襖(ふすま)の親方から贔屓にされている。
いつ切られてもおかしくないし、いつ切ってくれても構わないのに
今日もお呼びがかかる。
親方、もしかして・・・・弟子がみんな逃げたんじゃ・・・・
今日はリフォームの現場で、襖だけじゃなくてクロスも貼ることになって手伝ったんだけど
もう指示が全然ダメ、自己流で。
説明もないし。
ひと部屋めの壁を糊付けし終わって 隣の部屋の壁を塗ろうとしたら
「そっちの部屋は、まず天井に糊塗っといて」
って言うから
「天井に、ですか?天井に塗ったら、私糊被っちゃうけど、ほんとに天井?」
って何度も確認したのに
「天井だよ!天井だっつってんだろ!」
って言うから手ぬぐいかぶってローラーで塗ってたら
「何やってんだ馬鹿!天井に塗るんだよ、どこ塗ってんだよ!」
と大声で怒鳴る。
よくよく聞くと、建具より高い位置の壁を親方は「天井」と呼んでいた。
「私の知る限り、天井って言ったらこっちですよ」
と真上を指したけど 親方は私がミスをしたと言って譲らない。
「こんなところに塗るバカがいるか!全く余計なことしやがって!」
ですって!
文句を言いながらじゃないと仕事がはかどらない襖の親方には
勝手に言ってて貰うことにして、でも抗議すべきは抗議して
私は賃金分の仕事をして帰ろう。
全く面倒くさい親方だよ。
今日は一緒の現場に何でも屋(襖から大工仕事までこなす)のイタさんという人がいて
こうした私たちの小競り合いは完全スルーして仕事をしていました。
あまりに普段の光景だから、面倒くさくていちいち割って入らないんでしょうね。
すみません、親方(と私)がうるさくて。
でも帰り際、あいさつに行ったら言われたの。
「このクソ親父って言ってやれ(ニヤリ)」
ああ、イタさん、それはいいアイデアですね。
今度言っちゃいます(ニヤリ)。