続・切腹ごっこ

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「愛の切腹」

2009-01-11 | ★レビュー(本)
以前譲り受けた書籍の中の一冊「美男三世相 愛の切腹」と「血染めの白日夢」を読んだ。


「美男三世相 愛の切腹」

 一介の浪人から身を立てるため、十六歳の磯貝勝弥は眉目秀麗な容姿を生かし大名皆川丹波守義堯の稚児小姓になった。見事義堯の寵愛を一身に受けることに成功した勝弥であったが、他の稚児小姓や一般の家臣の新参者への風当たりは強かった。唯一、速水滝之進という若い武士だけは無口ながら何かと勝弥のことを気にかけてくれた。
 しかし三年が過ぎた頃、勝弥は新しく召し抱えられた十五歳の稚児小姓糟谷千之丞に義堯の寵愛第一の座を奪われる。千之丞の美しさは数多居る他の稚児小姓たちとは比べるまでもなかった。勝弥は元服し、名を源八と改めて一般の家臣として引き続き義堯に仕えることを許された。

 間もなくして、宿直を命ぜられた晩に源八は義堯の寝所へ呼び出される。そこで義堯に、千之丞と交わることを要求される。主君の命に背くわけにはいかず、源八は義堯が眺める前で千之丞と交わった。その一夜のことをきっかけに、源八の胸には千之丞への初めての恋心が芽生える。それは千之丞の方も同じであり、二人は主君の目を盗んで密通を繰り返した。寵愛を受ける主君を出し抜いての不義密通は大罪である。この次は無いかも知れぬという思いが二人の恋を燃え上がらせたが、とうとう源八と千之丞の関係は目付岩田主膳の知るところとなる。
 二人の処分は斬罪となるところ二人揃っての切腹を許された。しかしそれは褌一枚しか身につけぬ姿で行わなければならなかった。主膳は以前源八に言い寄ったことがあったが、源八はそれを拒絶した。それを根に持っていた主膳は、義堯に源八と千之丞を交わらせることを進言し、二人を恋仲にして不義密通させその罪を裁く企てを立てたのだった。

 主君義堯や主膳ら皆川家の家臣が居並び皆一様に好奇の目を向ける中、源八と千之丞は褌一枚の姿で庭先へ引き出された。衆道を貫き通し美しいまま念者とともに腹を切って死ねるのは、源八千之丞双方にとって本望であった。源八は、かつては寵愛した者たちが無惨に腹を切って死ぬ光景に期待を膨らませる主君義堯と、二人を謀略にかけて不義密通の罪に貶めた主膳を語気を荒げて糾弾した。
 源八は、己のするようにせよと千之丞に言い、褌の横帯の下に短刀の刃を突き立てた。常は横帯の上に突き立てるものだがと周囲がいぶかしむ中、千之丞も同様に腹に突き立て、二人は同時に横一文字に腹を搔っ捌いた。すると縦帯が上下に裂け、二人の股間に屹立したものが露わになった。割られた腹からは血と臓腑が溢れ出て二人のものを赤い天狗の鼻のように濡らした。雄々しくそそり立つ男根は纏わりつく腸管の重さに耐えているばかりでなくその硬さを増し、ついに若いうめき声とともに同時に濃い精を放った。源八は見たかと義堯と主膳を睨みつける。
 この光景を見て義堯は小姓に支えられてよろよろと奥へ引っ込み、辺りは騒然となった。千之丞の介錯人は一刀で白く細い首を刎ねることができたが、源八の介錯人の手元は二度狂った。突け突けと狂ったようにどなる主膳の声に後押しされた家臣たちの手により源八の骸は無残なものになった。

 しばらくのち、不義不忠を訴える紙片とともに主膳が変わり果てた姿で発見される。その紙片にあった署名の主、速水滝之進は源八と千之丞の亡骸が葬られた塚の前で、もろ肌脱いで腹を切った姿で見つかった。その腹は「菱に二つ引き」という磯貝家の家紋の形に切り開かれ、死に顔は美しく幸せそうなものであった。


 男性切腹フェチの自分にとって、義堯や主膳にも、源八や千之丞にも感情移入できる物語だった。美少年と美青年の二人そろっての凄絶な切腹の光景も眺めてみたいとも思ったし、自分の美しい恋人とともに腹を切りたいとも思った。
 源八千之丞が切腹した後、その場を片付ける下郎二人が会話する場面がある。「芝居で何回も見た腹切りよりも、やっぱり本物の切腹はすげぇ」とか「気持ち良さそうにすっ飛ばす二人を見て、自分もたまらなくなって出しちまった」とか、「こんないい若衆としっぽり濡れてみたかった」とか、この二人にも共感できる部分が多かった。
 最近の記事に比べると凄く硬派な記事を書いているように感じる‥w

 次回は「血染めの白日夢」の感想を書こうと思う。

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