この度、富士フイルムフォトサロン企画展・「写真家たちの新しい物語」と題して、齋藤大悟写真展「海辺の輪郭」を開催させて頂くことになりました。東京展は5月29日(金)から6月11日(木)まで、仙台展は8月6日(木)から8月25日(火)までとなっております。今回の写真展は、僅か10年足らずではありますが、ふるさと「象潟(きさかた)」の海辺を、私なりの志で撮影してきた結果の作品展となります。海辺に足を運ぶたびに得られる発見や感動は尽きることがなく、その繰り返しの中で、人間にとって「確かな情報」とも言うべき大切なものが、自然の中にこそ示されているのではないかと思い至るようになりました。それは、日々膨大な情報があふれる現代社会にあって、強く気付かされる思いでもありました。
一人の写真を志す者として、その「確かな情報」をフィルムに収めたいと考えるのはごく自然な流れでもありました。対象の本質に迫りたいと何度も海辺に足を運び、風景の中に確かな情報を見出そうと、自然が残した軌跡をたどるようにフィルムに収め続けて来ました。しかし、いつの頃からか風景の中にではなく、 自分自身の中に見出すことの大切さを痛感するようになりました。対象の本質に迫ることは自らの本質にも迫ることではないか。その確かな情報とは自らの本質に迫ろうとすることによってフィルムに投影されるのではないか。そうした思いのもとでシャッターを切り続けているうちに、求めるものの輪郭が少しずつ見えてくるような気がしました。
「人間の本質に迫る写真表現」の追求は、私のライフワークであると同時に、写真を撮る原動力であり精神の支えでもあります。人の心の奥底に訴えかける表現とは何かを考え自問自答する毎日です。シャッターを切り続けることで自分自身の在り方をも見出して行きたい・・・。今回の写真展、何かその一端でも感じて頂ければありがたい次第です。
齋藤大悟
★東京展の告知が「フジフイルム スクエア」ホームページに公開されておりますのでご覧頂ければ幸いです。
http://fujifilmsquare.jp/photosalon/tokyo/minigallery/15052903.html