」の航空機は列車のATSのような「禁止されている操縦をパイロットが行おうとした時、自動的にブレーキをかける機能を持つ装置が搭載されていなければならないのは当然だと思う。私の考えが間違っているのかな?
私の考えが間違っていなければ、ATSのような、禁止されている操縦をパイロットがしようとした場合、その違反行為をストップさせる装置が搭載されていないこと自体が、オスプレイの未完成度を証明する何よりもの証拠となる。
森本防衛相は「日本独自の分析」によって「オスプレイそのものの機体に欠陥はない」と主張し、何の裏付けも取らず森本防衛相の「安全」宣言を支持した読売新聞は、オスプレイにはATSのような禁止されている操縦をパイロットが行おうとしたとき自動的に禁止行為を停止する制御装置が、オスプレイには必要がないことを立証しなければならない。それが日本の安全に責任を持たねばならない防衛大臣や日本最大のマスコミが果たすべき最低限の責任であり義務である、と私は思う。
改めて問いたい。私の考えは間違っているのかな?