特別に水墨画に思い入れがあるわけでは、ない。
ないのだけれど、
これが正解!がない芸術の世界を生きていくのは、
とても迷うし、もがくし、
迷宮に入ってしまったような感覚になるのは想像できるし、
進む方向は見えなくなるし、
だからといって辞めることもできず、
立ち止まれといわれても止まれなくなるのも
それ故に体を壊すまでいってしまうのも、
原因不明な何か(病気的な、なんとも言えないもの)、になってしまう感覚も、
わかる。わかるのよ。
(もちろん、そうなったことがあるという話ではなくて、
この延長上にそういう世界がある、というのがわかる、ということだけれどもね)
ということで、私にとってのこのシリーズを読むのは、かなり痛みが伴うなと思う。
でも、離れはしないのよね…。
離れられない、が正しいか。
それから、主人公が小学生に水墨画を教えるエピソード部分。
教えている方はすごく疲れる。
そして、何かを伝えることができたのだろうかと思うあたり。
これまた、「だよねぇ…」って思った。
毎年、悩み続けてる。
たった1時間で伝えられることなんて、ほとんどない。
やる意味は、そうだね、あると信じたい。
いつか、なにかの場面で、そういえばと思い出してくれる時があるなら、嬉しいよね。
そういう結びに繋がるならいいなあと思った場面でした。
その他、師匠の思い、
兄弟子の葛藤、
その「線」の表すもの…等々
言葉に表すのは難しいけれど、
好きな本のひとつです。
誰かにダメって言われても、自分が素敵だと思ったことを信じなさい。そこにあなたの宝物が見つかるから。あなたにしか見えない宝物がこの世界にはたくさんあるから。
早く動いたほうがいい。立ち止まって、また動けなくなる前に。不完全でも、ふんぎりがつかなくても、誰かに会いに行くことを躊躇ってはいけない。
次の瞬間、会えなくなることも、この世界にはあるのだから。
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