M645と言えばセミ版のMamiya M645のこと、他のメーカーでも645版は出しているが、先駆けはMamiyaだったと思う。1975(S50)年にこのカメラが誕生してから、もうすぐ40年になろうとしている。1975(S50)年といえば就職して4年目、学生気分も抜けて少しは落ち着いて仕事に励んでいた頃だろうか。当時、会社でも写真クラブなどというものもあって、Film全盛の頃だった。車を買うほどの生活環境ではなかったが、カメラには相当に資金を注ぎ込み、あれこれと物色したものだった。その中に確かにM645も含まれていたのを記憶している。6×7はさすがに手を出さなかったが、35mm以上で唯一手にしたのがM645ウエストレベルであった。これをリュックに詰めて山を縦走し四季折々の風景を写真に収めていたのである。
しかし数年後、どうした訳かM645は忽然と姿を消した。やはり、重かったからか、三脚無しでは辛いものがあったからか、或いは、、、。どんな理由かは定かではない。
デジタル全盛のここに来てFilmの頃が妙に懐かしく思い出される。M645を見た途端、その感触、操作感が手に甦って来た。そして思わずヤフオクで探し当てたのがこれである。
40年も経つというのにさしたる不都合、不備もなく、外観も悪くない。昔の記憶を辿りながら、巻き上げノブを回してシャッターをチャージ、空シャッターを切ってみる。ところがシャッターはチャージされたもののシャッターボタンは落ちなかった。まさかのロック状態で、一向に切れる気配がないのである。慌てて添付の取説を見るのだが、「多重露光レバーをMultiにしろ」だの「シャッタースピードダイヤルを◎印以外の所に設定しろ」だの、「LED Checkボタンを深く押せ」だのとあるが、相変わらず全く動く気配がなかった。
ヤフオクにはリスクがある。さては動かないモノだったのかな、と不安がよぎる。まあ焦らずに(無駄になるかも知れないが)先ずは電池を探そうということで、近くの電気屋さんで「カメラ用6V電池」を調達してきた。早々M645に電池を実装してみた。何等変化は無い。LED Checkボタンを押してみるとCheck LEDは点灯する。確かに生きてはいるようだ。次にシャッターボタンを押してみた。何とシッカリ動作するではないか。不安は一気に霧散し、心地よい重厚な(?)シャッター音と独特の振動に40年の時を経て懐かしさがこみ上げて来るのだった。
見よ、この勇姿を!!