自分セラピー

「自分を好きでいる」ことは人生を豊かにしてくれます。そこに気づかせてくれる沢山のファンタジー文学を紹介していきます

珍道中2008初夏編その3

2008-06-13 17:04:52 | ばばファンタジー
夕食は、みんなの大好きな中国料理。
おみっつぁん(体重28キロ)も、よっ子ちゃん(体重32キロ)も、食が細いのに、いつも全部平らげます。

器の美しさ、料理の素晴らしさ、おもてなしの気持ちよさ、そして居心地のよさ。
ボクも、このお店が大好きです。
日本の各地にあるこのホテルに、スタッフ旅行でも毎年出かけます。
もちろん、この中国料理にいつも舌鼓を打つのです。

夕方5:30分から始めた食事が、おわったのが、なんと9:00。
二時間半も、よく食べ、よく話し、よく笑った笑った。

この日は、食事の後に、ゆっくりと温泉に入り、遅くまでみんなで笑い、もちろんパリポリし、がばがば飲み(日本茶ですが)、みんなが休んだのが12:00過ぎ。

恐るべし、ばばパワー。

翌朝。
ボクは、いつも5時前には起きるのですが、さすがに疲れていたようで、目が覚めたら6:00。

「ん?聞こえる・・・・」
話し声と、お茶をすする音と、なにやらパリポリ。

「おはよぉ」と、声をかけると、やえちゃんとおばさんがソファで、もう朝から笑ってます。
「ちょっとぉ、朝っぱらからまた食べてんのぉ?」
「味見よ、味見、だっておなかすいちゃったんだもん」
「ひえーっ」
「ひゃっひゃっひゃっ」

何と朝は4:30には起きていたそうです。

そのうち、よっ子ちゃんもお目覚め。
そして最後におみっつぁんも、「あーよく寝たぁ」。
そろいました。
黄金のばばたち。いや、もう白金(はっきん)か?

おばさんは、現在4世帯同居。
それも都内、新宿区。
大きな家ではありませんが、みんなで寄り添って暮らしています。
おばさん、息子夫婦(ボクのいとこ)、娘二人、その娘の一人が旦那と子ども二人と同居。
8人家族です。ひ孫が一緒に住んでいるんですよ。

ボクも小さい頃、この家にしばらく住んでいました。
ペンキ屋さんで職人さんがたくさんいました。
たぶん3歳くらいから小学校2年生まで。
ボクにとって、唯一の大家族の中での暮らしでした。
たくさんの思い出があります。


家の前の路地にろーせきでいたずら書きをしたこと。
石を放り投げて、隣の家のガラスを割ったこと。「だれだぁ!」という声が今でも耳に響いている。
いとこのひろしちゃんの後ろをくっついて、「金魚のうんこ」だったこと。
近くの天神様の境内で自転車の練習をしたこと。
そのころ生きていたおばあちゃんの部屋が好きだったこと。
夕暮れ時に母親が仕事に出かける姿を、縁側から見ていたこと。
おばさんが買い物に連れて行ってくれたこと。
その時に握っていた手のひらをくすぐられたこと。
「そのうち、おばさん達が年取ったらボクが養老院を作ってあげるよ」と言って、喜ばれたこと…
もう、50年近くもたったんだ・・・。


そんなことを、彼女たちを眺めながら感慨深げに思い出していると、
「かずちゃん、朝ごはん何時から?」
現実に引き戻されます。
「うーん、おなかすいたの?そうだなぁ、いつでもいいんじゃない?」と答えている間に、もう、4人は違う話で盛り上がっている。
(ちゃんときけーっ!)

「あの、北海道のさ、生キャラメルが美味しいんだって」
「しってるしってる、テレビでやってた。あの人でしょ?あの人」
「そうそう、あの人よ」
「えーっ、だれーそれ」
「ほら、あの人よ。ワタナベじゃなくてナントカ」
「アー、あの牧場のぉ」

すっ、すごい、これでわかっちゃう。(タレントのタナカヨシタケらしい・・・たぶん)
高齢者の「あれ」と「それ」には、特別な力があるんだ、きっと。

「すんごく美味しいんだってぇ、食べてみたいなぁ」
「美味しいわよぉ、あたしひとつもらって食べた事あんのよ。」
「あの人も、すんごい借金してたんだって。」
「なんでぇ?大変ねぇ、あーいう人は」
(あーいう人ってどんな人じゃ)
「でも今、凄いのよぉ」
すると突然、今まで黙って聞いていたおみっつぁんが・・・
「へーっ、それでそのラーメンそんなに美味しいの」
「・・・・・・」
「誰がラーメンの話してんだよっ!違うよ、キャラメルだよ、キャラメル、まったくどっからラーメン出てくんだよ、まったくもう!」と、やえちゃん。
「あっそっかー、ケラケラケラ。でもすごいね、キャラメルで借金返しちゃったの」
「ぎゃははははっ」

・・・・聞いているボクは、アタマが壊れそうになってくる・・・。
「朝ごはん・・・いこか?」と、ボク。

でもその前に・・・

朝起きると、全員、小さなバッグから取り出すものがあります。
何だかわかりますか?
クスリ。
高齢者には欠かせません。
1人平均、5種類。
みんなで、『プチン、ごっくん』
これが、医療費の高騰の一因。
「そんなに飲むな」ともいえず、本人たちは何のクスリなのかはっきりと理解もしていない。
「これはね、血圧、それでね、これが・・・なんだったかなぁ」
「わたしのはね、痛み止めと、おなかの」
「おなかの何?」
「なんだろうね、医者が出すからさ、のまないとさ、悪いじゃない。」
これが日本の高齢者医療の現状か・・・。

朝食も、たっぷりと時間をかけて、普段飲まないジュースもいただいて。
「おいしい、おいしい」を朝から聞けるのもうれしいもの。
「あたしたちの小さい頃は、グレープなんてなかったもんね」
「グレープじゃなくて、グレープフルーツ」
「うん、そう、グレープ、おいしいね」

「さぁ、そろそろ出かけようか。」と、ボク。
「そうね、じゃ私はトイレ」
「あたしもトイレ」
「あたしもぉ」

やっぱり出かけるまで、30分はかかります。

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