
昨日、私はすごく懐かしいお方にお会いしました。
「さんたろうさんではありませんか、私のことわかります?」とお上品な初老の女の方に声をかけられたのです。でも懐かしい顔のお方なんですけど、ボケ老の私にはどのようなお方だったのかが思い浮かびませんでした。
「恭一の家内です」とおっしゃる言葉に、一瞬30数年前のことが思い浮かび「お幸せそうでよかった!」と思わずその方の肩をだいて私は叫びました。
ばばちゃんに言いつけられてスーパーに買い物にいって籠いっぱいのカートを押して店を出た時のことなんです。その方は店の中でずーっとさんたろうさんじゃないかと見ていたとおっしゃるんす。
30数年前私たち夫婦は私の勤めの関係である町の町営住宅に暮らしていました。そして近くにお住まいの恭一さんご夫婦と親しくおつきあい頂いておりました。
でも、悲しいことに若くして恭一さんは病でお亡くなりになり、奥様は悲しみのうちにとりあえず実家のほうにお帰りになることになりました。
私たち夫婦は奥様とお別れする数日前、少しでも慰めと思い出になればとご一緒に吉カ平らの水織音(みおりね)の里に早春のミズバショウの花を尋ね喜んでいただきました。 それ以来30数年ずーっとお会いすることはなかったのです。
お聞きすると、その後縁あって有力な町会議員の方と再婚なさり今は幸せですとおっしゃいました。ほんとうにお幸せそうな姿に嬉しくなりました。
帰宅してばばちゃんにそのことを話すと、ばばちゃんの顔もも喜びに輝きました。
あんなに悲しみにうちひしがれていたお方が今は幸せいっぱいになっていらっしゃる、私たちも嬉しくて幸せいっぱいになりました。
今日の散歩のおり、早春の雪の消え間の流れにコガモやカルガモたちが泳いでいるのを見ながら、生きていることはいいことだとしみじみ思いました。