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 本は私の人生の友・・・

『衣小夜がたり』

2008年04月29日 | 


著者 鳥越碧

加賀友禅、結城紬、有松紋、仙台平、鍋島更紗、佐賀錦、小千谷縮、久留米絣・・・
今も残る伝統工芸の歴史に刻まれた男女の愛と生きざまを、情感豊かに描いた時代小説集。

織物や染物に携わった人々のお話を様々に紡ぎ出す著者も見事でした。
短い物語8編ですが、それぞれのお話の内容がガラリと変わり、引き込まれるようにアッという間に読んでしまいました。


『へび女房』



著者 蜂谷涼

元お馬番の夫は腑抜けて頼りにならず、幼い子供たちや義母を養うため、きちは薬として珍重されるマムシの加工品を扱う露天商を始める表題作。
アメリカ南北戦争の功労者を軍事顧問として日本に留めるために嫁がされた大名の姫君を描く「きしりかなしき」。
黒田清隆に求愛されながらも榎本武揚への想いに迷う美しい芸者・小せんの物語「雷獣」。
西洋かぶれの日本人高級官僚の夫婦の間に紅毛碧眼の赤ん坊が産まれる「うらみ葛の葉」の全4編を収録。

「きしりかなしき」が女性の心理状態を細かく書いていて、どんでん返しもあったりで一番面白く読みました。
女性の視点で書いた時代物は、読んでいて胸にグッとくるものがあり、心模様が分かっていいもんですね。
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新緑の季節

2008年04月22日 | Weblog
♪この木 なんの木 気になる木~
なんの木か分かりませんが、新緑がきれいだったので・・・


ハウツウ本的な本もいろいろと読んだりしました、若い頃、そして、受験を控えているのに勉強しない息子たちに、どんな態度をとったらいいのか迷ったときも。
心理学の本や宗教の本なども・・・ダライ・ラマの言葉に一番感銘を受けましたっけ。
でも、どれもその場限りでしたねぇ。
だって、人の言葉ですもの。
根本が分かってなくては・・・
だからか、池田晶子さんの本や、先日読んだ『欲望について』は、随分と納得のいくものでした。

今日、歯医者さんの待合室で、“サライ”という雑誌の禅特集をちょっと読んでました。
なるほど、と心にスーッと入ったのは、私がそういう歳になったからでしょうか。

鎌倉の円覚寺の足立大進ご住職のお話・・・

マザー・テレサは、一番の不幸は、誰の役にも立たないことだ、とおっしゃってたとか。
ご住職がどうしても揮毫しなければならないときは、
    花も美しい 月も美しい それに気づく心が美しい
と書かれるそうです。
この空中にはたくさんの電波が飛んでいるけれども、受信機がなければ画面に映らないように、幸せを受け取るには、その器が必要。人の心にも“心のアンテナ”がなければ。
人生の無常を知ることから求道が始まり、自分とは何者か、命とは何だろうかという、“命の根っこ探し”が禅の修業。
やがて、大いなるものに抱かれ、自分がここに生かされていることに気付く。
“私が生きている”という路線から、壁にぶつかって、“ご縁とお蔭に支えられて生かされている”という路線にUターンする。
即ち “命の有り難さに感動して生きる”
自分の力が微々たるものであることを知り、大いなるものに命を委ねた時、人間は本当の安心が得られる。 
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『欲望について』

2008年04月20日 | 
著者 ウイリアム・B・アーヴァイン    訳者 竹内和世

新聞で本村凌二さん(西洋史家)の書評を読み、この本を読もうと思いました。
図々しく、そのまま引用させていただきます。

「執着せず心安らかに」

85歳で亡くなった母親から「陰徳」なる言葉を教わった。他人に何かをしてあげても、できるだけ黙っているのがいい。他人の感謝も称讃も期待するなというのだ。これは意外にも、もともと当てにしないから、相手を怒る気にもならないし、ストレスもたまらない。

かつて宇宙に欲望はなかった。やがて欲望する生物が現れ繁栄する。この欲望する能力は快や不快を感じる能力とほぼ同時期にそなわったらしい。快に傾き不快を避ける精度の高い生物ほど生き残りやすかったからだ。

人間にも欲望を起こすBIS(生物学的誘因(バイオロジカル・インセンティブ)システム)が、進化がもたらした心の荷物として埋めこまれている。甘くて太る食物が美味なのは、その味を享受した先祖ほど生存して子孫を残せたからだ。だが、それは飢餓の危険にさらされた時代が余りにも永くつづいたからでもある。食環境が変わった昨今では、その過剰摂取が病気を招き寿命を縮める。だから、BISの命ずるままに行動すればすむわけではない。

人は富と名声を欲する。それ自体は善でも悪でもない。だが、それに執着すれば、もはや欲望の奴隷になりさがり満足は遠ざかる。いかにしたら心安らかに暮らせるか。もはや科学は沈黙し、宗教や哲学が語りかける。

ヒンズー教の聖典『リグヴェーダ』は、宇宙は欲望とともに始まったという。仏陀(ぶっだ)は快楽主義も禁欲主義も斥(しりぞ)け、欲望を選択して充足する八正道を説いた。ストア哲学のセネカによれば、金や地位をもたない悲しみ(ストレス)は金や地位を失う悲しみ(ストレス)より少ないのだ。

哲学の博士号をもつ著者は難解な哲学書を書くことにはまったく興味がないという。人生を注意深く思索する人々に語りかけたいらしい。読みやすく心安らぐ訳書をひもときながら、母の残してくれた言葉がまぶしく映った。でも、母さん、仕事の後、酒場の暖簾(のれん)をくぐる欲望にはとうぶん勝てそうもないよ。      (引用、終わり。ありがとうございました)


私には難しくて途中で投げ出すかな、と思って読み始めましたが、とても興味深く面白く読みました。
このところ心が凹んだり、クヨクヨ考えることが多く、今の私を元気付けてくれる本でした。
池田晶子さんの『14歳からの哲学』と共に、心が迷走しそうなときは再読したい本となりました。 

『フェロモン』

2008年04月17日 | 
著者 神田茜

平成7年に真打昇進の女性講談師の小説デビュー作。
女性の心情を面白く切なく語る講談には定評があるそうですが、連作短編5編を収めたこの本も、女性の姿が切ないけれどコミカルに描かれていて、とても良かったですよ。
毎日を生きている色々な女性に対する著者の描き方に、とても優しさを感じました。
小説の内容は過激ではないのに、本の題名をどうして『フェロモン』にしたのか?
ジュード・ロウの大ファンだという小説の中の女性は、ジュード・ロウが発するフェロモンに元気をもらうからかな?
映画『スターリングラード』のジュード・ロウは、私も記憶に残っています。ステキでした。

不器用な生き方しかできない女性たちが、それでも少しでも前に進んで生きて行く姿に、とても共感を覚えました。
どうして小説を読むのか。それは共感とともに、人生を肯定したいから。
この本を読んで、人生、いろんなことがあるけれど、とにかく生きて行くことよね、と元気をもらいましたよ。
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『薄闇シルエット』

2008年04月14日 | 
著者 角田光代

ハナは下北沢で古着屋を経営している37歳。
仕事は順調。同年代の男よりも稼いでるし、自分の人生にそれなりに満足していた。
ある日、恋人から「結婚してやる」と言われ、小さな違和感を感じる。
「どうして、この人は『私が結婚を喜んでいる』と思って疑わないんだろう・・・」
違和感は日に日に大きくなり、ハナは恋愛と仕事について模索していくことになる。
人生の勝ち負けなんて、誰が分かるというのだろうか・・・。

「いくつになったってその人はその人になってくしかないんだから、他人と比べるだけ無駄だよっ。きょろきょろ人のこと見てるあいだに、あっという間におばあちゃんだよっ」

ハナさんは結婚をつまらないと言うけれど、その通り。
でも、人生だって同じようなもの。
それをおもしろいと感じるのは自分次第。
自分の心次第だなぁ、と思う今日この頃ですよ。


今、ドウダンツツジが花盛り。
漢字で「灯台躑躅」「満天星躑躅」と書くんですね。




心と自分

2008年04月12日 | Weblog
近くの遊歩道に咲いていた水仙



お花に目を向けて見るのは自分、それを美しいと感じるのは自分の心。
今年は、春ってこんなにも次々にお花が咲くのかと思うほど沢山の花を目にします。
デジカメで撮ってブログに載せたいと思っているからだけではないように感じますよ。
体は年取るばかりですが、少~し心に元気が出てきたような・・・
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『無言の旅人』

2008年04月09日 | 
著者 仙川環

尊厳死がテーマの小説です。
明るい話題ではないので楽しくは読めませんが、文章が分かりやすく書かれていて、最後まで読ませてしまう本でした。
尊厳死の選択に苦渋する家族や婚約者の姿などに、やはり尊厳死って色々な問題があるんだなぁ、と思いました。
後半からミステリーのような内容も含みながら、終わり方は感動的で良かったですよ。
この問題には、これが正しいんだ、という答は無いと思いますが、尊厳死にかかわった色々な人々の姿が書かれたものを読むことで、尊厳死について少しでも知ることができたのではないかと思いました。

『サイゴン・タンゴ・カフェ』

2008年04月07日 | 


著者 中山可穂

「野生時代」に発表した5作品の短編集

タンゴの国から遠く離れたインドシナ半島の片隅の吹きだまりのような廃墟の一画にそのカフェはあった。
主人はタンゴに取り憑かれた国籍も年齢も不詳の老嬢。
しかし東京から偶然取材で訪れた孝子はその正体が、もう20年も沈黙を守り、行方知れずとなった作家・津田穂波ではないかと疑う。
彼女の重い口から語られた長い長い恋の話とは・・・  (表題作)

タンゴにまつわる短編集です。
タンゴは魅惑的な踊りで音楽もステキだと思ってましたが、読んでいると、もっとステキに思えてきましたよ。
以前、中山さんの小説を少し読んだことがありますが、恋は恋でもレズビアンの恋ばかりだったので読むのを遠ざかってました。
この本の表題作はそうでしたが、他の4編は違っており、表題作も今回は違和感無く読めました。
どれも良かったですよ。


『月のころはさらなり』



著者 井口ひろみ

第3回新潮エンターテインメント大賞受賞作

母に連れられて来た人里離れたお堂。
昔、母はここでしばらくの間暮らしていたようだが、今までにそんなことは聞いたこともなかった主人公の高校生の悟。
登場人物はお堂を守るおんば様、お堂で暮らす茅、神主の息子の真とその父の6人。
鈴鳴らしや魂がけなどの子供にしかできない特別な能力を通じて徐々に真や茅と親しくなっていく中で、このお堂の役割や小さな村での人間関係などが徐々に語られていきます。
そして何故母がここにやってきたかも。

現代社会と切り離されたような神秘的な空間や特殊能力、社会問題なども描きながら、二度と訪れることのない夏の日がみずみずしく語られてます。
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お花見

2008年04月01日 | Weblog
姉二人と吉祥寺駅で待ち合わせて、井の頭公園のお花見をしました。
晴れていましたが、風の強い1日でした。




カモが泳いでましたよ(小さいけれど分かります?)







これはテレビドラマ撮影のために用意したお店とか

上から撮影スタッフが花吹雪を降らせてましたよ

ピエロさんも見かけました


長々と工夫もない写真の羅列で、ごめんなさい。
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