小林紀興の「マスコミに物申す」

第三の権力と言われるマスコミは政治家や官僚と違い、読者や視聴者の批判は一切無視、村社会の中でぬくぬくと… それを許せるか

私のブログへの批判コメントに答える――NHKの体質はいじめ問題や猪瀬問題の報道姿勢にも現れている。

2013-11-24 03:01:47 | Weblog
 前々回のブログ『フィギュアスケート競技の……』の訪問者や閲覧者が一向に減りませんので、すでに書きあげている記事がこのブログを除いて2本ありますが、まだ投稿できません。このブログも11月16日には書きあげているのですが、20日現在、まだ投稿できません。ブログ投稿者としては妙な感想ですが、早く次のブログが投稿できるように訪問者・閲覧者が減少傾向に入ってほしいと思うことさえあります。
 私のブログは長いために1週間に1本くらいのペースでしか投稿できないわけではありません。書くのはかなり早く、現役時代でも取材が終われば1か月もあれば単行本1冊を書きあげていました。取材しながら同時進行で書き進め、本当に取材開始から1か月で脱稿したこともありました。青春出版社から上梓した『シーマ苦闘の700日 この男たちの大逆襲』がその本で、このときは青春出版社が銀座東急ホテルの1室を借りてくれて(当時の日産自動車の本社がホテルから目と鼻の先にあったためです)、宿泊費だけでなくホテル内での飲食もすべて出版社が持ってくれました(私はできるだけ外食するようにしましたが)。
 私が昨年夏に体調不調から回復して2年ぶりにブログ活動を再開して以来、読者は以前より増えていますが、読者からのコメントは激減していました。私はブログ記事と関係のない卑猥な書き込みは削除していますが、それ以外はいかなる批判も削除していません。かつてもそうであったように今回もご批判に対する私の見解を述べさせていただくことにします。

 まずイオンに対する告発ですが、「◌◌」さんから「重箱のすみをつつくとはこのこと」というご意見をいただきました。私がイギリスの大手スーパーのテスコ社が日本に進出して展開していたスーパー(店名はテスコ)を運営する日本法人からイオンが50%の株式を買い取りました。
 当初、イオンはテスコ社の日本法人の株式をすべて買い取る予定でしたが、テスコ社との交渉の結果、持ち株比率を50%に引き下げて共同経営にすることにしたためテスコは店名を「つるかめ」と変更しました。このときイオンは子会社で5%割引を行っている感謝デー(毎月20日と30日)をつるかめでも実施するためイオンのレジ機器をつるかめ各店に導入したのです。その結果、つるかめの領収書の表示が「イオン 青葉つるかめ店」となっていました。
 しかしつるかめ店ではイオンが実施しているサービスのすべてが実施されているわけではなく、一部だけの実施でした。そのため、イオンが発行しているかに装ったレシートは明らかに虚偽表示に相当すると考えて、私はブログで告発したうえでブログ記事を消費者庁にFAXしたのです(表示法違反の担当は公正取引委員会から消費者庁に移行されていました)。消費者庁の指導により、現在はつるかめ各店のレシートの表示は「イオン」から「つるかめ」に変わったのです。
 この領収書の表示が「重箱の隅をつつくとは…」とお考えの「◌◌」さんは、その後、大問題になったホテルや百貨店の「不作為な表示違反」(バナメイエビなど小さなエビを「芝エビ」と称してきた業界慣習)、「意図した悪質な虚偽表示」(成型肉を和牛ステーキと表示したり、ブラックタイガーを車エビと表示したケース)についても「重箱の隅をつつくとは…」とお考えなのでしょうか。虚偽表示を「重箱のすみをつつくような」話とお考えの方は私のブログを読まれても、何も得るものはないと思いますよ。
 ついでにまだ消費者庁も問題視していませんが「ズワイガニ」の表示も業界慣習の「不作為な表示違反」なのです。ズワイには本ズワイと紅ズワイの2種類があり、両方とも鳥取県の境港で水揚げされています。このことはあまり知られていませんが本ズワイ・越前ガニ・松葉ガニはすべて同一のカニなのです。ただ昔から水揚げされた港で蟹の名称が別々につけられてきたため、ややこしいことになっているのです。もちろんそうしたことは水産業者なら百も承知ですが、本ズワイよりはるかに安価な紅ズワイを「ズワイガニ」という紛らわしい表示をしてきてスーパーなどが売っているのが実態です。「◌◌」さんのコメントには特に悪意は感じませんでしたが、表示法違反は重箱のすみをつつくような些細なことではないのです。エビやステーキ肉の虚偽表示が社会問題になったのは、私がイオンの虚偽表示を指摘した後だったので、いまでは「◌◌」さんも「重箱のすみを…」といったコメントを書いたことを後悔されているのではないでしょうか。

 つぎに『フィギュアスケート競技の……』の記事に関しては、私のブログへの極めて悪質で幼稚なコメントがお二人から寄せられていますので、私の見解を明らかにしておきます。
 まず「A氏」さんのコメントです。「PASMOあんだけ得意げに講釈垂れといて負けましたって。ただの迷惑老人じゃねーか」というものです。もう一人の「1」さんのコメントは「やってんだ、この老害ブログ。あんたみたいな人が日本を駄目にしたんじゃない ?」というものでした。このお二人は、NHKの職員か関係者あるいはNHKから金銭の授与を受けているのではないかと私は考えています。お一人だけだったら「頭が悪い読者もいるんだな」と軽く流すケースですが、二人がまったく同じような罵倒を私に浴びせたということは、背後に何らかの意図が働いていると考えざるを得ないからです。
 だいぶ古い話で恐縮ですが、日米貿易摩擦が火を噴き、自動車王国の象徴だった米デトロイト市で市民(大半はビッグ3の従業員のようです)が日本車をひっくり返したり火をつけるという、いまの中国や韓国の反日デモのような騒動が生じた時期があります。その時アメリカの有名な経済学者が「太平洋戦争の真の勝利者はどっちだったのか」というテーマの論文を発表し、日米両国で大きな話題になったことがあります。彼が書いたことは、戦争ではアメリカが勝ったが、日本は敗戦の痛手から立ち直り、経済競争でアメリカを脅かす存在になったという趣旨、つまり真の勝者は日本ではなかったかというのが論文を書いた意図でした。
 このエピソードをあえて私が持ち出したのは、確かに裁判では私が負けましたが、真の勝利者はパスモ社ではなく私だったのです。というのは、私が訴訟を起こした結果、パスモ社も私鉄各社も大打撃を受けたからです。
 今はバスに乗るとき、バス共通カードが使えませんね。バス会社がいっせいにバス共通カードの廃止に踏み切った理由をお二人は知っていますか。ま、ご存じないでしょうね。頭の悪い人は、そういうことに疑問を持たないんですよ。
 実は、バス共通カードは割引率が非常に高かったのです。5000円カードで5850円分利用できました。割引率は17%で、しかも利用期間も無制限でした。一方バスの定期券は非常に割高でした。電車の定期の割引率は原則1か月に19~20日利用するという計算で割り引き率を決めていますが、バスは1か月に25日利用するという計算をしています(いずれも通勤定期の場合)。バス会社は通勤・通学の時間帯を除いた日中の乗客を増やしたいという目的で非常に割引率の高いバス共通カードを発行していたのです。
 ところが、リーマン・ショック以降、若い人たちの車離れが急速に進み、その結果、バス共通カードを発行しなくてもバスの利用者が増えるようになったのです。つまりバス会社にとっては、もはや割引率が高いバス共通カードでバス利用者を増やす必要性がなくなったのです。で、バス共通カードに代わるカードとしてパスモやスイカを使わせようという作戦に出たのです。
 バス共通カードを廃止し、パスモかスイカに変えることにした時、バス会社(念のために公営バス以外の民営バスの経営母体はほとんど私鉄です)にとってはオートチャージ式パスモの利用者を増やすための絶好のチャンスが訪れたのです。しかし、その絶好のチャンスを私鉄各社は生かせませんでした。私の訴訟によって私鉄各社はウソをつくことがもうできなくなってしまったからです。その結果、どの駅でもかつてのような駅頭でのキャンペー販売が行えなくなっただけでなく、かつては券売機の横に山積みされていたパスモの案内パンフレットも完全に姿を消してしまいました。
 私は裁判では負けましたが(私に有能な弁護士がついていれば裁判でも勝っていました)、真の勝利者はどっちだったか、いくら頭が悪い人でもそのくらいのことはわかるでしょう。なお現在はオートチャージパスモは極めてリスキーなカードだということが知れ渡っており、ほとんど姿を消しつつあるようですが、お二人はまだオートチャージ式パスモをご利用ですか ?
 なぜお二人は私がNHKの報道基準を批判したことが迷惑で老害とお考えなのでしょうか。私の批判で困っているのはNHK職員か関係者以外にないはずです。いまNHKは各方面から厳しい批判を受けており、職員の給与水準も引き下げざるをえなくなっています。それもお二人にとっては「迷惑」なんでしょうか。
 ついでだからお二人にとってもう一つ「迷惑」な話を披露しておきます。フィギュアスケートの報道基準とは別にやはりNHKの報道基準について山本氏とFAXでやり取りしたことがあります。それは「いじめ自殺」問題の報道基準についてです。いまある事情で「いじめ自殺」が生じなくなっていますが、その原因を作ったのは「迷惑老人」の私であることを明らかにしておきます。
 私がブログを再開したのは昨年の夏、ちょうど高校野球の甲子園大会の直前でした。その少し前からいじめ自殺事件が相次ぎ、甲子園大会の出場校・仙台育英高校でいじめ自殺事件が生じ、いじめが一気に社会問題化したときを契機にブログを再開したのです。以来いじめ問題については何度もブログでマスコミの責任を追及してきました。
①「仙台育英高校は甲子園大会に出場できるのか」(8月8日)
②「いじめ社会の復活に手を貸した大手マスコミの罪」(8月11日)
③「札幌市立中学校男子生徒の飛び降り自殺の真相は……」(9月9日)
④「桜宮高校を実名報道し、仙台育英高校や皇字山中学の校名を伏せたマスコ
 ミの報道モラルはどこにあるのか?」(13年1月24日)
⑤「桜宮高校体罰自殺の実名報道をマスコミは重く噛みしめよ」(2月3日)
 私は大手マスコミがいじめ自殺事件が生じた学校名(とくに小中学校)を実名報道しなかったため、全国の小中学校も教育委員会も「対岸の火事」視して危機感を持たず、本腰を入れていじめ対策に取り組もうとしなかったため、マイナスのアナウンス効果が働いて、いじめ事件がかえって増大し、いわば社会現象化していった最大の原因があると考えていました。そのため報道機関(当然NHKも含む)は、いじめ自殺事件が生じた場合、学校名を公表することがいじめ防止のために欠くことが出来ない責務であると訴えてきたのです。
 その私の訴えに真っ先に応えてくれたのが朝日新聞でした。6月に生じた湯河原中学校でのいじめ自殺事件で初めて学校名を報道し、私は、⑥「でかした、朝日新聞。いじめ自殺中学の実名報道によくぞ踏み切った」(6月11日)というブログを投稿したのです。朝日新聞に続いて読売新聞も7月に生じた名古屋市立明豊中学のいじめ自殺の学校名の実名報道に踏み切り、2大新聞がいじめ自殺事件が生じた学校の実名報道に踏み切ったことで、全国の小中学校の校長以下教職員や教育委員会が強烈な危機感を抱いたことが、明豊中学での事件以降いじめ自殺事件がその後生じなくなった最大の原因なのです(これでいじめ問題が完全に解決したとまでは言いませんが)。
 しかしNHKはいじめ自殺事件が生じた学校名をいまだに実名報道していません。NHKというのはそういう「公共報道機関」なんですよ。民放と張り合って大金をつぎ込んだ娯楽番組ばかり制作したり、とにかく職員の仕事を「作り出す」ことしか念頭においていない報道機関(もはや報道機関とは言えないと思います)でしかないということを視聴者は肝に銘じておいた方がいいですよ。むしろNHKは民営化したほうがいいとさえ私は思っています。
 もちろんNHKも良心的番組を制作しています。『クローズアップ現代』や『NHKスペシャル』、討論番組の『日曜討論』や『日本のこれから』など素晴らしい番組も少なくありません。しかしスカパーがほとんどすべての分野のエンターテイメント・コンテンツを流し、レンタルDVD店が全国に広がっている中で、なぜ職員の仕事を確保するだけの目的のために民放と張り合って大金を投じて娯楽作品を作る必要があるのか、私には不条理としか思えないんですがね。むしろNHKの経営姿勢の影響を受けて民放の番組の視聴率は軒並み低下し、経営的に苦しくなっています。これは日本の経済再建にとっても大きな足かせの一つとなってさえいるのです。
 それはさておき、朝日新聞にしても読売新聞にしても学校名の実名報道は苦渋の選択だっただろうとは思います。その学校の生徒が周囲から白い目で見られる可能性はありますし、またその学校に進学することを嫌がる子供や子供を進学させることに不安を持つ親が増える可能性もあります。しかし私が仙台育英高校や皇字山中学、明豊中学の実名を知ったのは報道機関の報道によってではなく、インターネットへの書き込みによってでした。校長や教育長(校長経験者)は、大手マスコミが実名報道に踏み切るまで危機感を持たず、インターネット社会の持つ影響力を軽視してきたことがいじめ社会の拡大を招いたのです。
 もちろん実名報道は、社会的影響力が大きいだけに慎重であるべきですが、いじめ自殺を防げなかった(防ごうという努力をしなかった)学校を守るべきか、いじめ社会根絶を最優先にすべきかという、報道機関の姿勢が問われる問題です。
 フィギュア競技の報道にしても、いじめ問題の報道にしてもNHKは報道機関としての本来の使命を果たして言えるでしょうか。フィギュア競技報道に関してNHKに対する批判のブログを書いた私に対し罵詈雑言を浴びせたお二人にお尋ねします。あなたたちはNHKからいくら貰ったのですか。NHKの職員は政府から給料が高すぎると減額を要求されたくらいですから、お二人も相当いただいたのでしょうね。うらやましいなぁ。
 私が提起した問題について議論を深めるための批判は大いに歓迎しますが、根拠もなく他人の人格を傷つけるようなレッテル張りは、自らの人間性の卑しさをさらけ出しただけだということを認識してください。
 日本には「恥じる」という世界中のどの国にもない精神的文化が伝統的に培われてきましたが、そういう意識が若い人たちの中から失われつつあるような感じが最近します。
 たとえば、このエピソードは確かブログに書いた記憶がありますが、若い人がバスの優先席に座って、杖をついたお年寄りがバスに乗ってこられた時に、私が若い人に「代わってあげてくれませんか」とお願いしたとき、彼が平然と「ここは専用席ではないでしょう」とうそぶいて代わってあげようとしなかったことがありました。結局、この場合は運転手さんが「その席は障害者や高齢者、妊婦、赤ちゃんをだっこしたお母さんが優先的に使用できる席です。健康な若い人は変わってあげてください」とマイクで呼びかけ、周囲の人たちも「代われ、代われ」とシュプレヒコールを上げたため、しぶしぶ席を立ちましたが、恥ずかしそうな顔すらしませんでした。
 もちろんボランティアに熱心な若い人も多く、私は時代も違ってはいますが、若かったころのことを思い自ら恥じています。
「恥じる」という文化は、日本が世界に誇る精神的文化の一つです。それが若い人たちから失われつつあることが残念です。私は読んだことがありませんが、いまは義務付けられている「道徳」という教科の中に、「恥」という日本人が大切にすべき精神的文化についての記述がないのではないかと危惧しています。どなたかご存知の方がいたら教えてください。

 ついでに最新のニュースである猪瀬・東京都知事の徳洲会からの借金問題についても触れておこうと思います。猪瀬氏は都知事選の工事前に選挙への支援をお願いするために鎌倉の病院で療養中の徳田虎雄氏を訪ねたと主張していますが、その主張に疑問を挟むジャーナリスト(猪瀬氏にインタビューした記者たち)の中にだれもいないことを指摘しておきたいと思います。
 その最重要なポイントは、徳洲会は日本全国に280もの医療関係の施設を展開している世界でも第3位の規模の医療法人ということですが、東京都には徳洲会が運営する医療関係の施設は昭島市の東京西徳洲会病院と西東京市の武蔵野特集円(有料老人ホーム)だけです。つまり最大限善意に考えても猪瀬氏が徳田虎雄氏に選挙支援を依頼しても昭島市と西東京市の選挙民だけでしかありません。一体昭島市と西東京市の選挙民が都知事選で重要なカギを握っていたでしょうか。そう考えると、猪瀬氏が徳田氏に依頼したのは選挙活動資金の提供以外には考えにくいと判断するのが、ジャーナリストに求められる感性なのです。
 猪瀬氏は、あくまで個人の借金と言い張っていますが、個人の借金だったら何に使う予定だったのかを明らかにすべきです。猪瀬氏は「自分から借金を申し込んだことはない。徳洲会側から貸してくれるという申し出があったので、選挙活動で必要になるかもしれないと思って借金した。だから借用書も書いた」と主張していますが、この主張自体矛盾しています。彼はノンフィクション作家としてジャーナリスト以上の鋭い感性で時代を輪切りにしてきた人です。政治と金の関係について「うかつだった」ではすまされません。
 その際重要なポイントを追及していないのはNHKの記者だけではないので、そのことでNHKをジャーナリズム失格とまでは言いませんが、娯楽番組に入れる力の半分でも本物のジャーナリストを育てることに注ぐべきではないでしょうか。私がフィギュアスケートの報道基準を問題にしたのはNHKの体質が、いじめ問題や猪瀬問題の報道にも現れているからです。

昨年末の総選挙は違憲状態との最高裁判断を読売新聞はどう評価するか?

2013-11-21 00:06:59 | Weblog
 いま11月20日の午後8時ジャストです。NHKのクローズアップ現代を見た後、このブログ記事を今日中に書いて投稿します。
 実は今掲載中のブログ『フィギュアスケート競技のNHKニュース7の報道スタンスは偏向しているぞ!』の訪問者・閲覧者が減少するどころか増加の一途をたどっているため、このブログ記事にコメントされた読者(おそらくNHKの関係者かNHKから金銭を貰ったと考えられる人)に対する私の反論を早く投稿したいのですが、その前に緊急投稿しなければならない事態が生じましたので、あえて割り込み投稿することにしました。その緊急問題とは、昨年末の総選挙について最高裁判所が「違憲状態での選挙だった。一人別枠方式を廃止はしたが不十分」という判断を今日下したことをNHKのニュース7で知ったからです。
 そもそも選挙制度改革は、総選挙後の通常国会における喫緊の課題の一つでした。というのは、2009年に行われた総選挙における1票の格差2.30倍が最高裁において11年3月に「違憲状態」という判決が下され、2倍以上の格差が生じたのは小選挙区導入時に「一人別枠方式」が設けられたためと判決理由が述べられ、「一人別枠方式」の排除が求められていたのです。
「一人別枠方式」というのはすべての都道府県に小選挙区制とは別枠で衆議院議員を選出するという制度です。小選挙区制度が導入されたのは自民党単独政権下における1994年で(実施されたのは96年の総選挙から)、農村など地方に大きな選挙基盤を築いてきた自民党が、人口の少ない過疎地域の声も国政に反映すべきだ、というもっともらしい口実をつけて47都道府県のすべてに別枠で一人ずつ議員を割り振るという、党利党略に基づいた制度でした。
 その制度がなぜ「国民の権利はすべて平等」という憲法の理念に反しているかというと、たとえば人口が最も少ない鳥取県(59万人)と最も多い東京都(1316万人)に同じく別枠で一人の議員が割り振られると、この制度で当選した議員が獲得した1票の重みは22.3倍にも上ります。その結果、小選挙区制における選挙民の1票の重さに2倍以上の格差が生じることになったのです。
 ちなみに総選挙における1票の格差を列挙しておきます。
 第43回総選挙(2003年)  2.15倍
 第44回総選挙(2005年)  2.17倍
 第45回総選挙(2009年)  2.30倍
 昨年の後半、国民の支持を失っていた民主政権に対して自公野党は早期解散を強く迫りました。その当時の政局については詳しくブログで書いていますが、民主・野田首相が安倍・山口・小沢の3党首に党首会談を呼び掛け、11月14に実現しました。しかも、その会談は異例中の異例とも言える公開討論でした。ふつう党首会談は行き詰った政局を打開するため密室で行われます。もちろん国会での対決は国民の目にさらされて行いますが、政局を打開するための駆け引きである党首会談を公開で行うということは通常ありえません。それは野田首相が打った最後の大博打でもあったのです。選挙制度改革についての党首会談のやり取りを朝日新聞が記事にしています(要約)。その部分を転載します。

安倍 野田総理は確かに約束した。(消費税増税の)法案が成立したあかつきには、近いうちに信を問うと。法案は成立した。約束の期限は大幅にすぎている。
野田 1票の格差と定数是正の問題。1票の格差の問題は違憲状態だ。一刻も早く是正しないといけない。一方で定数削減は、2014年に消費税を引き上げる前に、まず我々が身を切る覚悟で具体的に削減を実現しなければいけない。それを約束していただければ、今日、近い将来を、具体的に提示したい。
安倍 まずは0増5減。皆さんが賛成すれば、明日にも成立する。
野田 定数削減はやらなければならない。消費税を引き上げる前に、この国会で結論を出そう。どうしても定数削減で賛同してもらえない場合は、ここで国民の皆さんに約束してほしい。ここで定数削減は、来年の通常国会で必ずやり遂げる。それまでの間は議員歳費を削減すると。このご決断をいただければ、私は今週末の16日に解散してもいいと思っている。
安倍 まずは0増5減。これは当然やるべきだ。来年の通常国会において、すでに私たちの選挙公約において、定数の削減と選挙制度の改正を約束している。山口 総理はこの16日にも解散してもいいと。
野田 16日解散、ぜひやりたいと思うが、問題は1票の格差と定数削減だ。ぜひ協力を。

 実際には安倍総裁は翌日、党首会談での約束をあっさり撤回しました。朝日新聞は15日の夕刊で「削減数、公約に記さず…安倍氏方針」と報じました。
 すでに皆さんご承知のように、昨年末の総選挙で自民党が圧勝しました。そして再び自公政権が成立し、通常国会で選挙制度改革の一環として0増5減法案が成立しました。その結果、いちおう1票の格差は1.98倍に収まり2倍以下になることになりました(次の総選挙からです)。ただ、人口の大都市集中化は依然として進行しており、次期総選挙では1票の格差は0増5減では2倍を超えると指摘する人も少なくありません。ただし民主はこの法案に反対しました。民主の方針は一貫して「1票の格差是正と定数削減のセット」だったからです。
 この0増5減法成立に諸手を挙げて賛成したのが読売新聞でした。読売新聞は社説でこう主張しました。
「そもそも昨年の衆院選前に1票の格差を是正できなかった主たる責任は、当時の与党・民主党にある。衆院解散を先送りする『党略』の思惑から、格差是正と抜本改革の同時決着に固執したためだ。民主は昨年秋、ようやく『0増5減』の先行処理に同意したのに、いまになって反対に転じ、抜本改革との同時決着に回帰するのは筋が通らない。緊急性を擁する格差是正が次期衆院選に間に合わない恐れさえ生じよう」
 その後、11月16日には一応国会で小選挙区の一人別枠方式の規定が削除され、0増5減の選挙区見直しを定めた法案が成立しましたが、新たな区割りで一人別枠方式は温存されました。今日の判決で最高裁は、前回の訴訟と同様総選挙については「違憲状態」との判断にとどめましたが、一人別枠方式を事実上温存した「選挙制度改革」については厳しい注文を付けました。
 さて読売新聞は、この最高裁判決についてどう評価するでしょうか。消費税増税は景気の腰折れを招く、と社説で消費税増税に反対した読売新聞は、消費税増税が決まったとたん反対論を引っ込めてしまい、常に権力にすり寄る姿勢をあらわにしましたが、今回は一人別枠方式を事実上温存した新区割りを批判した最高裁判決をどう受け止めるのでしょうか。民主の党利党略を批判したからには、自民の党利党略も批判しないと筋が通らないと思うのですが……。

フィギュアスケート競技会のNHKニュース7の報道スタンスは偏向しているぞ!

2013-11-10 06:16:26 | Weblog
 NHKがフィギュアスケートの世界的大会を、グランプリ・シリーズの一つであるNHK杯以外に初めて午後7時のニュースで報道しました。ちょっと古い話ですが、10月26日の土曜日です。
 そのニュースはNHKにとっては天地がひっくり返るような事件です。私はニュースを見て、おまわず「ウソ!」と小さくつぶやきました。
 その日は夕方、テレビ朝日がグランプリ・シリーズの2回目であるカナダ大会の男子ショートを放送したのでした。テレビ朝日にとっても、グランプリ・シリーズを午後7時からのゴールデンタイム以外に放送したのは、たぶん浅田真央選手の活躍でフィギュア人気が沸騰して以来初めての大事件だったはずです。
 理由は新聞のラテ欄を見てすぐわかりました。その日、テレビ朝日はゴールデンタイムにプロ野球の日本シリーズ(楽天対巨人)を中継することになっていたため、おそらく編成上の都合で夕方に放送せざるをえなくなったようです。
 私は翌朝、真っ先に新聞のラテ欄をチェックして、また目をむきました。なんとテレビ朝日はグランプリ・カナダ大会の競技を日本シリーズの中継のあとに放送するというのです。つまり野球には興味がないけどフィギュアは見たいという人にとっては、いつフィギュアの放送が始まるのか、まったくわからないという異常な事態が生じてしまったのです。
 プロ野球の中継は、普通のリーグ戦の中継だったら放送終了時間が決まっていますから、野球中継後の番組を見たい人にとっても不便は生じないのですが、日本シリーズは試合終了まで放送します。だから27日はテレビ朝日としてはできれば日本シリーズが始まる前の夕方にフィギュアの放送をしたかったのでしょうが、やはり編成上の都合で夕方には放送できず、いつ終了するかわからない日本シリーズの中継終了後に放送することにしたということです(テレビ朝日視聴者センター担当者はその理由について「編成上の都合です」としか言いませんでした。私は6時前の放送番組が再放送のコンテンツだったので、「どういう都合なのか」と何回も食い下がって聞きましたが、「編成上の都合としか申し上げられません」としか答えてくれませんでした)。
 今年のグランプリ・シリーズはスタートのアメリカ大会からカナダ大会、中国大会とテレビ朝日が独占していて、今後もNHK杯を除くフランス大会、ロシア大会、初めて日本で開催されるグランプリ・ファイナルもテレビ朝日が独占放送する予定になっています。
 実はスタートのアメリカ大会は例年のごとく二日ともゴールデン・タイムに放送しましたが、今年は放送当日の昼のニュースで結果を映像付きで報道していました。これも異例のことですが、どうせネットで視聴者は知ってしまうのだから昼のニュースで流してしまえという報道部門の判断が働いたのでしょう。
 そういえば国内でのビッグゲームは全日本選手権とグランプリ・シリーズのNHK杯ですが、この放送について面白いエピソードがあります。
 まずフィギュア人気が沸騰するきっかけとなった浅田真央選手が15歳でNHK杯に完全優勝したときのことです。この年までNHK杯は昼間に開催されていて、伊藤みどり選手が大活躍した時期以来スター選手が出なかったこともあってフィギュア人気は低迷していました。しかし、浅田真央選手がトリプル・アクセルを成功させてNHK杯でビッグデビューを飾って以来、再びフィギュア人気が沸騰したのは周知のことですが、NHKがスポーツ中継を録画で、しかも7時のニュースのあとに放送すること自体が異例なことです。基本的にNHKは海外のスポーツでも生中継を原則にしており、BS放送を始めてからは米大リーグの野球などは録画放送するケースも増えてきましたが、日本で昼間に行われたスポーツを録画で、しかもゴールデンタイムに放送したことはかつてなかったはずです。
 問題は1日目の7時のニュースでアナウンサーが「浅田真央選手がショートをトップで通過しました」と、結果を報道してしまったことです。思わず私は「そんなのあり!」と口の中で叫んでしまいました。理由は二つです。一つはNHKが国内のスポーツを生ではなく録画中継したことです。もう一つは、7時のニュースの直後のゴールデンタイムに放送されるスポーツ競技の結果を事前に報道してしまったことです。しかもNHKは新聞のラテ欄に「録画」という表示さえしませんでした。これは不作為の虚偽表示と言えるのではないでしょうか。
 私は当然NHKの視聴者センター(当時の呼称。現在はふれあいセンターと称しています)に電話をして猛烈に抗議しました。「スポーツ放送の結果をあらかじめニュース番組で報道してしまうのは、たとえば推理小説のまえがきで犯人とトリックの種明かしをしてしまうようなものだ。そんな推理小説をだれが読むか」と。視聴者センターの担当者はやはり「編成上の都合です」としか言いません。理由を何度聞いても「編成上の都合としか言えません」と突っぱねられました。
 問題は2日目のフリー競技の放送でした。新聞のラレ欄にはやはり7時のニュースのあとに放送される表示がされていたので昼ころNHKに電話して「今日も録画放送か」と聞きました。電話に出た担当者は「少々お待ちください」と調べたうえで「今日は生中継です」と答えました。で、私は安心して7時のニュースを見たのです。もし録画だったらニュースはパスするつもりでしたから。ところがニュースの冒頭でアナウンサーがかなり上ずった声で「浅田真央選手が優勝しました」と、またしても結果を事前報道したのです。私は本当に頭に来て、またNHKに電話をして「なぜ嘘をついた」と抗議しました。当時からNHKは視聴者からの電話はすべて録音していて(電話番号もわかる仕組みにしています)、その日に電話対応した担当者は「お客様に間違えた情報をお伝えしたことを確認しました。誠に申し訳ありません。厳重に注意しておきます」と謝ったので少しは怒りが収まりました。
 もう一つのエピソードはフジテレビが独占放送している全日本選手権です。NHK杯は私が猛烈に抗議した翌年から生放送になりましたが、フジテレビは昼間開催される全日本選手権は今でもゴールデンタイムに録画放送をしています。
 全日本選手権は今季からですが、オリンピック出場枠(男女とも3人ずつ)の選考基準がポイント制になり、グランプリ・シリーズ(ファイナルも含む)や世界選手権の優勝者が獲得するポイントより多いポイントがもらえる、選考基準対象競技の中で最高位を占めるほどの大会ですが、なぜか昼間に行われる競技を生中継せず、ゴールデンタイムに放送しています(今季は未定)。おかしな話です。
 もう何年前か覚えていませんが、日本で行われる競技だし、NHK杯も生放送するようになったのだから全日本選手権も生だろうと思っていました。当然放送の前半は無名選手の演技ですから7時からNHKのニュースを見たあとチャンネルをフジテレビに切り替えましたが、まだ無名選手の演技中だったのでインターネットを見ようとパソコンを起動したとたんヤフーの画面に競技結果が出ていたのです。それで初めて録画放送なのだということが分かりフジテレビの視聴者センターに電話をして、少し意地の悪い質問をしてみました。「今フィギュアの放送を見ているんだけど、これは何時に行われた競技ですか」と聞いてみました。視聴者センターの担当者は「番組担当者におつなぎします」と番組制作部門に電話を回してくれました。制作部門の担当者(女性)はいけしゃあしゃあと「いま競技中です。これは生放送ですよ」と答えたので「ネットを見ながらフィギュアを見ているんだけど、ネットでは結果が流れていますけど」と言うと、女性担当者はあわてた調子で「少々お待ちください」と電話を保留にし、男性の番組責任者と思われる方が電話に出て「彼女は勘違いしてお答えしたようです。午後1時から競技は行われました」と答えました。「番組制作部門の方が勘違いするわけないでしょう。虚偽対応するよう制作部門で決めていたんでしょう」と追及しましたが、相手は冷静さを失わず「そんなことはありません。彼女の勘違いです」と言い張りました。
 そのやり取りのあとNHKに電話をして抗議をしました。NHKは7時のニュースで全日本選手権についてまったく触れませんでしたから。その日のニュースでNHKは昼間行われたラクビーの天皇杯準決勝を映像付きで報道したのにです。
 電話に出たのは男性のアテンダーでした。その日初めて私はNHKのふれあいセンターの体制がどうなっているのかわかりました。部長―副部長―チーフまでがいちおう責任者ということになっており、視聴者が電話をかけたとき最初に対応するのがアテンダーと呼ばれる職位の人です。簡単にアテンダーとのやり取りを書いておきます。
「なぜ、フィギュア競技の全日本選手権の結果を報道しなかったのか ?」
「ちょっとお待ちください」(上司に聞きに行った様子)「民放がいま放映中で、放映権がNHKにはありませんので。しかし9時のニュースの後半やサタデースポーツでは報道する予定です」
「映像が出せないことはわかっている。しかしプロ野球などは映像なしで結果や途中経過を報道しているではないか。全日本選手権は、国内でのフィギュア競技で最高ランクの競技だ。ラクビーの天皇杯準決勝より重要なスポーツだ」
「私はそうは思いません。ラクビーの天皇杯準決勝のほうが重要なスポーツだと思います」
 あきれ返った私は「上司に替わって欲しい」と要求し、チーフに代わってもらった。チーフにアテンダーとのやり取りを話したところ、チーフから最初に返ってきた言葉は「アテンダーが自分の意見を言ったのですか」だった。
「そんなことはどうでもいい。問題はなぜ7時のニュースで日本で最大のフィギュア競技である全日本選手権の結果を映像なしでも報道しないのか」
「私にはわかりかねますので、ご意見はスポーツ部門にお伝えします」
 このやり取りがあっても、その後もNHKの報道姿勢は変わりませんでした。
 スポーツ、それもビッグ・イベントは生放送が原則です。結果を知ってしまったら録画放送など見る気がしなくなるのは当然です。なぜかフィギュア競技はNHK杯を除いて開催国の昼間にしか行いません。そしてグランプリ・シリーズは生放送ではなく、原則ゴールデンタイムに録画中継しています。国際スケート連盟(ISU)が競技の昼間開催を原則にし、放映権を獲得した放送局にはゴールデンタイムでの録画放送を義務付けているのかもわかりません。他国の放送事情は私はネットでも調べる方法がわかりませんので、調べる方法をご存じの方がいらしたらぜひ教えてください。
 それはともかく、実は今年の春、NHKの報道スタンスについてふれあいセンターの責任者である視聴者事業局・視聴者部副部長の山本健一氏とFAXで何度かやり取りをしたので要点を公開します(ブログで公開することは山本氏には伝えてあります)。

小林(4月11日) 重要な質問があります。NHKは国民の人気が高いフィギュアスケ-トの試合結果を、なぜ午後7時のニュースで報道しないのですか? 前回の世界選手権の時も、新聞が夕刊ですでに結果を報道しているのに、ニュース7では一切触れず、民放の録画中継が終了した後のニュースウォッチ9でしか放送しませんでした。世界選手権の毎日の結果は当日新聞各紙が夕刊スポーツ面のトップ記事で扱っていましたし、NHKも土曜日のサタデースポーツ、日曜日のサンデースポーツではトップニュースとして大々的に報道されました。まさか、とは思いますが、民放の録画放送の視聴率稼ぎにNHKが協力しているのではないでしょうね。もしそうなら裏で金が動いていると思わざるをえませんので。
NHK(4月17日 視聴者部の担当管理職…無記名) NHKでは、スポーツについては、公共放送として、視聴者の多様な期待に応えられるよう、プロ、アマチュアを問わず、国内外の大会や選手・団体の動向などをニュースや番組で取り上げています。フィギュアスケートに限らず、大会の意味合いや競技の結果などを総合的に判断するとともに、それぞれのニュース番組の放送時間なども勘案しながら放送しています。
小林(4月19日) 当然のことながら日本人が大きな関心を持つスポーツ競技は海外で行われるスポーツでも生中継が原則です。オリンピックのようにいくつかの競技が同時に行われるようなケースは、あまり国民の関心が高くない競技(ということは視聴率が取れない競技)は録画放送されることもありますが、国民の関心が高い競技はどんな深夜であっても生中継です(NHKだけでなく民放も)。国内で行われるスポーツ放送で録画放送が多いのはゴルフだけで、これはそれほど視聴率が取れないため、放送時間を短縮するために行っている手法で、視聴率がとれようがとれまいが日本オープンだけはNHKが生中継しています。民放も4大メジャーは必ず生中継しています(当然深夜か早朝になります)。再度同じ質問を繰り返します。なぜNHKはすでに結果が分かっているフィギュアスケートの国際的な大きな競技会や日本選手権の結果を午後7時のニュースで絶対に放送しないのですか。ちゃんとした説明を再度要求します。 
山本(4月26日) スポーツ報道の場合、競技映像の放送権の有無により、映像が使える場合、すぐには使えない場合など、さまざまなケースがあります。大会の意味合いや競技結果の重要度、速報の必要性、ニュースの放送時間帯・放送枠などを総合的に勘案し、お伝えしています。早く伝えることが必要と判断されれば、ほかのニュースと同様に映像を使えない場合でも、写真や文字の情報でお伝えしています。(※まったくのウソ。今年のグランプリ第1戦のアメリカ大会で浅田真央選手が久しぶりにトリプル・アクセルを成功させて完全復活して優勝したことと無名の新鋭・町田樹選手が2位に24点以上の大差をつけてぶっちぎりの優勝をして、グランプリ史上初の男女制覇というビッグニュースは、映像放映権を持つテレビ朝日ですら放送前の朝・昼のニュースショーで報道したのに、NHKは7時のニュースで全く触れなかった。山本氏の回答はデタラメだった)
小林(4月26日) 子供じみた言い訳はいい加減にしなさい。私は一般論をお聞きしているのではなく、なぜ常にフィギュア競技の結果を午後7時のニュースで報道しないのかの理由をお聞きしているのです。NHKは結果がすでにはっきりしているフィギュアの世界的大会について、民放がゴールデンタイムに録画中継をする場合、今まで一度も7時のニュースで報道したことはありません。
 ※今季のグランプリ・シリーズ2回目のカナダ大会はテレビ朝日が放映権を獲得したが、日本シリーズの日程と重なったため、すでに述べたように1日目のショートは野球中継の前に録画放送したためNHKもこのブログの冒頭に書いたように7時のニュースで報道したが、優勝者が決まる2日目のフリーの結果は、テレビ朝日が野球中継後に放送することになっていたため、フィギュアの放送開始時間が確定せず、肝心のテレビ朝日が朝と昼のニュースショーで結果を報道していたのに、NHKは2日目の結果を7時のニュースで報道しなかった。山本氏の言い訳がウソであることは歴然としている。さらにグランプリ・シリーズの4回目である日本大会のNHK杯に関しては7時のニュースで浅田真央選手の練習まで放映し、2日目のフリー競技が行われた日には7時のニュースの冒頭でいきなり男子競技で優勝した高橋大輔選手の活躍を報道しただけでなく、ニュースの最後のほうで報道するスポーツ報道では高橋選手の演技だけでなく、2位に入った織田信成選手の演技まで映像付きで報道した。
 私が問題にしているのは実はNHKの報道基準ではありません。人気スポーツの世界は一般的な社会常識では考えられないことがまかり通っています。たとえばグランプリには出場できてオリンピックには出場できないとか、サッカーもオリンピックに出場できる年齢制限や出場選手の人数枠が決められています。そうした制限を決めているのは国際オリンピック委員会(IOC)ではなく、国際スケート連盟(ISU)や国際サッカー連盟(FIFA)です。一般人ならだれでもオリンピックが世界最大で最高の権威あるスポーツの祭典だと思っています。しかし実はIOCはISUやFIFAの尻の下に敷かれている存在でしかないのです。NHKがISUに逆らえず、結果がすでに分かっているにもかかわらず7時のニュースで報道できないのは、NHKがISUから「もし民放の録画中継の前に結果をニュースで報道したら、NHK杯の開催権を取り上げる」と脅かされているからなのでしょう。「NHKの判断」で決められないのでしょう。
山本(5月8日) フィギュアスケートの報道についてのNHKの考え方・姿勢につきましては、これまでに回答申し上げた通りです。大会の意味合いや競技結果の重要度、速報の必要性、ニュースの放送時間帯・放送枠などを総合的に勘案し、お伝えしています。あくまでNHKの自主的自律的な判断に基づいて放送しています。

 以上がフィギュアスケートの結果を7時のニュース(ニュース・セブン)でのNHKの報道基準について、私が山本氏とFAXでやり取りした要点です。私のブログ読者の皆さん、このやり取りからNHKの報道が公正であり公共放送機関としての合理性を保っていると思われますか。私は、はっきり言ってフィギュア競技に関してはNHKは偏向報道をしていると考えています。
 たとえば11月3,4日に行われた東日本選手権の結果について、NHKは優勝者については何も触れず、安藤美姫選手が2位に入賞したことだけを映像付きで報道しました。私がNHKふれあいセンターのチーフにその理由を聞いたところ「ソチオリンピックの出場につながる大会ですから」と答えました。東日本選手権はソチオリンピックに直結する大会ではありません。全日本選手権への出場権を獲得するための競技に過ぎません。もちろん全日本選手権はソチオリンピック出場枠に直結する大会ですが、東日本選手権はフィギュア競技ではマイナーな大会の一つにすぎないのです。
 確かに安藤選手の動向には国民の多くが注目していることは事実です。しかし国民の多くが注目していることと、国民の視聴料で賄われている公共放送のNHKが、どんなことがあっても一年中変更なしで放送しているニュース7で報道しなければならないほどのことでしょうか。NHKのニュース報道には公正さがない、と私は断定します。そんなNHKに視聴料を支払う義務が国民にあるのかも疑問に感じています。
 



山本太郎議員の非常識行動は「天皇の政治利用」が目的ではない。

2013-11-05 05:43:15 | Weblog
 山本太郎参議院議員の非常識な行動が話題になっています。言うまでもなく10月31日に開かれた園遊会の席で突然天皇に「直訴」した事件です。
 この非常識な行動に関して、山本氏の選挙を支援した生活の党や社民党は困惑していますが、困惑どころで収まらないのが自民や公明、維新などの反山本陣営。国民の象徴である天皇は憲法で政治への関与を禁じられているのに、山本氏は天皇を政治利用したと議員辞職を迫っています。マスコミもほぼ同様な扱いで山本氏の行動を天皇の政治利用と批判しています。
 全国紙5紙のうち、この問題を社説で取り上げたのは読売新聞だけですが、読売新聞社説のタイトルも『山本議員の直訴 天皇の政治利用に自覚がない』といった調子です。
 で。私はちょっと違うのではないかと違和感を覚えました。そもそも山本氏は無所属で、どの政党にも属していません。彼が政治活動らしきことを始めたのはTVドラマの体当たり演技で人気が出てきた2011年で、福島原発事故をきっかけに反原発運動を始めたのが最初です。
 国政への参加を志したのは翌12年12月の衆議院選挙で東京6区から出馬しましたが、このときは次点に泣きました。そして自民ブームに沸いた13年7月の参議院選挙で東京都から出馬し、反原発・反TPPなどをスローガンに善戦し、逆風が吹く中で見事に当選を果たしたのです。極左の中核派からも支援されての勝利で、それなりに東京都民の民度のレベルの「高さ」を反映した結果でした。
 そんな程度の議員がそもそも天皇を政治利用などできるわけがないのは当り前の話です。脱原発派に転向した小泉元首相が行った行為であったら、天皇を政治利用しようとしたと考えられなくもないのですが、一介のタレント上がりの、元来は政治無関心層の一人に過ぎなかった山本氏の行動は、天皇を政治利用しようとしたなどと大げさにとらえるべきではなく、アントニオ猪木氏の湾岸戦争時のイラク訪問や、たびたびの北朝鮮訪問と同じく、単純な自己顕示欲から生じた政治的パフォーマンスに過ぎないと考えるべきでしょう。
 それを自民の石破幹事長や維新の橋本共同代表などがちょっかいを出すものだから、山本氏の知名度はTVドラマの無関心層(私もその一人。今回の騒動で初めて山本氏なる議員がいたことを知ったくらいですから)まで含めてたちまち全国的に広まってしまいました。これだけの知名度アップを広告宣伝費に換算するといくらくらいになるか、電通に教えてほしいとマジに思っています。
 そういう意味では山本氏のパフォーマンスは見事に成功したと言えなくもないのですが、山本氏の計算が間違っていたのはパフォーマンスのマイナスイメージが全国的に広まってしまうという、彼の思惑と正反対の結果が出てしまったことです。
 山本氏は記者のインタビューで、マスコミが騒ぎ立てなければ政治利用と批判されるようなことはなかったのに、と嘆いていますが、それはとんでもない言い逃れで、園遊会ではテレビカメラが天皇をずっと追っていることを百も承知で、だから園遊会に呼ばれたという絶好の機会をとらえてパフォーマンスを演じたのですから、TVドラマで演じてきたように(私は見たことがありませんが)男らしく「ドジっちゃいました。勇気ある行動とマスコミが報じてくれると思ったのが、ちょっと考えが甘かったようです」とあっさり謝ってしまえば、マスコミもそんなアホを相手にしても仕方がないと、3行記事程度の扱いですんだだろうと思います。
 それにしてもなぜ新人議員が園遊会に出席できたのでしょうか。その疑問を投げかけたマスコミやジャーナリストは私が知る限り皆無です。
 そもそも園遊会は春と秋の2回、赤坂御苑で開催され、天皇皇后をはじめ皇族が主催者の立場で、衆参両院議長、政府首脳、国会議員、都道府県の知事、市町村長、各裁判所のトップ、各界の功績者とそれぞれの配偶者を招き、天皇皇后をはじめ皇族方が招待者と親しくお話になるイベントです。招待者の数は春がおおよそ1750人程度、秋が1000人余ですが、該当者の総数は配偶者も含めると、おそらく10万人くらいはいるのではないかと思います。その中から宮内庁が毎回招待者を選ぶのですが、参議院議員の1年生で国政にまだ何も貢献したことすらなく、しかも選挙では極左の中核派の支援を貰って当選したような山本氏を宮内庁がなぜ招待したのか、そのことに疑問を抱いたマスコミやジャーナリストはだれもいません。情けないの一言に尽きませんか。
 また園遊会は招待者の位置、とくに天皇・皇后や皇太子・皇太子妃などが親しく会話を交わされる指定席が決まっていて、早いもの順に並ぶわけではありません。だから最初その指定席に山本氏が割り込んだのを宮内庁職員が見つけて列の後方に誘導したようです。で、やむなく山本氏は天皇が近くに来られた時に列をかき分けて天皇の前にしゃしゃり出て直訴に及んだということのようです。
 山本氏が、福島原発の事故をきっかけに政治に関心を持ち、原発反対運動を始めるのは自由ですし、生活の党や社民党だけでなく極左の中核派の支援まで貰って選挙活動をすることも自由です。しかし天皇に自分の反原発論を訴えて、天皇が反原発運動に参加してくれるとでも思ったのでしょうか。それほどのバカではないと思いますよ。
 会社員でも、能力を見込まれて突然3段抜きの抜擢をされ、そのチャンスを生かしてさらに能力を向上させる人もいれば、その逆にプレッシャーに押しつぶされてうつ状態に陥ってしまう人もいます。またそれだけの能力がなかったのに、権力を手に入れて舞い上がってしまい、周囲の顰蹙を買う人もいます。山本氏の場合、間違いなく3番目のケースです。
 それなりに歴史のある政党から立候補して議員の座を射止めたのであれば、たぶん天皇に直訴するようなことはしなかったと思いますが、無所属で立候補し自民ブームが吹き荒れた参院選で自民の候補に競り勝った結果、のぼせあがったのでしょうね。
 自分が蒔いた種は自分が刈り取るというのは、どの世界でも当然取らなければならない自己責任ですから、やはりマスコミだけでなく世論もあきれ返っているのですから、潔く議員を辞するべきでしょうね。それだけの味噌をつけてしまった以上、たとえタレント活動に戻ったとしても、だれも見向きをしてくれないと思いますけどね。

 なお小泉元首相の脱原発発言の問題については、実はとっくに原稿は書き終えているのですが、みの門他騒動のブログ記事の閲覧者がなかなか減少せず、連休明けにでも投稿するつもりだったのですが、その間に山本氏の直訴問題が生じ、脱原発問題はそんなに急を要する話ではありませんから、この記事を割り込み投稿することにしました。脱原発問題についてはこのブログの次に投稿する予定ですが、ひょっとするとフィギュアスケートについてのNHKの報道姿勢に関する記事も現在書きかけていますので、タイミング的にどっちを先に投稿することになるか、お楽しみに……。