五月の頃です。
うっすらと霧のかかる山道で、ひとり、シャッターを切りました。
この山道の周りには田園風景が広がっています。
霧が立ち込めた事で、辺りは風景を失い、
自分が立つこの道だけが鮮明に、そして霧の彼方へと続いているのが見えました。
途中、若葉生える一本の木に目が留まりました。
思い出してみると、私が小さかった頃からこの場所に立っています。
その小さかった頃から比べても、この木は全然大きくなっていない様な気がしましたが、
私の目線も自身の成長と共に高くなり、この木の成長と同調しているがために、
大きさの変化を感じないのかも知れません。
そう考えると、何か共に歩んでいる様な気がして、この木に愛着と親近感が湧くわけです。
自然の恵みとは、こういった感情の中にも染み渡るものなのだと感じました。