普段何気なくいろんな場面で多用している言葉ですが、この「結構」という言葉の意味や由来を聞かれると答えられない人が殆どでしょう。
私もツレアイが「結構です」と返答した場合には、「どういう風に結構なんや?」と問い返すことがチョイチョイありますが、本当の「結構」の意味が判っていない一人なので、少し調べて見ました。
<goo辞書>では、
[名]
1 全体の構造や組み立てを考えること。また、その構造や組み立て。構成。
2 もくろみ。計画。
3 したく。用意。
[形動]
1 すぐれていて欠点がないさま。
2 それでよいさま。満足なさま。
3 それ以上必要としないさま。
4 気だてがよいさま。
[副]完全ではないが、それなりに十分であるさま。
と、色々な説明がされていますが、どうもすっきりしません。
更に調べていると、<ナッシ―の語源帳>と言うホームページに出会い、充分に納得できましたので、ここから抜粋/引用させて頂きましょう。
まず、“「結構」ということばをいろいろな場合に「結構」使います”というダジャレから始まり、「結構」という言葉の使用例が紹介されています。
1) 書類を作成して上司にみせたら, 「うん,結構だ」
2) 茶室で 「結構なお点前でした」
3) 「お前の今日のファッション,結構いいセンいってるじゃん」
4) 「息子さんの就職が決まったんですか。それは結構なことですね」
5) 「この饅頭うまいぞ,食べてみろよ」 「ちょっと糖尿の気があるので結構です」
6) 「これからみんなでカラオケに行くけど,◯◯君もどう?」 「いやぁ・・・,ボクは結構です。歌は苦手なんです」
1) の「結構」は「OK」、 2) は「十分によい」、 3) は「かなり」、 4) は「ありがたい」とか「めでたい」、 5) は「要りません (食べません) 」、6) は「やめときます (行きません) 」のニュアンスが含まれています。
色々な状況で使える「結構」という言葉は,便利といえば便利ですが,余りにもいろいろな意味に使えるだけに,時に誤解を招いてしまうことばでもあります。
例えば、「ご飯,おかわりいかがですか?」 と聞いたところ、「はい,結構です」 との返答がありましたが、これは「はい,おかわりお願いします」 ともとれますし, 「いいえ,お腹がいっぱいですから,おかわりは遠慮します」 ともとれます。
意外にも本来は建築に関する言葉でした。
「結」は綱などを結び合わせることで、「構」 は木と木をかみ合わせることです。
つまり,「結構」は,建築において,綱で結びつけ,木を組み合わせて,念入りにていねいに作りあげていくことなのです。
そういうことですから,「結構」という言葉は、元々は“念入りな計画をたてて準備する” というような意味だったようです。
その意味が拡大されて,「文章の構築における用意周到」の意味にも使われるようになり、更に段々と「そういう準備に基づいて実施された結果がたいへんよかった」というような賞賛の言葉としても使われるようになったようです。
そこから 「満ち足りています」「十分です」のような意味も加わり,「辞退します」や「もう要りません」などと、使われる範囲がどんどん広がってきたようです。
こういうように使われる意味が広くなってきたがゆえに、「結構」と言った方と言われた方で意味が違ってしまうという事態も起こりがちです。
従って、「結構です」 の一言だけでなく,その前後に言葉を添えると誤解もなくなると思います。
前に挙げた、 「ご飯、おかわりいかがですか?」 の場合には、 「はい、結構なお味でした。もう一膳いただきます」 、或いは 「いえ、もうお腹がいっぱいですので結構です」などと応じれば,「結構」の意味がはっきりして、相手をまごつかせることはないでしょう。(まさ)