SURGERY NOW note

がん治療と外科手術に関する新しい情報や日常診療を通じて感じたことなどを紹介します。

医療崩壊報道後もフォローすべきでは

2008-02-11 | 雑感
 数年前、国保成東病院の内科医が一度に大量退職したニュースが地域医療崩壊の代表的実例として大々的に報道されました。その後の成東病院についてはほとんど報道がありません。

 実は成東病院では勤務医の労働環境の整備などにより内科医が5人まで増えて、さらに定年退職した医師のサポートなども取り付けることにより、内科としてかなり復活しています。当時の報道によって成東病院の評判は一時はかなり落ちたわけですから、メディアにもこうした内科の復活を報道する責任があると思います。医療崩壊報道後のフォローの報道もしてもらいたいものです。

大学の同窓会

2008-02-10 | 雑感
 大学卒業後2度目の同窓会に参加してきました。私たち学年の医学部卒業生は約120人で、このうち参加者は40人強でした。開業した人が1/3から1/4と比較的少なく、勤務医をしている人が多い傾向でした。多くの病院では勤務医不足で病棟閉鎖とか救急の受け入れができないなどの現状が報告されていました。

 開業したある同級生は、開業して自分の専門のことをマイペースですることは、とてもやりがいがあると言っていました。そして自分の勤務医時代を回想して、勤務医時代はやりがいを感じなかった、と私たち勤務医には「痛い」コメントを述べていました。やりがいは本人次第ですけど、開業している人のほうが勤務医をしている人に比べて仕事への満足度は高いような印象でした。もちろん勤務医で前向きにばりばりやっている人も結構多くて私としては心強く思いました。

日本消化器外科学会教育集会

2008-02-09 | 学会
 2008年2月8-9日の2日間東京国際フォーラムで開催された日本消化器外科学会の教育集会に参加しました。今回のテーマは手術感染症対策、食道良性疾患、胃がんの手術、転移性肝がんの4つで、12人の講師による講演がありました。

 日本消化器外科学会はこうした卒後教育に積極的に取り組んでいます。他の学会でも卒後教育システムを充実させて欲しいと思います。こうした教育集会では自分の専門以外の領域の講義を聞くと、新しい治療法や薬品の名前が出てくるので本当に勉強になります。また自分の専門の内容では治療成績の違いなどの細かい点が気になります。今回の講演の中で再認識させられたりとても参考になったことが2点ありましたのでご紹介します。

 一つ目は、肉眼的に粘膜に限局していると診断された胃がん2672例を調べると本当に粘膜に限局していたのはわずか80.3%であり、粘膜下層が17.5%、筋層以深の進行がんが2.2%もいたことです。現在、粘膜に限局している胃がんと診断して内視鏡治療を選択することは非常に多くなっています。しかし、早期胃がんの深達度診断自体が不確実であることには十分注意する必要があります。

 もう一つは乳がんの肝転移に対して肝切除を行って5年以上生存する場合が少ないながらも確かにあることを知ったことです。癌研病院外科では乳がん症例11000例中34例の乳がん肝転移に肝切除を施行し、5年生存率は21%だったそうです。私も以前に乳がん肝転移の患者に抗がん剤の肝動注を施行して転移が完全に消えた経験はありますが、肝切除をした経験はありません。

がん治療認定医

2008-02-02 | 治療
 第1回がん治療認定医試験の結果が1月31日に発表になり、私も無事合格していました。合格点は正答率70%以上でしたが、それでも合格率は受験者の90%前後だったようです。第1回の受験者約1700人の成績はかなりよかったようです。次回の第2回がん治療認定医試験は約3500人が受験する予定になっています。

 ところで、日本消化器外科学会は独自に消化器がん外科治療認定医を創設することを発表しました。この新しい認定医は、消化器外科専門医であればなれるようです。私も消化器外科専門医ですので、こちらもはっきりと詳細が決まり次第申請するつもりです。