オオリキュウバイの純白の花に包まれた後、池の畔を東へと進みます。
その先の、元の散策路と合流する辺りに、枝に葉を茂らせた切り株が横たわっています。
ネームプレートが無いので、うっかりすると見落としそうです。
実は、この切り株は三年前まで、見事な枝振りで花を咲かせていた安行寒緋桜です。
下の写真は切り株になる前の安行寒緋桜の姿です。
2014年2月15日に東京を襲った積雪20㎝程度の豪雪の日を最後に、この安行寒緋桜は切り株だけの姿となってしまいました。
でもしかし、本年2月29日、この安行寒緋桜は奇跡的な生命力で、一本の枝に見事な花を咲かせてくれたのです。
筆者は、今でもここを通るたびに秘かに声を掛け続けています、「頑張れ、安行寒緋桜!」
来年もきっと、きっと花を咲かせてくれると信じています。
ほどなく進むと、すっくと聳えるイタリアヤマナラシの姿が見えてきました。
漢字で書くと「伊太利亜山鳴らし」、別名はポプラです。
そして、このポプラが見える茂みの中に、小さな三角帽子のピンクの花が揺れています。
この花はウグイスカグラ。
鶯が鳴く頃に花を咲かせるので「鶯隠れ」が変化して名になったそうです。
女性にとても好まれる花ですから、エスコートする男性は見落とさないで下さい。
それにしてもこの散策路は、本当にロマン溢れる話題が豊富です。
花嫁を想わせるオオリキュウバイ、奇跡の花が咲く安行寒緋桜、鶯の囀りにハーモナイズするウグイスカグラ、北海道の広大なイメージと重なるポプラ、老いも若きも、恋を語りたい二人には最高のシチュエーション、デートスポットだと思いませんか。
その先には、ベニコブシが薄桃色の花に若葉のリボンを付けて枝に揺れていました。
右手では、池の畔にラクウショウが気根を出して並び、その枝には、希望に満ちた若葉が萌え出しています。
ラクウショウの横をすり抜けると、背丈ほどに伸びたカラシナが黄色い花を咲かせ始めていました。
この辺りの草地ではスミレやニリンソウなどが咲きますので、昔懐かしい里山の風情を想い出しながら、カキドウシなどの素朴な野草を探してみては如何でしょうか。
タチツボスミレ
ニリンソウ
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