ある金融機関の会合で会議室を提供していた企業のオーナーから
「とても珍しい貴重なものが手に入ったから後ほど皆さんにお出しします」と言われた。
一体それは何?
それは南極の氷で割った氷水でした。
「えー本当?!」出席者は皆、感嘆の声を上げた。
南極観測船「しらせ」が持ち帰る南極の氷は何のために?
それは南極のお土産として今回のように広報事業や研究に活用される。
南極の氷は降り積もった雪が圧縮され氷結したものだ。
内部には雪が降った当時の大気や物質が含まれるため、
当時の気候や南極で起こった現象を読み解くタイムカプセルのような存在だ。
そして南極の石とともに一般の人に見て触ってもらうのが南極の氷の役割だという。
しかし、それ以上にもっと重要で現実的な理由があった。
観測船「しらせ」が南極に向かって出発する時は越冬隊が1年間に使用する
食料や燃料といった消耗品を満載していく。
帰りは廃棄物や食料など搭載物資はあまり多くない。
これが南極からの脱出を困難にさせてしまう。
船の重量が軽いとその分、砕氷能力が低下する。
そこで南極の氷を約500t積み込み「しらせ」を重くして出発するのである。
その氷が私達の口の中に入った次第ということでした。