やまじゅん通信 “きょうのヤマ場”

日本共産党前神戸市会議員 山本じゅんじ WEB通信

立地適正化計画はニュータウン対策の最適解か?

2020-11-15 | 日記・エッセイ・コラム

~神戸市都市空間向上計画でニュータウンの課題解決につながるのか疑問


 昨年12月、リノベーション神戸第2弾として、名谷、垂水、西神中央の各駅前の再整備計画が打ち出されました。

すでに着手が始まっており、名谷駅前では、駅前に立地する大丸須磨店の4Fに名谷図書館(仮称)が来年3月にはオープン予定で準備が進められています。

その他、パティオの駐車場の一部とともにその至近距離にある駐車場をマンション用地に転用し、数百世帯のマンションが進められる予定です。

図書館は地域のかねてからの要望、歓迎する声が多く聞かれます。




 しかしその一方で、駅周辺だけの整備でいいのか?という声も出ているのも事実です。というのも、須磨ニュータウン全体の人口がかなりの勢いで減少。須磨区全体でも毎年1000人規模で人口が減っており、とりわけニュータウンへの人口減少対策は急務です。震災後11万人にまで増えた北須磨支所管内の人口は、いまや9万人を下回る状況となっています。

 さて、須磨ニュータウンと呼ばれる地域にはいくつかの小中学校がありますが、そのうち2つの小学校は全学年1クラス。しかも2つのうちひとつは名谷駅から歩いて数分の距離、ひじょうに利便性のよい地域にあります。もうひとつの学校はもともと小規模校でしたが、このまま地域的になにも政策的に手を加えなければ、ひとつの学校として運営に支障が生じたり存続が厳しくなったりしかねない状況にあります。

さらに言えば、あと3~4年もすれば全学年1クラスずつになる、という小学校も複数存在しています。

マンションを誘致することで一時的に人口が増え、子育て世代も増えることが見込まれます。人口増への誘導策としてマンションなどの誘致は必要とは思います。しかし、それは分譲である限り、根本的な課題の解決にはつながらないでしょう。

リノベーション事業によってマンションが誘致されても、人口が増えるのは、残念ながら上記2つの校区ではありません。これでは2校区の児童数の減少という課題解決にはなりません。

 さて、ではどうするか。必要なのはこうした校区内に対する人口の誘導策です。

URへ政策的協力を働きかけたり、市のすまいまちづくり公社を活用してはどうかと思うのです。

URへは、住戸のリノベーションをすすめること、で子育て世代のニーズにこたえうる住戸の提供について協力を求めることです。5階建ての現状ではエレベーターがなく、高齢になると上の階には住みにくくなります。若い世代はそれほど問題にはならないので、よくリサーチして選んでもらえる住戸へと、できるところからパワーアップさせるのもひとつの手ではないでしょうか。

 また、まちづくり公社は、すでに実績を持っています。高倉台地域で、5階建てマンションの中古物件を入手し、リノベーションをして売り出す、という取り組みです。大規模にやったわけではないのですが、若い世代の購入につながり、若い世代の転入の呼び水にもなりえる取り組みとして評価できるのではないかと思います。

これだけが全てとは思いませんが、そういったさまざまな手段を活用し対策を講じることで、課題解決への展望が開けてくるのではないでしょうか。

 ニュータウン内の小学校では、多くのクラスで30人以下の学級。それはそれでいいことなのかもしれませんが、しかし、市の豊かな施策から生まれたもの、というわけではなく、人口減少下で少人数学級となっているのが実態です。いわば不健全な形で少人数学級となっているのです。

地域から子どもが減っているという現状を変えていかなければ、地域に活気が生まれません。このような状況が続くのはとても健全な状況とはいえないと思います。

メディアで報道される過疎に直面した町などでは、子どもの声がなくなるとまちが死んでしまうと、なんとか学校を残そうと取り組んでいる様子が伝えられたりしますが、決して他所のことではないと思います。

 神戸市では、名谷駅周辺に立地していた3つの公立幼稚園のうち2つをすでに廃園にしています。地域からは小中学校とともにまちづくりの核としての大事な役割が損なわれる、と反対の声が地域の方々や保護者など関係者から多く上がっていました。

結局、近隣にはバスで通えるいくつもの民間園があるとして廃止に。しかし、バスで通える民間園はまちづくりの拠点にはなり得ません。

 ひとつひとつの神戸市の対応をみると、ニュータウンの課題について考えている様子はとても感じることはできません。

少なくとも、神戸市のやってきたことは課題解決に逆行しているとしか思えません。

ニュータウンの課題解決には、根本的な姿勢の転換が必要です。




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