『死者の長い列』原題:A Long Line of Dead Men(死者の長い行列) ローレンス・ブロック著 田口 俊樹訳
「マット・スカダー」シリーズ-12作目
一年に一回、生と死を確認しあう(最後のひとりが残されるまで)という「三十一人の会」メンバーの死に疑いを持つ人物(メンバーのひとり)から依頼を受け、マットの調査が始まります。 その疑惑とは、現在の会員が32年後の今14名となっていて、その死亡率の高さに思い至ったからでした。 自殺、事故などで処理された件も誰かが「全員を殺してまわってる。我々全員をひとりひとり殺してまわってる。そんな気がするんだよ」との依頼者の言葉がありました。 犯人は物故者として読み上げられていた人物で、実は死んでいなかった。 彼は「三十一人の会」のメンバーで居たくなかった、メンバーに嫌悪感を抱いていた、それは自身の境遇に比べ他のメンバーは毎年会うごとに段階を進んでいると感じていた? それが疎ましかったのかも知れません。 妬み?から、綿密に粘り強く殺人計画を実行する情熱があるなら、その情熱を自身の人生に懸けられなかったのかしら・・・
大勢の命を奪った彼には「終身刑」が科せられました。 離れ小島の建物の中、コンクリートの床に足枷を固定され、選択肢として「青酸カリ入りのカプセル」と「天井から吊るされたロープ」が用意されていました。 終身刑と言っても法律上のものではなく、「三十一人の会」のメンバーが下したものでした。 死刑ではなく。 さて犯人は自殺を実行するのか、あるいは他のメンバーよりも長生きするのか、離れ小島で・・・
このシリーズでエレインと結婚したマット、「三十一人の会」のメンバーの一員になっていました。 これから物故者の名前が読み上げられても、それは殺人によるものではないでしょう。 「死というものが何処に向かうにしろ逝ってしまった者たちで、彼らの「章」は終わり新たな「章」が始まるのだ」と、会の始まりに死者の名前が読み上げられ、そのリストは灰になります。 毎年それが繰り返されるのです。
「死」とは避けられないもの。 いつかは巡ってくるものです。 それが穏やかなものでありますように・・・