SURGERY NOW note

がん治療と外科手術に関する新しい情報や日常診療を通じて感じたことなどを紹介します。

ビタミンB12欠乏性貧血

2006-09-30 | 雑感
 胃全摘後にはビタミンB12の吸収ができなくなり、ビタミンB12欠乏性の貧血になることがあります。

 ビタミンB12は、胃から分泌される内因性因子と結合して小腸末端部から吸収されます。胃が全摘されると内因性因子が無くなるため、ビタミンB12は内因性因子と結合できず、小腸末端部からも吸収されずにそのまま便に排出されてしまいます。胃全摘後5年前後でビタミンB12欠乏性の貧血になることが多いといわれています。ビタミンB12欠乏性貧血と診断がつけば、ビタミンB12を筋中投与する必要があります。

実力医の履歴書(その2)

2006-09-29 | 雑感
 先日もブログで紹介した「実力医の履歴書」に私の外科の恩師2人も登場しています。

 一人は千葉県がんセンター消化器外科の浅野武秀先生です。浅野先生には、私が千葉大の外科時代に長い期間に渡って研究の指導をしていただきました。私がハーバード大学に留学できたのも浅野先生の力が大きかったと思います。

 もう1人は船橋医療センター外科の渡辺義二先生です。渡辺先生には、私が卒後3年目に船橋医療センターに勤務した時に直接手術の指導していただきました。この2人の先生の共通点は手術が上手であり、患者さんに優しいこと、そして熱いハートを持っていることです。私もこの2人の先生に追いつき追い越せるよう今後も努力していきたいと思います。

十二指腸乳頭部腫瘍に対する至適術式選択

2006-09-28 | 治療
 雑誌「外科」の2006年10月号では十二指腸乳頭部腫瘍に対する治療戦略を特集していますが、私も「十二指腸乳頭部腫瘍に対する至適術式選択」という記事を書きました。

 私の原稿の要点は以前にも一度ブログで紹介したことがあるのですが、術前に乳頭部腺腫と診断された場合には経十二指腸的に乳頭部切除を行い、乳頭部癌と診断されれば(亜全胃温存)膵頭十二指腸切除を行うことが原則である、という内容です。もちろん腺腫に対しては検査目的で内視鏡的粘膜切除を行うことも選択可能だと思います。もう一つのポイントとしては早期の乳頭部癌、特にオッジ筋浸潤を認めないTis乳頭部癌に対しては経十二指腸的乳頭部切除も選択し得るということです。ただし実際にTisと正確に術前診断することは困難ですので乳頭部切除などの縮小手術を選択するチャンスは少ないと思います。

 また乳頭部癌は膵癌に比べるとかなり予後は良いのですが、やはり再発することが多いというのが実感です。

実力医の履歴書

2006-09-27 | 雑感
 最近、「実力医の履歴書:外科系1」という本が出版されました。この本では病院の情報の他に、医師個人の趣味・特技や健康法、もし医師でなかったら何になりたかったか、等が紹介されています。

 なかでも、もし医師でなかったら・・という質問に対しては、建築家・教師・小説家・プロ野球選手・漁師・板前・弁護士など様々な職業が挙げられていてとても楽しく読むことができました。特技では津軽海峡の本マグロをさばくという先生がいたのには驚きました。私もちょこっと出ていますのでよろしかったら読んでみて下さい。

学生時代のこと

2006-09-22 | 雑感
 先週は出版の打ち合わせのため、今週は学会関係の会議のために2週連続で東京女子医大に行きました。そこで医学部の学生が生き生きとしている姿を見かけ、私自身の学生時代を少し思い出しました。

 私の卒業した千葉大医学部は大変自由でのんびりした校風でした。私が千葉大の学生の頃は、医学部の学生の半数以上は運動部に所属していました。体育会系の厳しいクラブは少数派で同好会的なクラブが多かったと思います。私も軟式テニス部に所属し、毎日のようにコートに通っていました。毎日の練習の成果でしょうか、幸い東医体などの大会で優勝することもできました。大学でのクラブは今でも本当に楽しい思い出です。