SURGERY NOW note

がん治療と外科手術に関する新しい情報や日常診療を通じて感じたことなどを紹介します。

膵癌術前治療研究会

2017-10-31 | 学会
2017年10月28日、広島大学の村上義昭先生の主催で膵癌術前治療研究会が広島市で開かれました。私も司会がありましたので参加しました。

切除可能膵がんや切除可能境界膵がんにも術前治療は行われることが増えましたが、その科学的根拠は無いに等しいのが現状です。つまり膵がんに対する術前治療の有効性を示したエビデンスレベルの高い論文が無いのです。ただし、動脈接触の切除可能境界膵がんに関しては、手術先行治療の成績が非常に悪いので、何らかの術前治療を行うことはコンセンサスを得ています。

藤原てい著「流れる星は生きている」

2017-10-24 | 雑感
有名作家新田次郎氏の妻であり、数学者藤原正彦氏の母である藤原ていさんの大ベストセラーが、「流れる星は生きている」です。敗戦後、幼い子供3人を連れて、満州から朝鮮半島38度線まて想像を絶する苦難を乗り越えて脱出したドキュメンタリーです。満州からシベリアに抑留されて暫く別れていた新田次郎さんは、奥さんのこの文章を読んで泣いたそうです。

沼田まほかる著「彼女がその名を知らない鳥たち」

2017-10-24 | 雑感
沼田まほかる氏のサスペンス「彼女がその名を知らない鳥たち」を読みました。沼田氏は最近の映画「ユリゴコロ」の原作者です。サスペンスとしては、少しまどろっこしくて、内容もあまり好きにはなれませんでした。女性目線が強すぎるからなのかもしれまさん。でも確かに、イヤミスの代表作作家だなと思いました。

広範囲胆管癌

2017-10-19 | 治療
2017年9月29日に山形市で行われた日本胆道学会の専門医養成講座で[胆道癌の治療戦略-広範囲胆管癌も含めて]というタイトルで講演しました。特に、広範囲胆管癌についてご紹介します。

東海大学で切除された肝外胆管癌約150例の中で、広範囲胆管癌は1割強の17例でした。今回の広範囲胆管癌の定義は腫瘍径が4cm以上で左右肝管合流部と膵内胆管の両方に浸潤を認めるものとしました。広範囲胆管癌は、肝側および十二指腸側の胆管断端に癌が残ってしまうことが多いために、再発率が高く、5年生存率も約15%と予後不良でした。しかし、胆管断端に癌がない場合とあっても上皮内癌だけの場合には予後が比較的良好でした。広範囲胆管癌に対して肝切除と膵頭十二指腸を行えば胆管断端の癌遺残は減りますが、平均年齢75歳の高齢患者には危険性が高過ぎるのが問題です。


ドストエフスキー「未成年」

2017-10-18 | 雑感
ドストエフスキーの5大小説の一つ「未成年」を読みました。登場人物が多く、複雑なストーリーでやや難解ではありましたが、やはり興味深いストーリーでした。20歳の青年とその父が主人公ですが、いわゆる青春小説とはかけ離れた内容です。犯罪と恋愛を巡る劇的な面もありますが、主人公の内面の描写も鋭いものがあります。少し間をおいて、もう一度読んでみたいと思います。