高額のマスクが市中に出てきたが、実は、この1、2週間で中国からの仕入れ値が下がり、連休明けにも価格が一気に下がって流通する可能性が出てきたという。
物流業の40代男性は3月からマスク輸入をはじめた。もともと取引のあった中国のエージェントを通じ、1週間に1回程度数万枚を輸入して、従業員に配布する企業に納入している。
「前回の仕入れ値は1箱2000円台後半でしたが、先週輸入した4万枚は1箱2000円台半ばまで落ちました。中国のエージェントは『次は2000円以下に下げられる』と言っているし、別のエージェントからは1箱1000円台前半で提示されましたが、それは品質が担保できないために断りました」(男性)
男性の場合は小規模の輸入だが、輸入量が多ければ仕入れ値はさらに下がっているという。
「今週、ある業者が1箱1000円で100万枚弱を輸入しました。大手小売業者に納入するようです。コストと利益を乗せて納入しても1箱2000円程度で店頭に並ぶかもしれません」(同)
マスク不足が起きた一因は、中国政府が工場からマスクを買い上げ、日本メーカーの輸入契約分まで出荷を止めたからとされる。ブローカーがそれでも一部を横流しして日本で少量が高額流通していたが、中国政府はその後もマスク管理を強め、4月1日以降は輸出を政府認可制にした。マスク輸入はさらに減るという見方もあった。
「中国でコロナ禍が起きた時、従来のマスク工場に加えて新たに工場が次々と立ち上がり、生産数が飛躍的に増えました。しかしコロナ禍が落ち着いて需要が減り、在庫が積み上がりはじめているようです。政府認可のもとで輸出するには、政府に必要書類を提出する必要があるのですが、業者間で書類を融通してすり抜けることができるらしく、輸出が増えて相場が下がりはじめているようです」(同)
問題は品質。新しいマスク工場は政府管理の行き届かないところが多く、激安の粗悪品を輸出しているところがあるという。
「仕様に比べて生地が薄かったり、ゴムがすぐに切れたりする粗悪品をつかまされた業者もいます。新しい工場でも政府の目が届いているところはきちんとしたマスクが多いのですが、中には怪しいものもあり、見た目では分かりません。高品質のものでも仕入れ値が下がりはじめていますが、激安品に引きずられて品質を落とす恐れもある。中国政府は粗悪品の輸出を止めて欲しい」(同)
この“不定期ルート”での輸入は品質や数量の確保が難しく、大手チェーンは手を出していない。その代わりに数多の業者が参入し、仕入れ値も売り値もバラバラ、品質に良し悪しがある。男性は急な値崩れを警戒して1回数万枚の輸入に抑えているが、賭けに出て大量輸入する業者もいる。その様は「戦後の闇市のようです」(同)という。
日本政府は供給を増やすために国内企業に補助金を出してマスク生産を後押しし、複数の大手企業も参入した。
生産に目処が立った電機大手シャープは4月21日に自社サイトで発売したが、希望者が殺到したため抽選に切り替え、27日午前0時に改めて受付をはじめた。1回目は1人1箱限定で3万箱を予定していたが、1万箱を上積み。価格は消費税と送料を含めて1箱3938円になる。
申し込みは24時間で約470万人。決して安くない価格に殺到するのは信用力の高さが伺えるが、今後、国内生産が増えるとは限らない。
「高機能品や高級品を除けば、これまでマスクは1箱300円~500円で販売され、日本の企業が生産しても利益の出る商品ではありませんでした。緊急時だからこそ生産に着手する企業が出てきましたが、輸入が回復して価格が落ちると分かれば、高額品の少量生産を続けるところはあっても、本格的に大量生産に踏み切る企業は出てこないでしょう」(経済部記者)
マスクは8割を輸入に頼ってきた。マスク不足が起きて中国への依存度の高さが問題視され、今はその経済構造を見直す機会でもあるが、なし崩しに輸入が増えて価格が下がれば元に戻るだけの可能性がある。
コメントから
ヨーロッパ各地にマスク外交で
送ったものの、突き返された粗悪品が
そのまま得体の知れない業者から
流れてきてるのでは?
やはり正規ルートで入荷したものが
出回るまで待ちたい
品質が担保されないマスクがいくら値下がりしても、買いたくない。
コロナ騒動前に、大手メーカーが販売していたレベルのマスクは、当時の値段では市場に出せないでしょうから、当分行き渡らないでしょう