続・切腹ごっこ

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「今度生まれるときも‥」

2006-10-28 | ★白虎隊

四郎:「今度生まれるときも、また会津で会おうな。」
源七郎:うなずく
悌次郎:
「さつき殿が待ってるもんな‥!」ズブッ!(短刀を腹に突き立てる)

↑20年前の
日テレ版「白虎隊」の自刃シーンの一部。改めてビデオをチェックしたわけじゃないから、もしかしたらセリフとか違うかも‥。この駒四郎をイメージして描いてみた。

 周囲では幼なじみや学友が次々に脇差を腹に突き立て喉を掻き切っていく。いつもいっしょに弓の稽古をした虎之助が‥、白虎隊に入れたことを誰よりも喜んでいた俊彦が、今は腹から内臓を垂らしながら呻いている。俺ももうすぐあんなふうに‥。覚悟はできているのだが、それでもやはり短刀を握る手が震えてしまう。恐怖を振り払おうと、つとめて気丈に振舞う。わざと乱暴な手つきで軍服の前を押し広げた。そして口元には笑みすら浮かべながら、親友二人に声をかけた。
「今度生まれるときも、また会津で会おうな。」
 出陣の前日いいなずけと祝言を挙げたばかりの源七郎が、唇を噛み締めながらうなずく。
「さつき殿が待ってるもんな‥!」
 悌次郎がいつものようにいたずらっぽく笑って、短刀を腹に突き刺した。
「うぅ‥!」
 泣き笑いのような表情を浮かべたまま悌次郎がうずくまる。筒袖はみるみるうちに真っ赤に染まっていった。
 軍服を手早く脱ぎ捨てて、源七郎は立ったまま大刀を腹に突き立てた。肉の薄い腹に刀が深々と突き刺さる。
「さつき‥、ごめん‥」
 悲しそうに呟いて源七郎はその場に崩れ落ちた。
 駒四郎はあたりを見回した。すでに皆腹を切り喉を突き、あるいは差し違え血溜まりの中に伏していた。気がつくと短刀を握った手はもう震えていなかった。今は恐怖も感じない。皆といっしょにいきたい‥。ただ
そう思うだけだった。
「俺も、今いく‥!」
 短刀を躊躇なく左脇腹に突き立てる。刃が内臓を突き破るのを感じた。間を置かず横に押し切る。常日頃からの練習の成果か、刃は抵抗なく腹を切り裂いた。鮮血が飛沫き腸が遠慮なく顔を出す。
 ああ‥、これが切腹なのか。みんな、こうやって死んでいったんだ‥。
 駒四郎は、腸が溢れ出てくる感触を楽しむかのようにしばらく己の腹を見下ろしていたが、やがて静かに突っ伏した。

★今回のイラストの大きいサイズのものは
■新作Gallaryに展示。

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