またまた、感動ファンタジーに出会いました。
『太陽の戦士』ローズマリ・サトクリフ
紀元前900年ごろのイングランド丘陵地帯のお話。
ドレムという、片腕の少年の成長物語であり、歴史ファンタジーです。
このころは青銅器時代と呼ばれ、鉄器時代に移り行く直前の時代です。
勇者と呼ばれる「金色の髪の狩人」と、牧畜を預かる下働きの「黒い人々」とに分かれ、その時代の王国を生き抜いていたのです。
この物語の主人公ドレムは、自分が片腕であることは認識しつつも、そのことで、狩人にはなれないという現実を知らずに育ちました。
まさに、この物語は、ボクたちの男性性を成長させる、象徴的な物語なのです。
無鉄砲な子ども時代には、ヒーローになりきって遊ぶことができました。しかし、成長するにつれ、自分の限界を知ることになり、自分の可能性を自分の手で摘み取ってしまうのです。
この少年ドレムは、祖父から、その現実を直面させられます。
「おまえは狩人にはなれない」と。
弓を引くための、右腕が聞かないうえに、狩人になるには、オオカミをしとめなければならないのです。
12歳の春になると、村の男たちは、「わかものの家」に共同で住み始めます。
3年にわたって修行を積み、15歳の冬に、一人ずつ順番にオオカミをしとめに森に入っていくのです。
イニシエイション(通過儀礼)ですね。
世界中に、成人になるための通過儀礼がありました。
もちろん、この日本でも。
しかし、ヨーロッパは狩猟民族でしたから、通過儀礼の形も、このような死を賭したものになるのです。
少年ドレムは、誰にも負けない槍の使い手になりました。
たくましく育った彼は、仲間たちがオオカミに殺されたり、見事にしとめるのをずっと見守りました。
そしていよいよ、春が近くなったころに、ドレムの順番が来ます。
森一番の巨大なオオカミを見つけ、彼はついにそのオオカミを追い詰めます。
静かな戦いは、一転して、オオカミとの死闘になります。
あわや、オオカミがドレムののどをかみちぎろうとした瞬間に、ドレムの親友ポトリックスが、オオカミにやりの一撃を加えます。
神聖な成人の儀式は、誰かの助けをもらってはならないのです。
この瞬間に、ドレムは、オオカミをしとめる栄誉も、オオカミに殺されるという名誉も失ってしまいます。
彼に残された道は、「黒い人々」とともに、羊を追う生活に入ることだけ。
そして、一冬が過ぎ行くころに、彼の前にかつてのあのオオカミが登場するのです。
結末は是非自分で読んで欲しいので、これ以上は書かないでおきましょう。
この物語は、男性にとって「自分を成長させる心理プロセス」が見事に表れている
名作です。
ボクが、毎年6月から始める「絵本・おとぎ話セラピー講座」では、「女性の自立のための物語」を扱っています。
この本を読んでみて、講座にぜひとも追加したい物語になりました。
男の自立・・・も、大事だよね
『太陽の戦士』ローズマリ・サトクリフ
紀元前900年ごろのイングランド丘陵地帯のお話。
ドレムという、片腕の少年の成長物語であり、歴史ファンタジーです。
このころは青銅器時代と呼ばれ、鉄器時代に移り行く直前の時代です。
勇者と呼ばれる「金色の髪の狩人」と、牧畜を預かる下働きの「黒い人々」とに分かれ、その時代の王国を生き抜いていたのです。
この物語の主人公ドレムは、自分が片腕であることは認識しつつも、そのことで、狩人にはなれないという現実を知らずに育ちました。
まさに、この物語は、ボクたちの男性性を成長させる、象徴的な物語なのです。
無鉄砲な子ども時代には、ヒーローになりきって遊ぶことができました。しかし、成長するにつれ、自分の限界を知ることになり、自分の可能性を自分の手で摘み取ってしまうのです。
この少年ドレムは、祖父から、その現実を直面させられます。
「おまえは狩人にはなれない」と。
弓を引くための、右腕が聞かないうえに、狩人になるには、オオカミをしとめなければならないのです。
12歳の春になると、村の男たちは、「わかものの家」に共同で住み始めます。
3年にわたって修行を積み、15歳の冬に、一人ずつ順番にオオカミをしとめに森に入っていくのです。
イニシエイション(通過儀礼)ですね。
世界中に、成人になるための通過儀礼がありました。
もちろん、この日本でも。
しかし、ヨーロッパは狩猟民族でしたから、通過儀礼の形も、このような死を賭したものになるのです。
少年ドレムは、誰にも負けない槍の使い手になりました。
たくましく育った彼は、仲間たちがオオカミに殺されたり、見事にしとめるのをずっと見守りました。
そしていよいよ、春が近くなったころに、ドレムの順番が来ます。
森一番の巨大なオオカミを見つけ、彼はついにそのオオカミを追い詰めます。
静かな戦いは、一転して、オオカミとの死闘になります。
あわや、オオカミがドレムののどをかみちぎろうとした瞬間に、ドレムの親友ポトリックスが、オオカミにやりの一撃を加えます。
神聖な成人の儀式は、誰かの助けをもらってはならないのです。
この瞬間に、ドレムは、オオカミをしとめる栄誉も、オオカミに殺されるという名誉も失ってしまいます。
彼に残された道は、「黒い人々」とともに、羊を追う生活に入ることだけ。
そして、一冬が過ぎ行くころに、彼の前にかつてのあのオオカミが登場するのです。
結末は是非自分で読んで欲しいので、これ以上は書かないでおきましょう。
この物語は、男性にとって「自分を成長させる心理プロセス」が見事に表れている
名作です。
ボクが、毎年6月から始める「絵本・おとぎ話セラピー講座」では、「女性の自立のための物語」を扱っています。
この本を読んでみて、講座にぜひとも追加したい物語になりました。
男の自立・・・も、大事だよね
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