「せんせいちょっときて」と手を引かれてお部屋に連れていかれると、「そこにねてください」という指示があり、言われた通りに横になると、「これからしゅじゅつをします」とマスクをしたとり組さんたちによる手術が始まりました。私は一刻を争う急患という設定になっているようです。お腹をいじられるくすぐったさに耐えながら、子どもたちが手術前の消毒までちゃんとする様子に、よく見てるなあと感心させられました。これは「ドクターヘリごっこ」という、ちょっと驚きのあそびなのです。私も知らなかったのですが、『コードブルー・ドクターヘリ』という救命救急の現場を描くドラマがあり、子どもたちはそこに登場するドクターとナースになりきっているようなのです。いったいどんなドラマなのだろうと初めて観てみました。確かにイケメンのお兄さんと可愛いお姉さんが、患者さんを助けるべくきびきびと働く姿にあこがれるのはわかるような気がします。このドラマは内容的にも毎回大切なことが描かれているようで、私が観た時にはこんなエピソードがありました。子どもをなくした母親がその死を受けとめられず、病院を訪ねては娘が入院している病室に連れて行って欲しいと懇願します。それに対し、ある研修医は困惑しその母親に同情しながらも、現実を受け入れることを求め、もしこのまま同じことを繰り返すなら精神科へ連れていかなければならないと諭します。一方、何度となくそのやり取りを見ていた他の研修医は、やがて、大きすぎる悲しみの事実を人が受けとめることがどんなに難しく、またどれほど長い時間が必要であるか、自分の思いで見るのではなく、悲しみと嘆きの中にある人に寄り添い、共にいようとすることこそが大切だということに気づきます。そして、その母親を病室に連れて行き、こう語りかけます。「また来てください。何回でも、何十回でもご案内します」。
大人向けの、しかも遅い時間帯のドラマを子どもたちが観ることは、なるべく避けて欲しいと思います。でも、この番組に惹かれ、楽しみに観ている子どもたちが、このような場面をどのように感じているのだろう、などとふと思わされたのもまた事実です。
大人向けの、しかも遅い時間帯のドラマを子どもたちが観ることは、なるべく避けて欲しいと思います。でも、この番組に惹かれ、楽しみに観ている子どもたちが、このような場面をどのように感じているのだろう、などとふと思わされたのもまた事実です。