砂漠の音楽

本と音楽について淡々と思いをぶつけるブログ。

cero「街の報せ」

2019-06-18 11:49:38 | 日本の音楽


梅雨なのでブログ書きます。
最近寝つきが悪く、1時や2時に寝ています。しかし家の窓が東向きなものですから、差し込んでくる無慈悲な朝日のおかげで容赦なく6時半に目が覚めます。当然仕事中に眠くなり、最悪寝ます。火のない所に煙は立たぬ、とはよく言ったものですね、ハハハハハ。最悪だよ。



前回に引き続きceroを。この前ライブでこの曲を聴いてすごくよかったのです。
「街の報せ」、2017年リリースされたシングルです。表題の「街の報せ」は荒内さん、「ロープウェー」は高城さん、「よきせぬ」は橋本さん作曲。メンバーそれぞれが曲を作っているあたり、さすがです。なお作詞は「街の報せ」のみ荒内さん、他は高城さんです。

この曲は何といっても韻の踏み方がすごい。だからこのリズム―バスドラやスネアはテンポ通りなのに、ハイハットだけ微妙に後ろにずれているリズム―に合うのかな、という印象があります。のっしのっし、という擬音が似合う。
鍵盤はCM9やAm9のオシャレなテンションコード、FonGなどのオンコードを使っていますが、Yellow Megusの妖しい感じより、Summer Soulの頃のうす~く漂っている雰囲気に近い。浮遊感があるというか、さっぱり冷えたそうめんのような存在です。ギターはいるのかいないのか。後ろでUFOが飛んでいるようなひゅらひゅらした音ってサンプリングですか?それともエフェクト使ってギターのライトハンドとかでやってるのかな...よくわからん...。
ともかく、韻を踏んでいる箇所をさくっと紹介。まず冒頭から

れた夜に 嵐(らし)が港に来るように

とか

らも年とり つかは なくなるけど
きっと誰にも知られない 愛(いと)おしい一人(ひとり)の夜があるよ


とか

ファミレスで聴くロイ・ハーグローヴ 国道沿いで買う缶(ん)コーヒー
ばこはほどほどに)


とかね。聞いてもらったらわかると思いますが、たくさん韻を踏んでいる。それがこの曲の心地よさを加速させている。もちろんサビの

の知らせ っている

もそうでしょう。高城さんの作詞が好きなんだけど、この曲の荒内さんの作詞はすごいなと思う。そんなわけでYouTubeでPVをご覧下さい。私はロープウェーのPVの方が好きですけどね。

cero / 街の報せ【OFFICIAL MUSIC VIDEO】


歌詞の内容は意味深です。どこかで「高城さんに子どもが生まれることをメンバーが祝った歌」という記事を見たことがありますが(実際高城さんは2児の父)、真偽のほどはわかりません。でもそう考えると辻褄が合うようにも思います。タイトルの「報せ」も、何か出来事が起こる予兆、という意味がありますし。それから

みんなも いつかは年を取り いなくなるけど
また誰かがやってきて 音楽をかけてくれそう 何度も


という歌詞も、命が続いていくことを示唆しているのかもしれません。どこか小沢健二の「天使たちのシーン」を彷彿とさせる、愛すべき生まれて育ってくサークル的な、にぎやかな場所でかかり続けている音楽に耳を傾けている的な。それにシングルの2曲目「ロープウェー」では

やがて人生は次のコーナーに 人生は次のコーナーに

と何度も歌っている。年を取って、自分が親になることを高城さんがぐっと噛みしめているようにも感じるのです。私はいつまで経っても次のコーナーにたどり着きませんが。そんな話はどうでもいいか。
途中のトランペット、最後の高城さんのVoがいい。伸びがあるというか、響き渡るというか。基本的に淡々とした曲調のなかで、数少ない盛り上がる場面。夏の夜、一人で街をふらふら散歩するには持ってこいの曲です。一方、「ロープウェー」はもう少ししんみりしていて、それはまた後日取り上げることにしましょう。何せ眠いので。


The 余談
人生って難しいですよね(と急な漠然とした話)。「大人になる」って、自分の意思決定や行動に責任を取れるようになるってことだと思うんだけど、私はいつまで経ってもくよくよ悩みます。あなたは大人ですか?と問われると、自信をもってそうだと答えられない、もう結構いい年なんだけど...(苦笑)
自分が決めたことで失敗したり、人に迷惑をかけたりしたら怖い。誰かに決めて欲しい、自分で決めたくないという気持ちもある。椎名林檎だったら「教育して叱ってくれ」と歌いそう。でもまあそうやって生きていて、他人任せにしていて楽しいかと言われると、それもまたクエスチョンです。毎日、目の前には楽しいことがそれなりに転がっている。そうやって過ごしてたら考えなくて済むんだけど、それだといつまで経っても「次のコーナー」にはたどり着かない。「これでいいのかな」という思いと、「じゃあどうしたらいいんだ」という思いが、砂浜を洗う波のように行ったり来たりしていて。そうやってぐるぐるしているとまた眠れなくて、仕事中に寝ることになるのです。ハハハハハ。最悪だよ。