昨年末、MC ROKKOR-PF 58mmF1.4、SRT101 Body付きで入手した。
レンズ単品ではなかなか適当なものが無く、選択に時間が掛かった。
Rear Lensキャップ無し、Front Lensキャップ、UV Filter/Kenko付。さて、どんなものか。
予想した通り、Filterが付いているのでFront Lensの劣化は少ない。Rear Lensは結構汚れがあるが、なんとか使用できるだろうという目論見のもと、Restoreに掛かる。
Focus環がグリス抜けで軽い。絞り環の動作は正常、羽根も問題なし。
外装も塗装剥がれは少なく、この時代のものとしてはキズも少ない方ではないだろうか。No.5686441(1968年頃の製品(後期)と思われる)
SRT101 BodyもCaseに入れて使っていたようで比較的キズが少ない。
電池室は液漏れ、錆など無し。(露出計の動作は電池が無いため未確認)
Shutterの速度可変はOKで、セルフタイマーや被写界深度確認、LensとのAuto(TTL)連動は正常動作だと思われる。充分使用できる範囲のものだった。(使用の予定は無いが)
Lensの無限遠点は、SRT101でもα7Ⅱでも確認したが、以外にもキッチリ取れていた。
Lensは長年の経過によるホコリや汚れ、周辺に多少カビのようなモノもあるが、清掃可能な範囲だと思われる。MC ROKKOR-PF 55mmF1.7と比較して、確かに一回り大きいのだが、それをあまり感じさせない。55mmF1.7自体が大きめのLensであることが一因かもしれない。
35mm一眼レフ用の“50mm F1.4”レンズが登場したのは1962年。「Nikkor-S Auto 50mm F1.4」が最初の製品。それ以前、F1.4クラスの一眼レフ用大口径標準レンズの焦点距離は50mmより少しだけ長くなっていた。当時の設計技術ではレンズ後群とミラーの接触が避けられず、焦点距離を延ばすことで、この問題を解決していたという。
かつて焦点距離58mmが35mm版の標準レンズであった時代があった。50mmレンズが圧倒的に多い中で、58mmというのはとても魅力的に思える。画像が歪むというのが好きになれず、今の所、広角はほとんど使用していない。85mmでは画角がかなり狭くなり、風景には適さない。
そんな中で、50mmよりも更に見た目の通りのストレートな画像を撮りたい、と考えれば58mmは最適かもしれない。日本の風景は大陸の風景と違って、とても狭い。そんな状況に合っているような気がする。「眠たい写真」という評価もあるレンズだが、初期から比べて、後期「MC ROKKOR-PF」ではそれなりに改善されているはずで、オールド・レンズとしては申し分ない。
前期の「ふんわり感」の強い描写性を画全体の「マイルド感」に留め、ピント面の先鋭化と収差を改善させたモデル、ということになっているが、比較してもその違いは判別し難い。それでも、前期の「ふんわり感、マイルド感」に比べて「鋭いピント面」を期待する。
そもそもオールド・レンズの場合は、どんな特性でも受け入れる余地がある。それがオールド・レンズの「味」というものだと思うから。
Restore後記
実施したのはBodyの長年の塵、埃汚れを清掃、Lensの清掃、ヘリコイド・グリスの交換である。
Mount Unitを外すとき、全てのネジ(8本)を外したら、バラバラと短い針金やら鉄球が落ちて来た。慌てずネットで調べると、ありました。以下のSiteを参考にして事なきを得ました。
「駅弁紀行」 URL https://cadillac1958.at.webry.info/
ありがとうございます。
この短い針金と鉄球(各5個)は、絞り環の操作をスムーズに回すための策らしい。Netで調べている時に、偶然CANON FD 50mmF1.4 SSCに出会ったが、これもMount Unitに同様の仕掛けがあるらしい。別段無くてもストレスは感じないように思うのだが、同種のMC ROKKOR-PF 55mmF1.7にはこんな仕掛けは無かった。もっともMount Unitの構造は異なるのだが。
Rear Lensの汚れは、粗いものは落ちたが、コーティング劣化した所があり、目立つ。ただ、ガラスの周辺であるため、出来るだけ影響しないように目立つ部分を下側に向けて組み立てた。
(よく考えてみると、上側の方が良かったかも)
一度完成させて無限遠点を確認したら、2.5mmほどオーバーインフの状態。ちょっと大きかったので、この際キッカリ調整しようと思い、Name Plate、Filter枠とFocus環だけを外して、カメラに付けて無限遠点の微調整を行った。この状態を動かないようにテープ等で止めて、カメラからLensを外し、Focus環とFilter枠、Name Plateを取り付けて完成した。これで無限遠点にしたときのピント確認は不要ということになる。やはりこうあるべきだろう。その他、問題になる所は特になし。こうなると、Rear Lensのコーティング劣化がとても残念だ。
ファインダーから見ると、ちょっと中望遠になったような雰囲気がある。50mmと比較して僅か5度の違いではあるけれど、ファインダーから見る画角は結構狭い。見るからにコントラストの高い絵が出てきそうな雰囲気だが、果たしてどうだろうか。
投稿記事が前後しているが、ちなみに、202200229の「仲見世商店街(町田市)」は、このレンズを使用している。手ブレ写真はともかくとして、雰囲気は悪くないと思うのだが。