図書館へ行こう!

 本は私の人生の友・・・

「ブレイクショットの軌跡」

2025年04月08日 | 

著者 逢坂冬馬

 

自動車期間工の本田昴は、Twitterの140字だけが社会とのつながりだった2年11カ月の寮生活を終えようとしていた。

最終日、同僚がSUVブレイクショットのボルトをひとつ車体の内部に落とすのを目撃する。

見過ごせば明日からは自由の身だが、さて……。

以降、マネーゲームの狂騒、偽装修理に戸惑う板金工、悪徳不動産会社の陥穽、そしてSNSの混沌と「アフリカのホワイトハウス」……

移り変わっていくブレイクショットの所有者を通して、現代日本社会の諸相と複雑なドラマが展開されていく。

人間の多様性と不可解さをテーマに、8つの物語の「軌跡」。

 

>人は皆 生きるのが苦しいし、老いたくはない。病が怖いし、死にたくない。

だから そこに目をつけると売れるんだ。生きることに前向きな本、アンチエイジング、

病気克服の本と、長生きの本だ。

 

>自分の人生から疎外されれば、労働は生きるための苦行だ。

 

>怒りを おそくする者は勇士にまさり、自分の心を治める者は、城を攻め取る者に まさる。

 

>問題は、ブレイクショットの打ち方だ……ゲームを始める一打のことなのだろう、ということは分かった。

台の上のすべてを把握しようというのは傲慢だし、自分の打つボールが波及するという意識をもたない人間には、ゲームに参加する資格はない。

だが、だれかがそれを打たなければならない。

 

著者の言葉……

理不尽な社会に直面しているときに、自分ではなく社会の方を疑う必要性を示唆したかった。

 

とても面白かったです💛

 

木瓜(ぼけ)の花……

 

昨日は小学校の入学式でした……


「カ メ オ」

2025年04月02日 | 

著者 松永K三蔵

 

本社からの命令で何としても期日までに倉庫を建てなければならないのに、犬を連れた隣地の男・カメオが たちはだかる。

不条理な可笑しみに彩られたデビュー作(第64回群像新人文学賞・優秀作)

 

同じ著者の第171回芥川賞受賞作「バリ山行」も とても面白かったです💛

 


「すーちゃん」シリーズおとな買い

2025年03月31日 | 

著者 益田ミリ

 

益田ミリさんの漫画を読むと心が安らぐので、「すーちゃん」シリーズを4冊おとな買いしました😀

のんびり読もうと思いましたが、面白くて その日の内に全部 読んでしまいました〜

 

 

近くの土手で桜を見てきました 🌸


「美土里倶楽部(みどりくらぶ)」

2025年03月29日 | 

著者 村田喜代子

 

昨日までそばにいた夫は一体どこに行ってしまったのだろう。

夫を亡くしたばかりの美土里と、同じ境遇の三人の女友達が、向き合わざるを得ない、夫の不在、そしてお墓のこと、供養のこと……。

さまざまな思いをめぐらせた「未亡人倶楽部」の一年を描く。

 

>仏壇の前に座り、美土里は蝋燭の小さな炎を見つめていた。

……今夜も ゆらゆらと揺れ続ける火を見て思うのだ。

この火の正体は何だろうか。息づくように揺れて動きやまないもの。

ここに確かに在るようで、消せば瞬時に無くなってしまうもの。……

今、ここに燃えているのは一つの魂ではないだろうか。

 

村田喜代子さんは好きな作家さんなので、発売日に即買いで読みました。

良かったです ☆☆☆

 

小説の中に出てきたムンク作「太陽」

 

庭の「寒つつじ」が ひとつだけ花開きました🙂


「わすれていいから」

2025年03月27日 | 

著者 大森裕子

 

あるひ、いえにやってきた おれ。
そこには、うまれたばかりの おまえ がいた。

ここは、おれたちのなわばり。

嬉しいときも悲しいときも、子どものそばには猫がいっしょ。

二人とも隅っこが好きで、いつもくっついていたけど、
気がついたら隅っこに おまえ がいないことが多くなって……。

 

長男の部屋に入り浸りだった猫の「レオ」を思い出しました。

絵本の猫と毛の色も似ていて、「レオ」が とっても懐かしいです💛

 

 

黄色が好きなのでの「ユリオプスデージー」を植えました🙂


「逃亡者は北へ向かう」

2025年03月19日 | 

著者 柚月裕子

 

震災直後に殺人を犯し、死刑を覚悟しながらも ある人物を探すため姿を消した青年・真柴亮。

刑事の陣内康介は津波で娘を失いながらも容疑者を追う。ふたりはどこへ辿り着くのか……。

 

>人生など、自分の力で どうこうできるものではない。

今回の震災も そうだ。こんな災いが起きるなんて、誰も想像していなかっただろう。

犠牲者の中には、あの日の夕飯の献立を考えていた者もいれば、十年後の夢を描いていた者もいるはずだ。

しかし、震災は、そんな人間のささやかな営みを丸ごと飲み込んだ。

自分ではどうにもできないものがこの世にはあるのだ。

それでも……理不尽な目に遭いながらも、必死に生きようとしている人がいる。

他人を思いやれる心がある。

 

>今日のいまを生きれば、明日のいまがやってきます。明日のいまが過ぎれば、明後日のいまが……

それが過ぎれば その次のいまがやってくる。そうして時間を過ごしているうちに、気が付けば一週間、一か月、一年が経っている。

そうして生きていれば、きっとどこかで笑える日がくると思うんです。

 

本の表紙を見ただけで読むのを躊躇しましたが、震災を体験した著者が時を経て やっと書かれたということなので、読了しました。

 


「リヴァプールのパレット」

2025年03月17日 | 

著者 大崎善生

 

ずっと前に早世した妹と いま余命宣告を受けた自分をつなぐことで見えてくる人間の孤独、湧きあがる思い、粉雪のように静かに舞い降りる記憶……。

著者が闘病中に最後の作品と心定めて書き上げた絶筆「リヴァプールのパレット」。

上質なセンチメンタリズムが内包された「僕たちの星」「彼女が悲しみを置く棚」。

声帯を摘出したことを明かし、夫人が代読した藤井聡太王位の就位式祝辞……「声なき祝辞」の完全版を収録。

 

 

「声なき祝辞」は何回も読み返し、藤井さんファンの次男には「声なき祝辞」の20ページをコピーして渡しました。

読んだ次男のLINEでの感想は、「これ まじで就位式で全部 読んだのか…?」でした。

「声なき祝辞」では初めに著者ご本人の病状を長く説明しており、藤井さんが高校1年生のとき、瀬戸市の ご実家を訪問したときのエピソードや、これからの将棋界のことなどを述べられ、素晴らしい祝辞でした !!

 

去年 亡くなられた大崎さんのご冥福を心よりお祈りいたします。

 


「 追 跡 」

2025年03月11日 | 

著者 伊岡 瞬

 

東京都武蔵野市で住宅一棟が焼ける火災が発生。

焼け跡からは、その家に住む志村潔(69)とその息子夫婦と見られる男女三人の遺体が見つかる。

単なる住宅火災に見えたが、夫婦と見られる遺体の死因は焼死ではなく、刺されたことによる失血死であった。

しかも現場からは、この夫婦の子供と見られる小学生が消えていた。

さらには、志村の経歴をたどると、〝息子〟がいた形跡がない。

一体この火事で死んでいたのは何者だったのか?

警察が捜査に乗り出すのと軌を一にして、地下組織『I』の作業員の樋口にもある指令が下される。

 

重要人物の孫と思われる「少年」をめぐり、知能と機動力を要する追跡劇が繰り広げられ、

その裏で政治的な権力構造、暗躍する裏稼業メンバーの思惑、政治家と警察の腐った癒着などが描かれ、

知らない世界を小説の中で知りますが、イヤな世界だなぁと思うばかり……。

 

散歩は目も楽しませてくれます〜


「氾濫の家」

2025年03月07日 | 

著者 佐野広実

 

郊外の住宅地に住む五十代の専業主婦、新井妙子。ある日、隣の家で殺人事件が起きる。

被害者の隣人が著名な大学教授だったこと、一人息子がいたことを、妙子は事件を通じて初めて知る。

平穏そうに見えた隣家で何が起きていたのか……事件は やがて、妙子自身の家庭の闇をあぶり出していく。

 

>見たくないものは見ないようにする。

自分に都合の悪いことは、なかったことにしようとする。

おまけに、自分が偏見を持ってることに気づきもしない。

 

>自分の中にあるものを目覚めさせろ、それを胸に秘めつつ、すり減ってしまった「自分」を取り戻せ。

野間の言葉は妙子に そう告げている気がした。

 

>関係が悪い家庭を守って どうするつもりよ。

そこに生きている ひとりひとりが安心できないような家庭は、本当の家庭とは言えない。

そんな家庭を維持し続ければ、そこにいる人は みんな不幸になるだけ。

そうならないためには、横暴な人に注意して考えを改めさせることよ。

(引用させていただいた最後の行……横暴な人は、注意しても考えを改めるとは思えませんが)

 


「スナック キズツキ」

2025年03月03日 | 

著者 益田ミリ

 

傷ついた者だけが たどりつけるスナックが都会の路地裏にあるらしい。

スナックなのにアルコールは置いてない。

店主が用意した飲み物で一息ついた客は、

つかの間、まぼろしのような時をそこで過ごし、

気づくと心に溜まったモヤモヤが消えている。

 

お酒を飲めない私が超通いたいと思うスナック「キズツキ」……

どなたか近くに開店してほしい〜

 

今日は雛祭りですね 🎎