著者 湊かなえ
娘を生徒に殺された中学校女性教師は、辞職する前のHRで罪の告発と復讐の告白を行った。
彼女が蒔いた復讐の種は、やがて芽を出し花を咲かせる。
罪が裁かれたとしても、被害者が失ったものは決して取り戻せないという現実。
だとすれば被害者はどのようにして恨みを、その悔しさを、晴らせば良いのだろう?
教師、クラスの女生徒、犯人の家族、犯人、それぞれの告白・・・。
評判の新人作家の本、読みました。
救いようのない、陰湿な登場人物たち・・・先生も生徒も。
犯人である生徒の母親は、クレイマーで、息子に盲目の愛を注いでいる(私も人のことを言えるほど立派な母親ではありませんが)
引き込むように読ませる本かも知れませんが、あと味の悪さが残りました。
第1章の「聖職者」だけでしたら読者に想像できる部分が残されてますが、第6章の「伝道者」で再び先生の本音を読まされ、別に “目には目を” に反対ではありませんが、この先生も救いようのない人だなぁ、と・・・。
『造花の蜜』
著者 連城三紀彦
幼稚園から、息子が蜂に刺されて救急車で運ばれたとの連絡を受けた小川香奈子は、知人とともに搬送先の病院に向かった。
こんな時期に蜂が・・・不審に思った香奈子は幼稚園へ引き返すが、息子はすでに誘拐された後だった。
そして、さらに驚くべきことが香奈子を待ち受けていた。幼稚園の職員は、息子を連れ去ったのは、他でもない香奈子だというのだ。
それは前代未聞の誘拐事件の幕開けにすぎなかった・・・。
想像を絶する事件の真相と犯人とは!?
どんでん返しがこれでもかと繰り返されます。
以前読んだ恋愛物でも、心理描写が裏の裏まで続き、慣れてはいます。
久々の新刊、お母さんの介護をしているからなんですね。
読んだ本はそれぞれ面白いのですが、気分が暗くなる本はもういいかな、と。
なのに、今一番読みたい本は、角田光代著『森に眠る魚』・・・母子小説の衝撃作、ということですが、また気分が暗くなる予感、でも、読みたい・・・。