SURGERY NOW note

がん治療と外科手術に関する新しい情報や日常診療を通じて感じたことなどを紹介します。

日本臓器保存生物医学会

2006-11-25 | 学会
 2006年11月23・24日に日本臓器保存生物医学会に参加してきました。会長は千葉県がんセンター消化器外科の浅野武秀先生でした。

 私は幹細胞に関する演題に興味を引かれました。中でも、がんの細胞集団はがん幹細胞とがん幹細胞から分化したがん細胞がヒエラルキーを持って存在しているという「がん幹細胞仮説」が単なる仮説ではなく既に一部が実証されていました。がん幹細胞は今後のがん治療の重要なターゲットの一つになると思います。

ヘロフィロスについて

2006-11-20 | 雑感
 膵臓と十二指腸を命名したのは、紀元前300年頃アレキサンドリアで活躍した医師・解剖学者のヘロフィロスです。

 彼はマケドニアの出身(現在のトルコ領)で、コス島のヒポクラテス学派の学校で医学を学んだ後、アレキサンドリアで人体解剖を研究し科学的解剖学の祖といわれています。今から約2300年も前に動脈、静脈、神経を区別し、十二指腸と膵臓を命名し、精神・知性は脳が司っていると考えました。現在は倫理的に認められていない受刑者の生体解剖を人類史上初めて行ったことでも知られています。

手術の立体ビデオ撮影

2006-11-19 | 治療
 最近手術の立体ビデオ撮影を行いました。

 外科手術を立体ビデオ撮影するためには2台のカメラを用います。2台のカメラは比較的小型なのですが、カメラを固定するアームや、リアルタイムに呈示する為のパソコンとモニターなども必要ですのでかなり大がかりな撮影になります。ある程度良好な視野は確保できているのですが、どうしても手術する医者(私!)がいるために最高の視野までは確保できていません。今後も何回か高画質の立体手術ビデオを試行錯誤で撮っていこうと思います。CG画像などと組み合わせれば教育効果の高いビデオを作成できるのではないかと期待しています。

ガーゼを使用しない手術2

2006-11-18 | 治療
 前回紹介したガーゼを使用しない手術をやってみました。

 結果としては、ガーゼを使用しないでも全く普通に手術はできました。手術時間も出血量もいつも通りでした。出血に対しては吸引で対応可能ですし、どうしても組織を拭きたい時には、ガーゼの代わりに大きいタオルを使いました。現在盛んになっている腹腔鏡手術でもガーゼを使用していないのですから、開腹手術でもガーゼを使用しないことは可能なのだと思います。今後しばらくガーゼなし手術を続けてみるつもりです。

肝再生

2006-11-17 | 雑感
 トカゲの尻尾は、切れるとまた生えてきます。同じように肝臓も手術で切除されると再生します。

 実験でラットの肝臓の約70%を切除すると、肝臓は2週間程で元の大きさに戻ります。人間でも肝臓を切除して半年とか1年すると、元通りの大きさに戻ります。不思議なことに、元の大きさになると肝臓の再生は止まります。肝臓は自身の適正な大きさを知っているらしいのです。