平成26年度全道漁協トップセミナーが、3月6日午前9時から開催され、約150人の組合長、専務参事が出席して函館でハンバーガーチェーンを展開するラッキーピエロの王一郎社長が「B級グルメ地域No. 1~パワーブランド戦略~」を講演し、モノから心、人に転換するマーケティングの流れと、組織のリーダーに必要な思考や態度を指南した。
王社長は現在の市場について「人間社会にも60年に1回、ヌーの大移動が起こる。価値の大転換の前では小手先の改善・改革では間に合わない」と述べ、情報の技術革新に遅れをとらない、例えばスマホでアクセスできる情報発信の整備を指摘した。高度成長期の「胃袋で食べる時代」、バブル崩壊までの「目や頭で食べる時代」を経て、現在は「心で食べる時代」に入っており「情報発信して安心・安全を理解してもらう」必要があるとした。
「相変わらずモノを売っていませんか?」と問いかけ、モノからヒトへの転換を提起し、「お客様に感動を与え、信頼関係を築き、生涯買ってもらえる客をつくる」という長期戦略のもと、17店舗目を建設し「函館で74%のシェアを獲得し、ダントツの一番店になりたい」と抱負を語った。植樹活動や生ゴミ削減、環境保全、地産地消など社会的な価値を追求していくのも企業の役割であり「顧客は良い企業と付き合いたい」と思っていることに注目を促した。
リーダー論では「トップが使う言葉で会社の将来が決まる」と指摘し、愛を表現することや、「ポジティブ・メンタル・アティチュード」(積極的心構え)の大切さを強調した。「80%の潜在意識が20%の顕在意識を規定し、いつも考えていることが言葉に出る」ため、「景気が悪い」とか「忙しい」「できない」「つまらない」「失敗した」といった否定的表現は止め、「充実している」「やってみよう」「もっと工夫しよう」「これから面白くなる」「やりがいがある」に変えるようアドバイス。サミュエル・ウルマンの「青春の詩」を朗読して講演を締めくくった。
また、中国の社会経済の専門家と知られる朱建榮東洋学園大学教授が10年ぶりに講演を行い、「中国社会・経済の動向~日本にとっての可能性」をテーマに拡大する中間層によって革命的な変化が進んでいる中国社会の現状と今後の方向性を解説した。爆発的な中国人の海外観光ブームを紹介し「日本にとってチャンス」と強調。政治によって両国関係が冷えても、中間層の拡大によって「観光と輸出は影響を受けない」とし、安心・安全な道産水産物をPRする漁港・漁業観光の勧めを提案した。