邦画ブラボー

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「血は渇いてる」

2005年12月06日 | ★人生色々な映画

社員の首切りを阻止するために、
拳銃自殺しようとするサラリーマン木口。(佐田啓二)

危うく一命を取りとめるが
事件は社会問題としてマスコミに取り上げられ、
彼は一躍時代の寵児のようにもてはやされることに。

唐突な始まりに驚く。

拳銃をこめかみに当てた木口の写真が、
生命保険会社の広告塔となるくだりはまるでアメリカ社会のよう。
ポップアートのような巨大な写真の看板がビルの前面に掲げられる。

木口と彼を取りまく人々の顛末。
同僚金井を演じるベテラン織田正雄がリアルな芝居。
木口を売り出す仕掛け人、マネージャー・ユキに芳村真理。
ウエストがきゅっと締まったバービースタイルの洋服がよく似合う。
上昇志向が強い、時代の先端を走る女を演じている。

ユキの元恋人でバリバリ業界人の週刊誌記者・原田には三上真一郎。
ドライで現実的な男です。
木口の妻に岩崎加根子。この人どんな役でもうまいですわ~

都会的な乾いた雰囲気が全編に漂う。
スピーディな場面展開にも驚いた。

木口はしだいに自分が社会に求められていると錯覚していくが・・・

ユキが元彼、原田に抱かれながら
「私はこの手で社会を変えられると思った。」
「でも、なにも変らなかった・・」と、独白するシーンがある。

「何かがおかしいわ、この音、昔も聞いた覚えがあるわ・・」

世の中も自分も、何も変わっていないと気づくユキは、
「踊るわ!踊って踊って踊りぬくわ!」とクラブで
原田を相手にヤケ踊りするのでした。
クラブのシーンが何箇所か出てくるが、音楽が印象的に使われている。

最後に大きな広告が取りはずされ、
地面に落ちていく様子が象徴的で目に焼きつく。

吉田監督がどうしてもやりたかった場面だったそうです。

松竹ヌーベルバーグと呼ばれた作品群のひとつとされている。
これらの刺激的な作品が次々と発表された60年代に
リアルタイムで見たかった!

佐田啓二は絵になっていました

1960年 吉田喜重監督作品  松竹

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14 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (映画のせかいマスター)
2005-01-07 11:44:53
どうも^^TBありがとうございました。

最近CSの日本映画チャンネルにはまっていて、片っ端から邦画見てます。70-80年代モノが好きなんですけど、「血は渇いてる」のような掘り出し物があるんで、それ以前も目が離せませんね。私のblogも最初は洋画が多かったですが、今後は邦画もバンバンいきますので、どうぞよろしくお願いします。
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こんにちは!! (spok23)
2005-01-07 12:18:10
日本映画チャンネル、いいのやってますか?

契約しようかなあ~

私はBS2で見ました。

毎朝新聞は目を皿のようにして(笑)いいものやらないかチェックしています。

「血は渇いてる」面白かったですよね。



邦画もバンバンいってください。

こころ強いです!

返信する
日本映画チャンネル (映画のせかいマスター)
2005-01-08 08:13:30
どうも!最初は黒澤明特集が狙いで契約したのですが、ゴジラ全作品連続放映にはまってしまい、2月には24時間まるごと東宝特撮特集ってのを楽しみにしています。「ガス人間1号」とか「マタンゴ」とかですねー。特集以外はマニアックなのであまり見ないので、いい特集が無い月は止めようかと思っていたのですが、角川映画クロニクルとか、なかなか目が離せません。



BS2もいいですね。HPで来月分をチェックするのがヒジョーに楽しみであります。TVでやる映画はレンタルだと多分借りて観ないけど、思わぬ掘り出し物があって(血は~もそうでした。吉田喜重もっと観るべきだった)いいですねー。



ではでは、たくさん書いてしまいました。^^)~~~
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特撮もの (spok23)
2005-01-08 09:54:39
「ガス人間1号」面白そうですね。

「マタンゴ」見ました。

特撮ものは私も大好きなんですよ。

24時間ぶっとおしというのはすごいですね!



ケーブルテレビのチャンネルNECOというのを

よく見ているのですが、

先日宇津井健の「スーパージャイアンツ」を

やっていてノックアウトされました。



角川映画、勢いがあったときは本当に

面白かったですよね~~
返信する
リアルタイムで観たかった (偵乱密 泡華)
2005-06-22 00:11:24
こんばんは。



BS2では1月にも放送されたのですね。私は6月の放送を観ました。



リアルタイムで観たかったというのは同感です。相当先進的だっただろうなと思います。

広告ののシーンも良かったし。



TBさせていただきました。

今後もよろしくお願いします。
返信する
同感 (spok23)
2005-06-22 09:18:54
こんにちは、偵乱密 泡華さん。



斬新なカメラアングルやカット、画面の構図に

驚きました。何かこう・・見ていて

刺激されました。



ポップアートのようでもありましたね。



こちらこそよろしくお願いいたします。

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また、どうも (マル季)
2006-07-16 18:02:52
この作品も最近見ました。当時としては、こういうメディア批判的な映画は、先進的だったのでは?

アメリカでも「ネットワーク」とか撮られたのは、70年代に入ってからですしね。

小津映画では二枚目の役回りを演じることが多い佐田啓二が、やや愚鈍な感じの男をやってたのが、面白かった。
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ほんと先鋭的でしたね (ブラボー)
2006-07-16 18:40:00
白黒の、締まった画面が印象的でしたね。



佐田啓二はやっぱり

イイ男ではありますね~~



60年代の雰囲気も

そこかしこに匂っていました。
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喜重デビュー作に挑戦 (マル季)
2006-07-28 23:17:46
「血は~」「日本脱出」「嵐を呼ぶ十八人」「秋津温泉」などを観てきました。一番最初に観たのが「日本脱出」で、これがなかなか良かったので四つ観ました。「血は~」の感想は前述したとおりです。

小津や黒澤のように、職人より作家として語られることが多いこの監督の特徴がイマイチつかめないのです。

次はデビュー作の「ろくでなし」を観ようと思ってます。



煙草を吸うシーンに特徴があるかな。相手に火のついた先端がくっつきそうになるくらい接近して煙草を吸うので「危ない!」と思ってしまうw
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Unknown (ブラボ~)
2006-07-29 08:39:44
私は「戒厳令」での

ストイックなまでに

突き詰められた世界で、

窒息しそうに

なりながらも惹かれました。(笑)
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