SURGERY NOW note

がん治療と外科手術に関する新しい情報や日常診療を通じて感じたことなどを紹介します。

志摩市での日本外科感染症学会

2011-12-05 | 学会
2011年12月1-2日に三重県志摩市の合歓の里リゾートで第25回日本外科感染症学会が開催されました。私は学会前日の評議員会に参加するために11月30日に行きました。宿泊したのは志摩観光ホテルクラシックで、とても風光明媚な所でした。

私は「膵切除後の重症感染症」について発表しましたので、内容をご紹介します。最近の約2年間に行った膵切除131例では術後入院中に死亡した人はいませんでしたが、膵液瘻からの腹腔内膿瘍または重症肺炎で一時的に全身状態が悪化した人は4%弱程いました。腹腔内膿瘍からの出血が2例と呼吸不全で人工呼吸器管理が必要だった4例です。起炎菌を検討したところ、重症肺炎の痰培養ではMRSAと真菌のカンジダが比較的多く検出され、腹腔内膿瘍の排液の培養では腸球菌、表皮ブドウ球菌、クレブシエラ、エンテロバクター、バクテロイデス、大腸菌、緑膿菌、MRSAなどが多く検出されました。つまり肺炎と腹腔内膿瘍では少し違う菌が原因でした。