閑吟集(かんぎんしゅう)は日本の小歌の歌謡集で、永正15年(1518年)に成立してます。
織田信長が生まれたのは、天文3年(1534年)5月12日ですから、閑吟集は、そのちょっと前の室町時代の戦乱期にの世相を反映している小歌集といえます。
閑吟集(かんぎんしゅう)は日本の歌謡集。永正15年(1518年)に成立。――何になろう、まじめくさってみたところで。所詮、人生は夢よ。ただ面白おかしく遊び暮らせ
(閑吟集 54、55番)
【閑吟集で1~10のお題】
01 夢の中でだけ 02 一目見た面影が 03 一期(いちご)は夢 04 水に燃える蛍 05 思い出さないよ、忘れないから
06 近くて遠い 07 あまりに声がかけたくて 08 二人だけの合図 09 恋は曲者(くせもの) 10 涙の理由は君
01…夢の中でだけ
かれがれの契りの末はあだ夢の 契りの末はあだ夢の
おもかげばかり添い寝して あたりさびしき床の上 涙の波は音もせず
袖に流るる川水の 逢瀬はいづくなるらん 逢瀬はいづくなるらん
【訳】二人の仲の果て、逢えるのは仮初(かりそめ)の夢の中、二人の仲は仮初の夢の中だけ。
面影ばかりが添い寝する。寂しい床で音も立てずに涙を流して、
川の水のように涙は袖に流れている。次に逢えるのはどこでだろう。次に逢えるのはどこでなんだろう。
02…一目見た面影が
さて何とせうぞ 一目見しおもかげが 身を離れぬ
【訳】さあ、どうしたものだろう。一目見た面影が、身体から離れない。
03…一期は夢
なにせうぞ 燻(くす)んで 一期(いちご)は夢よ ただ狂へ
【訳】何になるっていうんだ、真面目ぶってみたところで。
人の一生は夢だ。我を忘れて遊び暮らせ
04…水に燃える蛍
わが恋は 水に燃えたつ蛍々 もの言はで 笑止の蛍
【訳】私の恋の思いは、水のほとりで声も立てずに光っている蛍、
蛍みたいなものだ。何も言わないで、可哀想な蛍。
05…思い出さないよ、忘れないから
思ひ出すとは 忘るるか 思ひ出さずや 忘れねば
【訳】思い出すって言うのは忘れてるんでしょう
思い出すわけないでしょう、忘れなければ。
06…近くて遠い
千里も遠からず 逢はねば咫尺(しせき)も千里よなう
【訳】逢えるなら千里だって遠くない。
逢えないと近くにいても千里の距離があるように思える。
07…あまりに声がかけたくて
あまりの声のかけたさに あれ見さいなう 空行く雲の速さよ
【訳】あまりに声がかけたくて(話しかけるきっかけがほしくて)言った。
「ねえ見てよ、空を流れる雲が速い」
08…二人だけの合図
忍ばば目で締めよ 言葉なかけそ あだ名の立つに
【訳】人には内緒の恋なら、目で合図をしてね。言葉はかけないで、噂になるから。
09…恋は曲者
来し方より 今の世まで 絶えせぬものは 恋といへる曲者
げに恋は曲者曲者かな 身はさらさらさら さらさらさら 更に恋こそ寝られね
【訳】はるか昔から今の世まで、絶えないものは恋という曲者。
本当に恋は曲者、曲者だ。この身は、さらさらさらに、恋のためにまったく眠れない。
10…涙の理由は君
泣くはわれ 涙の主はそなたぞ
【訳】泣くのは私。でもこぼれる涙の原因はあなたですよ。
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