北海道の漁協関係者が一堂に会する漁協系統総会シリーズは、2日間(6月14日〜
15日)の幕を下ろし、いよいよ夏の予算編成に向けた政策実現の取り組みが本格化
してきた。
漁業権制度を変える水産庁の「水産政策の改革」はいまだ現実味を帯びているわけ
ではないが、いろいろと懸念や不安が出ているのは事実。
全道漁協組合長会議で川崎一好道漁連会長は「この漁業権の見直しは漁業の存続に
関わる転換期」と述べ、漁協を中心にした漁場の利用、つまり現行漁業制度の堅持を
述べた。
結局、全道漁協組合長会議では議論されなかったが、出席した個々の漁協組合長か
らは強い危機感が聞かれた。しかし、総会シリーズが終わった6月15日には水産庁の
改革案は「骨太の方針2018」「規制改革実施計画」に盛り込まれ閣議決定された。
完全に既成事実化されオーソライズされた改革だが、内容は全く詳らかにされていない。
水産庁は、早々と6月21日から全国6ヵ所で説明会を開き、初めてオープンな形で
改革の意図や具体化のプロセスを語ることになっている。もちろん、特定区画漁業権
および漁業権の優先順位の廃止がなぜ必要なのか。きちんと答えて頂きたい。
漁業権の問題を抜きにした予算や政策の要求は虚しい
この問題抜きに予算の要求や政策実現の訴えは虚しい。しかし、改革を飲むことの
見返りに根幹的予算の拡充は目の前にぶら下がっている。政府自民党は31年度当初と
言わず、30年度補正も組んで漁業の成長産業化を進めるのだろう。それは業界一体と
なった動きなのかもしれない。
漁業自ら構造改革に取り組むのはいいとしても、成長産業のビジョンが見えてこない。
広域浜プランとの関係もピンとこないし、水産庁の改革案には理念がなく、漁業の将来
像抜きの標語が並ぶ。いわく「資源管理と成長産業化の両立」「漁業者の所得向上」
「バランスのとれた就業構造」のための法改正に乗り出すというが、論理の整合性はな
く、バラバラの感じで、とても漁師の胸にストンと落ちる話がそこから生まれる気配は
しない。