SURGERY NOW note

がん治療と外科手術に関する新しい情報や日常診療を通じて感じたことなどを紹介します。

石井先生・吉野先生送別会

2007-07-29 | 雑感
 7月27日に国立がんセンター東病院肝胆膵内科の石井先生と吉野先生の送別会に出席しました。

 吉野先生は既に杏雲堂病院に勤務しており、石井先生は9月から癌研有明病院の肝胆膵内科に勤務する予定です。現在肝胆膵がんの内科治療は、国立がんセンター中央病院(奥坂先生ほか)と国立がんセンター東病院(古瀬先生ほか)が日本の2大センターですが、石井先生が癌研にいって3大センターにして欲しいと思います。

膵がんと胆道がんの厚生労働省班会議

2007-07-22 | 雑感
 2007年7月21日に国立がんセンター中央病院で開催された、進行膵がんおよび進行胆道がんに対する内科的治療の確立を目的とした厚生労働省班会議に参加してきました。

 この研究班の主任研究者は、国立がんセンター東病院肝胆膵内科の古瀬先生と中央病院肝胆膵内科の奥坂先生の2人です。そしてこの研究グループには国内の30以上の主要な胆膵がん治療施設が参加しており、実質的に日本代表チーム的な組織になっています。

 局所進行膵がんに関しては、塩酸ゲムシタビン単剤による第2相試験(登録終了)と、S-1+放射線による化学放射線療法の第2相試験(登録中)がこの研究班で進行中です。また切除不能(局所進行+転移性)膵がんに対する製薬会社の治験としては、erlotinibと塩酸ゲムシタビン併用の第2相試験(中外製薬)と、塩酸ゲムシタビン/S-1/塩酸ゲムシタビン+S-1の3群による第3相市販後臨床試験(大鵬薬品)が進行中です。特に後者は600-750例という大規模試験でその結果が大変注目されます。

 切除不能進行胆道がんに関しては、塩酸ゲムシタビン+S-1 vs.S-1単剤の第2相試験がこの研究班に所属する多くの施設が参加している別組織(JCOG)で準備中です。切除不能進行胆道がんに対する製薬会社の治験としては、塩酸ゲムシタビン+シスプラチン(CDDP) vs.塩酸ゲムシタビンの第2相無作為化比較試験(イーライリリー社)が進行中です。

 いずれの臨床試験も結果が大変期待される試験です。肝胆膵の内科系はこのように日本代表チームが組織されましたので、外科系も日本代表チームが組織され大規模な臨床試験が行われる日も近いと思います。

雑誌消化器外科ナーシングの新連載

2007-07-21 | 学会
 現在消化器の頻出単語を連載している「消化器外科ナーシング」という雑誌で、来年から気になる医療ニュースをチェックするコーナーの新連載をすることになりました。

 お話を頂いたときは正直びっくりしたのですが、看護師さんや医師にとって気になるニュースを紹介したり、簡単に意見を述べることもできるそうなのでお受けすることにしました。取りあえず2008年新年号から1年間の予定ですので、もし興味のある方はチェックしてみてください。

第62回日本消化器外科学会

2007-07-20 | 学会
 2007年7月18,19日に新宿で開催された第62回日本消化器外科学会に参加しました。自分自身の発表、司会、3Dフルハイビジョン手術ビデオ展示、出版社との打ち合わせ、さらに学会関連の委員会や学会の懇親会とかなり多忙でした。

 私の発表は、ステージ4a進行膵がんの再発からみた外科治療の課題についてでした。ステージ4a膵がんとは非常に進行した膵がんで、5年生存率は3%と極めて不良でした。ステージ4a膵がんの約20%で切除断端にがんが残存した手術になってしまいました。断端がん陽性の場合と断端がん陰性の場合の生存率を比較すると、統計的には有意な差が認められませんでしたが、断端がん陰性の1年生存率約60%に対して、断端がん陽性の1年生存率は約30%と生存率が不良の傾向にありました。つまり、切除断端にがんが残存すると早期再発死亡する割合が高いことになります。ですから切除断端に膵がんを残さない手術を追求する必要があります。

 私が司会したのは、胆管がんと胆嚢がんのポスターセッションでした。機器展示コーナーでは国立がんセンター東病院で撮影したフルハイビジョンによる手術3Dビデオを株式会社フローベル社の全面的なご協力によりましてご展示いただきました。フルハイビジョン映像はとても明るくクリアーな映像で私もびっくりする程でした。フローベル社の前田さん、比屋根さん、星社長と早稲田大学基幹理工学部の盛川先生にこの場を借りてお礼申し上げます。

武藤学先生送別会

2007-07-15 | 雑感
 国立がんセンター東病院消化器内科の武藤学先生が京都大学准教授に栄転されることになり、その送別会に行ってきました。

 武藤先生には京都大学でさらに研究を発展させどこかの教授へと飛躍して欲しいと思います。ただし、武藤先生は現在の内視鏡部門の現場のリーダー的存在でしたし、他大学などからも有名な先生でしたので、内視鏡グループとしては大損失でしょう。その穴は若手が頑張って埋めていくしかないと思います。