売店から、満開の桜の下を潜って分類標本園に向かいます。
分類標本園では東アジアに分布する約500種の植物がエングラーの分類体系に従って植えられています。
手前側にシダ植物、双子葉植物そして一番奥が単子葉植物です。
植物の分類体系を広くカバーする植物が植栽されていますので、植物形態などを比較観察するには最適の場所です。
分類標本園を詳細に観察すると、一日あっても足りませんので、咲いている花だけを見て行きます。
5、6目辺りの列にシロバナアケビが咲いていました。一般的なアケビは薄紫色ですが、シロバナアケビは花の色以外は普通のアケビと同じです。
その先でコクサギが雄花を咲かせていました。
コクサギは雌雄異株ですから、隣に雌株が植えられていますが、雌株にはまだ花が咲いていないようです。
左:シロバナアケビ 右:コクサギ
分類園の中央でハチジョウキブシが枝を広げて、緑黄色の花を咲かせていました。
ハチジョウキブシも雌雄異株ですが、どうやらこの木は雄株のようです。
西のエリアでは、剽軽な姿にミツマタが花を咲かせていました。
ミツマタは必ず枝が三本に分かれます。
ミツマタの枝の分かれ方は、枝をまず二本に分けた後で、その内の一本が更に二本に分かれるのか、あるいは、主軸となる枝があって、そこから二本の側枝が出るのかが気になって、筆者は観察を続けていますが、誰かに言うと「暇だねー」と笑われますから、これは此処限りの、内緒のお話しです。
分類標本園を出て右手に折れると、旧養生所の井戸があります。
小石川養生所は1723年に開設され、明治維新時に廃止されるまで、貧困者のための治療が行なわれました。
この井戸は水質も良く水量も豊富で、関東大震災の時には避難者の飲料水として大いに役立ったそうです。
井戸の前を過ぎて、ツツジ園に向かう途中で、東の空にスカイツリーが見えていました。
さすがのスカイツリー、誰もその姿を遮ることはできません。
ツツジ園では開花時期の早いタカクマミツバツツジがショッキングピンクの花色を見せていました。
桜の季節が終われば、次に続いてツツジの季節が始まります。
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