織田です。いよいよ引越しの日も迫り、この街を離れる日も後一週間となりました。今年の冬はこちらも暖かく、ご覧のとおり桜(?)に似た小さな花の並木道もピンクに染まってきました。お世話になったこの街に感謝しつつ、こちらからの最後の投稿をさせて頂きます。
「お客様は神様です」とは、昨年11月に開かれたベルギー日本人会主催の日本語スピーチコンテストの優勝者の題名です。その人は日本に留学した時、日本のお店の店員さんの親切な対応や品揃えの豊富さ、製品の質の高さに驚き、その根本にある考え方が「お客様は神様です」という言葉に表される、お客様を大切にする精神であることを知ったそうです。ここブリュッセルに限らずヨーロッパでは、残念ながらお客様はあまり大事にされていないことを身にしみて感じている彼女は、ヨーロッパにもこの言葉が浸透するといいなあ・・・と思ったそうです。
私もこちらの一応デパートで経験したビックリ話を少し・・・7月のことでした。夫がジーパンを買いにデパートに行って、当然のことながら(?)裾上げをお願いしたところ、「今はバカンス中なので、できあがるのは9月になります。」!??
勿論、では結構です・・と言ってその場を去りました。
閉店前にお店に入ると、10分前でも鍵の掛かるショーケースの中の品物を見せてくれません。「もう時間ですから・・・」彼女たちが帰るのが6時なのです・・
10月のことでした。夫のネクタイを買いにデパートに行きました。品揃えはあまりなかったのですが、とにかく一つ選んでレジに持って行きました。二人の店員がいるレジに行って、「これ下さい。」と差し出すと、店員は「これには値段がついていないので、レジに打つことが出来ません。」と私に返すのです。私はビックリして「私が捜すんですか?」ときくと、「ウィ、マダム」。半分呆れ、半分可笑しくなってもとの場所に行った私は、同じメーカーの別のネクタイの裏に値段を発見してレジへ。するとレジ係は、「これは別のネクタイだから」と言うのです。私は最初に私が買おうとしたネクタイの裏をひっくり返して彼女に見せました。そこにはちゃんと値段が書いてありました。彼女はごめんなさいとも言わず、「OK]と言ってレジ打ちをしました・・・
・・・というところなので、スピーチコンテスト優勝者の話も説得力があったのでしょう。でももちろん、親切な店員さんも一杯居ます。В каждой стране разные люди.(どこの国にもいろんな人が居るものだ。)ということなのでしょう。
最後に、五十歳を過ぎたおばちゃんが異国で暮らせた理由の一つに、日本食材店の存在があります。やはり食事は毎日のことだし、年をとってくると和食が最高です。「いらっしゃいませ~」と感じの良い声が聞こえ、和食の材料が揃っていると嬉しくなって、よく通いました。私がよく通った「はるちゃん」です。本当に有難いお店でした。
私は異常なほど岩塚製菓の「黒豆せんべい」が好きで、半年ほどは我慢(?)していたのですが、ある日「はるちゃん」で訊いてみると、「メーカーと名前が分かればいつでも入荷できますよ」とのこと。お願いして2ヶ月くらいした頃、ブリュッセルでバリバリと黒豆せんべいを食べている私がいました。以来、私は「黒豆せんべいの奥さん(?)」と認識されたようです。(ここに写真をアップしようかと思いましたが、宣伝をしているみたいなので、興味のある方は今度スーパーで捜してみて下さい。)
最後は、この「はるちゃん」のすぐ近くの教会も桜が綺麗だったので、写真に撮りました。世戸君、懐かしいでしょう? 奥様が「花の綺麗な時期など、良く散歩に来ました。」とおっしゃっていたのを思い出しました。6年も住んでいらしたのですから、思いは格別でしょうね。
では、古い歌の題名を拝借したブリュッセル最後の投稿を終わります。長々とごめんなさい。日本に帰りましたら、また以前同様よろしくお付き合いください。