今日の午後、自宅の仕事部屋でセッションの準備をしていると、一階から、5歳の息子が「パパーっ!!」と呼ぶ声がした。
自分はすかさず時計を見た。
次のセッションまで10分ほどある。息子が階段を上ってくる足音がする。きっと「パパ、あそぼう!」というだろうと思い、10分でどうやって彼を満足させようかと考えていたら、部屋のドアが開いた。
ところが扉の前に現れた息子は、両手で大事そうにお皿を持っていて、そのお皿の上には、小さなチョコバナナが載っていた。
「はい、これ、パパのおやつだよ」、とお皿を差し出すので、自分は驚いて、
「え、これ、Sが作ったの?」
と聞くと、
「そうだよ」
と、彼は得意そうに答えた。
「上手じゃん!よくできたね!おいしそうだね。これ本当にパパがもらっちゃっていいの?」
「うん」
「ありがとう!!パパ、すごいうれしいよ」
「パパ、しごとなんじにおわるの?」
「これが最後のセッションだから、5時だね」
すると彼は、
「え~、5じまでまてないよぉ」
と言いつつも、「またあとでね」と言って、すたすたと階段を下りていった。
自分は思わず何度も礼を言い、息子のうしろ姿はどこか誇らしげだった。