別のミシンの修理で伺ったのですが、これも整備して欲しいとお預かりしました。
シンガーの古い足踏みミシンです。
ミシン台に畳まれたままずっと使われていなかったようですが、糸調節器の糸取りバネも折れて無いし、状態は悪くないと思ってお預かりしました。
前はかなり使われていたのでしょうな。
縫い埃が凄いです。
油っ気が全くないです。
表面の茶色いのは埃かと思いましたが塗装の劣化ですな。
made in Great Britain・・・
イギリス製?
シンガーってアメリカのミシンメーカーじゃなかったっけ?
それは兎も角、研磨剤の入ったワックスで磨くと却って塗装が壊れそうだったので・・・
全体にミシン油を塗布することにしました。
乾燥肌に油分を補う感じでしょうか?
メッキ系の部品は磨けば綺麗に成りそうです。
辞めとこうか?って思ってたのですが(笑)一応糸調節器も分解整備しました。
下糸を巻くときに使う部品・・・
これじゃ使い物に成りません。
ネジが落ちてお客様が間違えて組み立てたままでしょうか?
正しくはこうです。
釜の取り付け・・・
糸が絡んだ時とかバラせるように成っていますが、バラしたらお客様自分では組み立てられないのでは?
このタイプはかなり古いミシンの証拠ですな。
組み立てて試し縫いをしようと思いましたが・・・
長い事ミシン屋やってますが、見たこと無いタイプです。
家庭用ミシンでも新しいモデルでは殆ど見ない半回転釜用のボビンケースですがなんか違う。
右がこのミシンに付いていたので、左が普通の半回転釜用・・・
正反対じゃん!
ナニコレ?(珍百景)
とにかくボビンをセットしてみて試縫い・・・
縫えないし・・・
なんで?
ピンボケ写真で分かりにくいですが、釜の剣先が針の左側を通ってます!
普通は右側を通ります。
ナニコレ?(珍百景)
普通に糸を通したのが、なんか糸の流れがよじれてる。
これは・・・
こうしろって事?
普通はこのタイプのミシンは左から右に糸を通しますが、普通の裏返しに針を取り付けて右から左に糸を通したら・・・
縫えました!
長い事ミシン屋やってますが、本当にこんなミシン見たこと無い。
まぁ、ちゃんと縫えるように成ったし・・・
メッキは光ったしボディーの艶が復活しないのは残念ですが、磨くと塗装が剥げるだけなのでこれで完了です。
元々のミシンはこの釜の作りが普通だったのかな?
今の感覚だと針は裏返しに付けますから、今の家庭用ミシンの針を付けていいものか?戸惑いましたけど多分これでいい?
もしかしたら職・工業用の丸針の方が良いのだろうか?
珍しいミシンをいじれて楽しかったです。
お客様にお届けする前にもう少し研究してみようと思います。