水産北海道ブログ

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自民党道連「胆振東部地震災害対策本部」で各団体から要望 苫東厚真火発1号機が復旧、19日から節電目標解除

2018-09-20 16:03:08 | ニュース

 自民党道連・議員会は18日午前、札幌市内のホテルで「平成30年北海道胆振東部地震災害対策本部」会議を開き、道や札幌市、開発局などが被害・復興状況を説明し、各業界団体から要望を受けた。

 吉川貴盛本部長(道連会長)が「ようやく停電、断水など地震からの復旧が進み、観光客の激減への対応も必要になっている。復旧から復興に力強く進む時期にきている」と挨拶した。

 高橋はるみ知事、秋元克広札幌市長、水島徹治道開発局長らが被害・復旧状況を説明した。道経済産業局からは「北電から苫東厚真発電所の試運転を開始するとの連絡を受けている。これが安定的に稼働すれば需要減1割は必要ない。今後は無理のない範囲での節電をお願いする」との話があった。吉川本部長は「これから道内の産業活動をしっかりやってほしいとのメッセージと受けとめる」と述べた。

 続いて長谷川岳本部長代行が自民党道連対策本部の活動を紹介し、午後4時30分からの党本部での対策本部会議に要請し、各省庁にも働きかける方針を強調した。

 各業界からは、道商工会議所連合会、道観光振興機構、JA北農中央会、道治山林道協会の代表が対策を要望。水産業界は、道漁連の佐藤忠則副会長が「地震による停電は幸い漁船が沖に出る前に発生し、被害は思ったより少なかった。今後は電力が安定供給されるよう要望すると同時に、業界自らも対策に努めるが、電源が集中しないようお願いしたい」と述べた。

 今後の対応について、地元選出の堀井学衆議院議員(道9区)が災害復旧関連法の柔軟な運用を求め、神戸典臣道議(胆振総合振興局)がJRの間引き運転の改善を申し入れた。

 最後に吉川本部長が「本日の要望はしっかり中央に伝える。今後は北海道の安心・安全を発信し、経済・観光のピンチをチャンスに変えていきたい」と復興の決意を示した。

 高橋知事は18日夕、観光の需要回復に向けたメッセージを道内外に発出し「北海道は現在、安全であり、旅行、滞在には支障がないところまで回復している」と強調した。

 国、北電は19日午前9時から苫東厚真火発1号機が稼働し、安定的な電力供給が可能になったことから、需要1割減の節電を解除すると発表した。


18日から1割程度の節電に緩和 農林水産業の被害397億円、水産は漁港など10億円

2018-09-18 10:02:35 | ニュース

 世耕弘成経済産業大臣は14日、北海道胆振東部地震の影響で2割節電が続いていた道内の節電について京極発電所(約40万キロワット)の稼働で、電力供給力が上積みされたことから、午前8時30分から午後8時30分までの節電タイムに「一律2割節電」を設定しないと発表した。引き続き「需給減1割確保に向けたできる限りの節電に協力」を求め「当面の計画停電はない」とした。

 これを受けて、高橋はるみ北海道知事は、連休明け18日以降の節電について①節電タイムにおけるできる限りの節電②土日、祝日、平日の夜間における普通通りの生活、企業活動③店舗営業、工場操業、各種イベントを大きく制限しない範囲での節電協力④計画停電は当面必要がないと語り、道民への理解を要請した。

 なお、6日未明の地震のあと、停止が続いていた道内最大の苫東厚真火力発電所について、北海道電力は早ければ18日にも1号機(35万キロワット)の再稼働させる作業を進めている。

 道は16日、地震による道内一次産業の被害状況をまとめた。それによると、農林水業の被害は397億円にのぼり、大規模な土砂崩れが発生した山林が225億円、林道48億円など林業被害が最も多い。次いで、農業が、農地や用水路の損害で93億円、停電による牛乳の廃棄で21億円の被害が出ている。水産業は、漁港施設の被害10億円のほか、養殖の魚類、ウニのへい死、凍結した水産物の廃棄など、今後の調査で被害がふくらむ見通しにある。


【今月のフォーカス】 水産政策の改革法案の準備進む 「上からの改革」「スピード」に系統困惑

2018-09-17 13:15:27 | 今月のフォーカス

 水産政策の改革については、水産庁が9月20、21日の両日、法案の検討状況を都道府県水産担当者に説明会を開く。同じ内容を2グループに分けて説明するもので、連続した検討内容2部構成で説明するものではない。都道府県の水産担当者は、事前に内容の具体的な情報提供を受けているわけではなく、様々な憶測も出ている。

 水産庁は「現場の理解を得るために丁寧な説明」に努めるが、内容に関しては「上意下達」であり、都道府県に対しても一方通行のようだ。そのため、沿岸域における漁業権の許可や海面利用秩序について免許、調整を任せされることになる地方行政は戦々恐々としている面も。他方、法案化の過程では、省令や通達など煩雑な決めが必要なので、少し議論をスローダウンすることを期待する向きもある。

 これを受けて全漁連も9月25日の東京を皮切りに大阪、福岡の3ブロックで水産庁の改正法案の検討状況をテーマに、対応を協議する。漁協系統の方向は難しい面をもつ。規制改革推進会議や日経調第二次高木委員会(小松委員会)の動向を考えると、農協の二の舞は避ける観点から水産庁、全漁連の「あうんの呼吸が大事」という理解をしている系統人は、水産庁の荒っぽい手法もやむを得ないと見ている。

 新しい自民党総裁就任、内閣改造などの政治日程を経て、10月下旬には災害復旧など補正予算や法案を議論する臨時国会が開かれ、水産政策の改革法案も提出される予定。今のところ、漁業法、水産資源保護法、TAC法(海洋生物資源保存管理法)、水協法の「大幅改正および法律の統廃合が行われるのでは」との見方が聞かれる。多くの地方の漁協系統では、今回は「浜が要望した改革ではなく、上からの改革」。しかも「内容決定のスピードが速く、プロセスも従来とまったく異なる」と当惑を隠せない。下からの議論の余地も時間がなく、方向性をめぐる議論より、漁業の成長産業化を実現する予算や政策の獲得に注力する方針に切り替えざるを得ない状況も予想される。

 実際に浜では、東京での議論(自民党、水産庁、全漁連のやり取り)が伝わりにくく、法制度の議論は身近には感じられない。養殖業を行う特定区画漁業権や漁業権の優先順位の廃止などは、5年後の2023年にならないと実行されないため、その影響をイメージアップするのが難しい。水産庁は説明会での主な質疑をまとめたQ&Aをホームページに掲載したり、長谷長官の肉声をユーチューブで流すなど、いろいろと手回しがいい割に、説明の内容がいまいち説得力に欠ける。やはりもう少し、体系立った「漁業の成長産業化」構想を専門家を交えてやるべきだったのでは?そうでないと、3,000億に拡大した予算が結局、つぎはぎの項目にタレ流され、総合的な効果を出さずに終わる可能性もある。


漁協専務参事会が「水産政策の改革」懇談会 改革の課題・問題点や予算措置を協議

2018-09-17 13:14:36 | ニュース

 道漁協専務参事会(小川勝士会長)は、5日(水)午後2時から京王プラザホテル札幌で「水産政策の改革に関する懇談会」を開催し、約50人が出席して国の進める「水産政策の改革」への対応を協議した。懇談会には、道漁協専務参事会の役員や各地区副会長をはじめ、全漁連の長屋信博専務、道水産林務部の幹部、各課長、担当職員、道漁連など系統各連の役職員が出席した。

 協議では、総論、資源管理、流通構造、漁業許可制度、海面利用制度、漁協制度、多面的機能、改革を促進する予算措置の内容について課題・問題点を洗い出した。

 全体として「漁業権の優先順位の廃止や海面利用のルール改正が漁村内部に混乱を起こさないよう求める」「資源管理システムの改革でTAC魚種を拡大した場合、沿岸漁業で混獲される魚をどのように調整していくのか」といった意見、疑問が出された。混獲魚によって操業そのものが停止に追い込まれる「チョーク・フィッシュ」の問題が発生するとの危惧が出ている。


ロシア太平洋サケ・マス約61万㌧ カムチャッカ48万㌧突破、サハリン8万㌧に回復

2018-09-15 21:59:07 | ニュース

 ロシアの大平洋サケ・マスは、カムチャッカ地方の豊漁が続いている。道機船連によると、ロシア漁業庁は極東地域の操業会議を開き、9月11日現在の累計漁獲量は約61万2,700㌧で、直近偶数年となる2016年同期比で22万4,400㌧(37%)上回った。

 カムチャッカ地方は48万8千㌧と同比較で26万㌧(37%)上回り、史上最高記録を更新している。

 一方、北海道に近接するサハリン州は出遅れていたが、南クリール地区の上積みが貢献し、8万2千㌧と同比較で同等まで回復した。