北海道の漁業は、秋サケ、コンブ、ホタテ、サンマ、イカと快調に盛漁期を向けていると言いたいところですが、そうはいかないのが実情だ。数量減少、価格上昇がずっと続き、主要な魚種は今年もことごとくが大漁、豊漁感がない。
生産者団体の幹部は「このところ、北海道の漁業生産量(1~12月)は毎年減っており、27年度は100万トンを切る水準に落ち込む可能性もある」と心配しています。10年ほど前には150~160万トンだった水準が大台を割る危険性も出ています。
そのため、資源管理が漁業政策のキーワードとして大きな位置を占める。そんな折、いよいよTPP(環太平洋経済連携協定)が10月5日、米国南部のアトランタで大筋合意され、大々的に報道されましたが、その内容は必ずしも明らかではなく、地方における情報不足は今も深刻です。
秘密の部分が多く、今後何がでてくるか、ちょっとわからない状況です。例えば、自民党の会議では農産物の果樹類が自由化の対象になっていることが報告され、議員から「そんな話聞いていない」といった声も上がったそうです。
水産物の関税率は品目によって即時撤廃から年数を経た段階的な削減など多様で、対象国によっても異なることから、単純に影響額を算定するのは難しい状況です。そうした中でも全閣僚が参加した政府のTPP対策本部で基本方針が出され、体質強化対策、重要五品目対策などを「政府全体で責任を持って対応する」ことが確認されています。
体質強化の項目として上がっている担い手育成・確保、持続可能な収益性の高い操業体制の転換などを強力に推進してもらいたいものです。
具体的な影響や対策は11月号に取り上げことになります。その頃には、秋サケ、サンマなどの漁模様も大勢が判明していると思います。