著者 逢坂冬馬
自動車期間工の本田昴は、Twitterの140字だけが社会とのつながりだった2年11カ月の寮生活を終えようとしていた。
最終日、同僚がSUVブレイクショットのボルトをひとつ車体の内部に落とすのを目撃する。
見過ごせば明日からは自由の身だが、さて……。
以降、マネーゲームの狂騒、偽装修理に戸惑う板金工、悪徳不動産会社の陥穽、そしてSNSの混沌と「アフリカのホワイトハウス」……
移り変わっていくブレイクショットの所有者を通して、現代日本社会の諸相と複雑なドラマが展開されていく。
人間の多様性と不可解さをテーマに、8つの物語の「軌跡」。
>人は皆 生きるのが苦しいし、老いたくはない。病が怖いし、死にたくない。
だから そこに目をつけると売れるんだ。生きることに前向きな本、アンチエイジング、
病気克服の本と、長生きの本だ。
>自分の人生から疎外されれば、労働は生きるための苦行だ。
>怒りを おそくする者は勇士にまさり、自分の心を治める者は、城を攻め取る者に まさる。
>問題は、ブレイクショットの打ち方だ……ゲームを始める一打のことなのだろう、ということは分かった。
台の上のすべてを把握しようというのは傲慢だし、自分の打つボールが波及するという意識をもたない人間には、ゲームに参加する資格はない。
だが、だれかがそれを打たなければならない。
著者の言葉……
理不尽な社会に直面しているときに、自分ではなく社会の方を疑う必要性を示唆したかった。
とても面白かったです💛
木瓜(ぼけ)の花……
昨日は小学校の入学式でした……