自分セラピー

「自分を好きでいる」ことは人生を豊かにしてくれます。そこに気づかせてくれる沢山のファンタジー文学を紹介していきます

『 地下室からのふしぎな旅 』  柏葉幸子

2015-06-24 06:18:54 | ファンタジー
村上春樹の 『 ねじまき鳥クロニクル 』 は、井戸だった。


『 ナルニア国物語 』 は、クローゼット。


神沢利子の 『 銀のほのおの国 』 は、トナカイの頭のはく製。


『 千と千尋の神隠し 』 では、あの古びたトンネルだった。


不思議の世界への扉は、ものすごく身近に存在する。


子どものころに、自分が生きている世界のすぐ隣に、もう一つの世界が存在しているといった妄想を何度もしていたことがある。


掘り炬燵の中にじっと身をひそめた時や、押し入れの中で息を殺していたとき、外に出たら違う世界にいるんじゃないかという期待と不安。


そして、そんな自分お姿を、あっちの世界からは丸見えなのに、ボクたちからはその世界が見ることができない。


世界中で、ボクだけがそれに気づいてしまった、、、、なんて。


ひとり遊びが得意なボクだったので、毎日いろんな妄想を楽しんでいたような気がする。


柏葉幸子さんは、なんとボクと同じ1953年生まれ。


あの名作 『 霧のむこうのふしぎな町 』 のファンタジー作家。


その作家の初期の作品の一つが 『 地下室からのふしぎな旅 』。


母親のお使いで苦手なチィおばさんが開いている薬局に来たアカネ。


おばさんの手伝いで降りた地下室、


なんと、その土地が、もうひとつ別の世界と重なっていて、共有している土地になっている。


その世界から契約更新に来た片メガネのヒポクラテス。


層なんですよ、この世界は別の世界と重なっている、、、。


ひょんなことから、チィおばさんとアカネは、ヒポクラテスと一緒に、そのもう一つの世界へ旅立つことに。


この作品が発表されたころのボクは、サラリーマンをやめて、自分で会社を設立。


うまくいかずに苦しかったなぁ。


お金がなくて、毎日の生活に困って、でもプライドばかり高くて、現実に対してものすごく狭い見方しかしていなかった。


あのころは、児童文学やファンタジーなんて馬鹿にして、全く読まなかった。


河合隼雄先生が言うように、あの苦しいときにこそ、こういったファンタジーを受け入れるだけのイメージの力があれば、活路は見いだせたように思う。


一見ばかばかしいようだけれども、児童文学やファンタジーは、今もボクのイマジネーションを刺激してくれる。


今の目の前の苦難や問題は、ほんの少しだけ視点を変えるだけで、あっという間に抜け出せるはず。


もうしばらく、柏葉さんにはまります。






















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