年末に、ムスカ大佐(夫)から電話が来た。
ネットで電子タバコを買って欲しいと言う。
市場は品切れで手に入らないからネットで、
自分の帰省に間に合うように手に入れて欲しいと。
電子タバコ業界はまだ成熟していないから品質や使い勝手が賛否両論で
味に馴染めずに紙たばこに戻る人も多いと聞くし
デリケートで壊れやすいとも聞くし
壊れても登録していないと直して貰えないのに、
その登録手順が面倒で未登録のまま壊れてもう1台買ったなんて話も聞くし
もう少し待ってはどうか、と私は大佐に進言した。
たぶんたいして待たずに手に入るだろうし(だって需要は限定的だし
そんな大げさな作りじゃないし、かき入れ時を逃したくないだろうし)、
それよりも、よくよく開発されて評判が良くなってから買えばいいのでは、と。
却下された。
「健康のために電子タバコに変えたいと思ってる。
でも今大人気で早くしないとネットでも買えなくなると思う。
それに会社でもみんな持ってるんだよ。」
「早くしないとなくなる」って。
「みんな持ってる」って。
妖怪ウォッチやポケモンGO!をねだる子どもみたいなのがうちにもいたとは。
今しかないと強迫的に思い込んでいる大佐。
そういう心理状態で私の話は耳に入らないようだ。
都合のいい成功例ばかりに目がいき 失敗例は低くカウントする。
人に騙されるタイプだな。
正規品なのかも怪しいけれどと思いつつ
大佐の心のクオリティオブライフのためにネットで買ってあげることにした。
年末に帰って来た大佐は大喜びし、
さっそくいそいそとコンビニに電子タバコ用のタバコを買いに行き
そして戻ってきて言った。
「・・・・電子タバコ入荷しました、って貼り紙がしてあった」
3本吸って紙たばこに戻った。