えりも地区のゼニガタアザラシの管理計画を話し合う令和6年度第2回目の科学委員会が1月16日、札幌市北区の会議室(ウェブ併催)で開かれ、2024年度の結果を踏まえ、新年度の管理事業実施計画を話し合った。
2025年度から5年間の「えりも地域ゼニガタアザラシ特定希少鳥獣管理計画」(第3期)がスタートするが、昨年11月〜12月に実施したパブコメでは計画案への意見はなかった。しかし、第3期管理計画では漁業被害軽減のため生息推定数を2割削減する目標を踏襲しているが、すでに当初の1,000頭に対し、現状は800頭を大きく割り込み、600頭もしくは半減まで減っているとの推計が出ている。そのため、2025年度の年間の捕獲頭数は前年の62頭(目標、実績同数)から3分の1の20頭に削減する方針が承認された。また、捕獲頭数は順応的管理の観点から毎年度検討し、柔軟にモニタリング技術の向上を受けてより正確な生息頭数の確認、定置網の秋サケの食害を防ぐ防除対策(格子網)の改善、さらに鳥インフルエンザの流行などの急変に年度内の期中改定を行うことが確認された。今後、1月28日にはえりも町で保護管理協議会を開き、第3期計画を最終協議し、2025年度の実施計画を決定する予定。さらに2月4日には中央環境審議会の野生動物小委員会で承認し、官報に告示、関係機関に通知する。
環境省の尼子直輝総括自然保護管理官は「えりも地域のゼニガタアザラシの個体数は目標としていた2割削減より多く減少しており、漁業被害を軽減しつつ再び絶滅危惧種に戻るこのないよう忌憚のない意見をお願いする」と述べ、松田裕之委員長(横浜国立大学)が座長となって議論を交わし「実施計画は承認されたが、課題が山積しており、8割削減の目標をキープしつつ絶滅リスクの低い管理を行い、個体数の減少に歯止めをかける。捕獲はいつか止めるとしても、漁業被害対策をできないとダメ」とまとめた。出席した坂本好則えりも漁協代表理事組合長は「漁業被害は定置網の残渣から判断しており、サケの来遊が少なくなれば、タコなど他の資源に被害が及ぶ懸念がある。一連の対策で被害が狭い地域に収まっており、ゼニガタアザラシは観光資源でもあり漁業と共存できるよう町と協調したい」と語った。
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