自分セラピー

「自分を好きでいる」ことは人生を豊かにしてくれます。そこに気づかせてくれる沢山のファンタジー文学を紹介していきます

『放課後の時間割』・・・・学校ねずみのお話し

2007-02-19 17:46:35 | 児童文学
ボクの担当している「ホリスティック心理分析講座」の、毎回の一番人気は第5回目に行われる「おとぎ話による個人セッション」です。

受講生たちが、幼い頃に読み聞かせしてもらったり、自分で読んで記憶に残っている物語りを持ち寄ります。

そして、その物語の中に、自分の人生が表現されていて、主人公のように「幸せ」や「豊かさ」を手にするにはどうしたらいいのかというヒントを、みつけていいくのです。

毎回、たくさんの物語を聞くことになります。
もちろん、よく知っているものあれば、初めて聞く物語もあります。

物語好きなボクにとっても、毎回わくわくする時間です。

さて、今回初めて聞く物語がいくつかありました。
その中でも、J・Yさんが、もって来てくれた『放課後の時間割』に、いたく感動してしまいました。

この物語は、小学校の図工の先生をしている「ぼく」に助けてもらった、「学校ねずみ」のお話。

「野にすむのがノネズミで、どぶにすむのがドブネズミ。とすれば、学校にすむのは学校ネズミ、じゃないかね」・・・と、淡々と自己紹介するネズミなのです。

生まれるとすぐに、一年生の教室の天井裏で勉強を始めます。
そして、2年生、3年生と勉強を続け、話すことも、書くことも、歌うことも人間の子ども達と一緒に?学ぶのです。

ところが、この物語に出てくる学校ネズミは、そのネズミたちの最後のネズミ。
女ネズミの会議をしていた家庭科教室が火事になって、年取ったネズミから寿命がつき、若かったこのネズミだけが今生き残っているというわけです。

「学校ネズミは、お話をつくったり、話したりすることが大好きなんだ。みんなすぐれた語り手だった。・・・・しかし、最後の学校ネズミには、もう語りつたえる若いネズミはいない。・・・・・そこでだ。わたしに語りつたえられたお話を、あんたきいてくれないかな・・・・」

そんなわけで、毎週月曜日の放課後に、「ぼく」は話を聞くことになるのです。

J・Yさんは、そのネズミのお話の中から「しゃっくり」というお話を聞かせてくれました。

●一年生ネズミの話

一年一組に「サッちゃん」という女の子がいて、その子が授業中にしゃっくりをはじめました。
とめたくてもとまらずに、となりの席のユキオ君が、からかい始めます。
ところが、ユキオ君もしゃっくりが始まって、二人を注意しようとした先生も「ウィッ」としゃっくりを始めます。

クラス中大笑い・・・・ところが笑っているみんなも「ウィッ」。

隣のクラスの先生が覗き込んだら、その先生も。クラスに戻ってそのクラスもみんな・・・。

騒がしいので校長先生が注意をしにいって、「ウィッ」。
それを聞いた教頭先生も「ウィッ」としゃっくりしながら校内放送。

そしたら学校全体が「ウィッ」。

PTAの仕事できていたお母さんも「ウィッ」。
あわててうちに帰る途中で、町の人にも「ウィッ」。

町中大騒ぎ。
放送局に電話した人がいて、臨時ニュースを放送した。

この放送のお陰で日本中が「ウィッ」。

ちょうど外国に電話していた人も「ウィッ」。
たちまち中国へも、アメリカにもフランスにも・・・・
あっという間にしゃっくりは世界中に伝染してしまいます。

後ろからそっと忍び寄ってびっくりさせれば、しゃっくりは止まるんだけど、しゃっくりしているからびっくりさせられない。

世界中が、仕事もできないし、勉強だってできないし、戦争だって中止になる。

そんなときに、「ぐうぜん」地球上の全部の人のしゃっくりのタイミングがぴったり合った。

学校ネズミは言います。
「すごいもんだね。しゃっくりといったって、バカにできないよ。全人類の力がそろうと、地球がブルッてふるえたんだ。
『地震だぁ――っ!!』
みんな、びっくりしたんだね。
それで、さすがのしゃっくりもとまっちゃった。
全人類がよろこんだね。
となりにいた知らない人とかたをたたきあって、だきあってよろこんだよ。
このとき、いっしょによろこびあったのがきっかけで、ずいぶんたくさんの人が、あたらしく友だちになったんだって。
サッちゃんとユキオくんみたいにね」


どうですか?
なんだか、とっても素敵な物語だと思いませんか?

世界はつながっている。
星野道夫さんも、ガイアシンフォニーも伝えているけど・・・

こどもたちに、こんな形で「世界がつながっていること」が伝えられるなんて、なんて素敵なファンタジー。

ちょっと目頭がうるっとしてしまう物語でした。

他にも学校ネズミのお話がたくさんあります。

読んで見てくださいね。

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