サンマは秋刀魚と表現され、「刀」という字のごとく美しい魚体を持ち、栄養価の高い貴重な魚です。頭から背中にかけて盛り上がり、厚みのある秋刀魚が良いと言い、おいしく食べるには目が透き通って澄んでいる鮮度を見極めて買わなければならないでしょう。
秋刀魚の脂肪は、脂が多ければ多いほど美味しいし、一般的に「脂肪」といえば「体に良くない」「太る」と思いがちですが、この脂はDHAに代表される魚油が多く、バターやラードのような動物性脂肪ではないので、魚の脂肪に関しては体に良く、全く逆といわれています。
心臓病や脳卒中を防ぎ、認知症、白内障を予防し、ストレスを緩和する作用があるといいますから、この秋、秋刀魚を十分堪能したいと思います。
ところが、2015年のサンマ100g値段は72円で、それ以降2023年7月 (過去103ヵ月)の期間で最も高かった最高値月は昨年9月で100g が188円でした。値段は、季節や地域によって異なりますが、昔と比べて徐々に上がっています。
初物とそれ以降の秋刀魚では、価格や水揚げ量が違うため、初物は高価格となり、庶民の値段となれば、今年 1匹200円前後ではないかとも言われています。
日本酒のツマミには、何といっても炭火で焼いた「サンマ」で、刺身で食べるなら名古屋駅前の柳橋中央市場付近のすし屋か居酒屋で食べるのがお薦めです。
今年の黒潮の流れが北へ伸びず、サンマの餌のプランクトンが大量にある地域まで到達しないため、漁場は小ぶりのサンマが多いと言います。小ぶりで値段が上がるとなれば、踏んだり蹴ったりで、それでもサンマは欠かせず、酒の肴(さかな)の優れものに違いがありません。
気候変動で食べ物の値段や大きさが変動するのは仕方ないとしても、せめて味だけは 昔も今も変わらないでほしいものです。