実相寺監督のアクがほどよく抜けて(抜かれて)いた。
「帝都物語」のようなグロ描写や
「D坂の殺人事件」のような成人向け描写はまったくなく、
もちろんATG時代の観念的なイメージも抜けていて、
さすがメジャー映画という作り。
おなじみ池辺晋一郎の
音楽が緊張感と妖しさを盛り上げる。
これはまんま「D坂」でした。
20ヶ月もの間妊娠している女性・・
一向に出産する気配が無いという。
古い病院の周辺に奇怪な事件の噂が巻き起こり
伝説の姑獲鳥(うぶめ)のイメージがかぶる。
皆が期待するところの池谷仙克の美術は、予想通りの見事さだった。
障子を使った美術、京極堂の書庫や家のしつらえは
たまらなく美しく、書斎をあんなふうに・・と思った人も多いと思う。
(私だけですか)
中堀正夫のカメラも斜めになったりぐるぐる回ったりと
相変わらずごっつう凝ってまっせ!
ビジュアルでは「漢字」の美しさもあらためてカンジた。(駄洒落)
そして最初と最後に映し出される白黒写真の数々は昭和好きの涙を誘うだろう。
随所に散りばめられたレトロなかほり、遊び心も。
ムード作りは完璧だ。
しかしながら、疑問は多い。
謎解きの説明(語り)の合間合間に
イメージショットがフラッシュバックする
という手法はどうでしょう?
筋は芝居はいずこへ?
映像化不可能と言われている原作に遠慮したのでしょうか?
永瀬正敏は鬱気味の関口君を癖が無い演技でこなしていた。
反対にクセがある松尾スズキは主張しすぎで空まわり・・。
牧朗は「子なきじじい」のようでいいのか?
木場(宮迫博之)はあんなにガラが悪くていいのだろうか?
原田知世は綺麗だけど、いいのか。
時々見られた演劇的な演出は効果的なのだろうか。
いしだあゆみをアップで抜いていいのか。
なぞは深まった・・・。
いしだあゆみは
テンション高く「怪鳥」のようだ。
そんな中、実相寺監督の奥様である、
ベテラン女優原知佐子がちらっと出てくるが
きっちりとした芝居でほっとする。
京極夏彦が
傷痍軍人(水木しげる)に扮してかなり画面に露出していたが
どうせ出るなら
京極堂を演じたらいかがだろうか?
ご自身が演じられた方が説得力が出るのではないだろうか。
あの長い薀蓄を自分の説として語るには堤真一でなくとも
たいへんな演技力が要りそう。
TVインタビューでは「京極堂」=自分自身
は否定されていたが。
「ボクはあんなにイヤなやつじゃありませんから・・」とは
おっしゃっていたが。
ぶっちゃけた話、最初から最後まで
京極堂が喋り続けていましたからね。
かなり思い切った脚本だと思いました。
英語の字面は単純明快。
耳にも心地よい言語だけど
我々の話す日本語、
そして漢字ひらがなカタカナ、
縦書きの文字は
西洋圏の方々にとってみれば脅威の神秘性を帯びていると思う。
もっと誇りを持って日本語を喋り、書いていきたい。
と、あらぬ方向に私の粗忽頭のベクトルは向いていった。
本当に
この世に不思議なことは何もなかった。
2005年 実相寺昭雄監督作品 美術 池谷仙克 撮影 中堀正夫 脚本 猪爪真一
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「帝都物語」のようなグロ描写や
「D坂の殺人事件」のような成人向け描写はまったくなく、
もちろんATG時代の観念的なイメージも抜けていて、
さすがメジャー映画という作り。
おなじみ池辺晋一郎の
音楽が緊張感と妖しさを盛り上げる。
これはまんま「D坂」でした。
20ヶ月もの間妊娠している女性・・
一向に出産する気配が無いという。
古い病院の周辺に奇怪な事件の噂が巻き起こり
伝説の姑獲鳥(うぶめ)のイメージがかぶる。
皆が期待するところの池谷仙克の美術は、予想通りの見事さだった。
障子を使った美術、京極堂の書庫や家のしつらえは
たまらなく美しく、書斎をあんなふうに・・と思った人も多いと思う。
(私だけですか)
中堀正夫のカメラも斜めになったりぐるぐる回ったりと
相変わらずごっつう凝ってまっせ!
ビジュアルでは「漢字」の美しさもあらためてカンジた。(駄洒落)
そして最初と最後に映し出される白黒写真の数々は昭和好きの涙を誘うだろう。
随所に散りばめられたレトロなかほり、遊び心も。
ムード作りは完璧だ。
しかしながら、疑問は多い。
謎解きの説明(語り)の合間合間に
イメージショットがフラッシュバックする
という手法はどうでしょう?
筋は芝居はいずこへ?
映像化不可能と言われている原作に遠慮したのでしょうか?
永瀬正敏は鬱気味の関口君を癖が無い演技でこなしていた。
反対にクセがある松尾スズキは主張しすぎで空まわり・・。
牧朗は「子なきじじい」のようでいいのか?
木場(宮迫博之)はあんなにガラが悪くていいのだろうか?
原田知世は綺麗だけど、いいのか。
時々見られた演劇的な演出は効果的なのだろうか。
いしだあゆみをアップで抜いていいのか。
なぞは深まった・・・。
いしだあゆみは
テンション高く「怪鳥」のようだ。
そんな中、実相寺監督の奥様である、
ベテラン女優原知佐子がちらっと出てくるが
きっちりとした芝居でほっとする。
京極夏彦が
傷痍軍人(水木しげる)に扮してかなり画面に露出していたが
どうせ出るなら
京極堂を演じたらいかがだろうか?
ご自身が演じられた方が説得力が出るのではないだろうか。
あの長い薀蓄を自分の説として語るには堤真一でなくとも
たいへんな演技力が要りそう。
TVインタビューでは「京極堂」=自分自身
は否定されていたが。
「ボクはあんなにイヤなやつじゃありませんから・・」とは
おっしゃっていたが。
ぶっちゃけた話、最初から最後まで
京極堂が喋り続けていましたからね。
かなり思い切った脚本だと思いました。
英語の字面は単純明快。
耳にも心地よい言語だけど
我々の話す日本語、
そして漢字ひらがなカタカナ、
縦書きの文字は
西洋圏の方々にとってみれば脅威の神秘性を帯びていると思う。
もっと誇りを持って日本語を喋り、書いていきたい。
と、あらぬ方向に私の粗忽頭のベクトルは向いていった。
本当に
この世に不思議なことは何もなかった。
2005年 実相寺昭雄監督作品 美術 池谷仙克 撮影 中堀正夫 脚本 猪爪真一
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映画全体としては、どうも幻惑的な映像や雰囲気だけが先行してしまった印象でした。原作のロジカルな謎解きの面白さが半減していたのは、映像化の難しい作品ということなんだろうかと改めて思っているところですw
キャスティングは・・・微妙っすねw
誰がいいのだろうかと考えてました。
なぜああなったんでしょうかねえ~。
あと、昔風の美しい言葉遣いって
なかなか昨日今日じゃサマにならないものですね。
脚本と構成は正直言ってかなりビミョ~~っすw
観てきましたよ~!
話の筋はなんか端折りすぎな感じでしたが、それなりに映像美と京極堂のリアルな佇まいを楽しんで観ました。
友人は寝ておりましたが・・・(笑)
私もぬるい記事ですが書きましたぞ~^^
TBさせていただきました!
私も実は原作を読んでいたのですが
なるべく本は忘れて見るようにしたつもりです。
京極さんも映画と本は「別物」っておっしゃって
いましたしね。
リアル京極堂やリアル姑獲鳥(!)も見られましたね~。
願わくば!、京極さんご自身が
「脚本」を手がけた映画が見たいなあと思いました!
私も言いたかった。
ミイラの様になっちゃって、どうしたのよ!
ちりめんしわの浮かぶお年頃になったら、
upは考え物でしょ!
水木しげるは戦争中に、パプア・ニューギニアで、怪我をして、現地の人にかくまわれ、助けられた人だから、戦争への思い入れがたくさんあるのでしょう。
戦争体験した人は、皆、そうです。
だから、あれは良かったのだと思います。
ところで、京極さんのお姿を、私は見かけた事がありません。おみ足は,在るのでしょうか???
楽しく、拝見させていただいておりますよ。
海の上にも、幽霊はでますから・・・ホ・ホ・ホ
水木しげるさんの大ファンだそうなので
水木さん役を演じるのは念願だったのかもしれませんね~~
私も先日水木しげるさんの戦争体験を
テレビで拝聴いたしましたが
ご自身が片腕を無くされるような
ひどい怪我を負ったときも
生きていられるからいいかと
思ったくらいだったそうで。
そんな極限の体験をされたからこそ
夢のある妖怪を描かれているのかもしれないと
思いました。
京極さん、おみ足はしっかりありましたよ。
この映画にも出てらっしゃいましたが、
「妖怪大戦争」にも
ちらっと出演されているみたいですね。
テレビや雑誌などで、最近
お着物姿をお見かけすることが多いので、
個人的に嬉しくなっていたところです。
幽霊妖怪大好きです。
またどうぞよろしくお願いします。